みなさんは、宇宙に行ってみたいと思ったことはないでしょうか?
将来的には、もしかしたら普通の人でも旅行のように行ける日が来るかもしれませんが、
現在、実際に宇宙飛行士になるのはとても大変なこととされていますよね?
しかし、それでも宇宙飛行士になってみたいと思っている人もいるでしょう。
ここで、そんな宇宙飛行士についてのお話をしてみましょう。
宇宙飛行士の定義について
宇宙飛行士は、宇宙船によって大気圏の外に行くための訓練を積んだ選ばれた人です。
ただ、現在は宇宙飛行士の定義というのもけっこうあいまいなものがあります。
海外では呼び名にも細かな違いがあります。
アメリカで宇宙飛行士の訓練をして宇宙飛行士になった人を「アストロノート」、
中国で宇宙飛行士の訓練をして宇宙飛行士になった人を「タイコノート」、
ロシアで宇宙飛行士の訓練をして宇宙飛行士になった人を「コスモノート」
といいます。
日本人初となったアストロノートが有名な毛利衛さんで、
日本人初のコスモノートは秋山豊寛さんです。
宇宙飛行士の資格はありますが、世界共通の規定などはありません。
そのため、現在の一般的な定義では
「一回でも宇宙に行った人」が宇宙飛行士ということになっています。
FAI(国際航空連盟)という航空に関しての記録を行う団体は「カーマン・ライン」
という海抜高度100km以上が、アメリカ軍は50海里(92.6km)、
アメリカ政府の航空局のFAAでは80km以上の空を宇宙空間としています。
アメリカ軍はこの定義以上の空を飛行した機体の全ての当該機乗組員に、
「宇宙飛行士記章」を授与しています。
宇宙飛行が開始された時代は、
前人未到であった宇宙に行き無事に戻ってくる事が最優先とされていて、
そのために過酷な打ち上げにも耐えられる体力、さらに不測事態の対処能力が必要とされたために、
アメリカの空軍や海軍のテストパイロットが選ばれていました。
軍に在籍したままNASAに出向、任務が終わると軍に戻るという形式でした。
油井亀美也さんと金井宣茂さんのように、
日本では自衛官がJAXAの職員となってから宇宙飛行士になるので、
自衛隊を退職しなければなりません。
ただ、最年は科学研究が主体になったので、
科学研究者が宇宙飛行士になることも多くなっています。
きびしい訓練が待ち受けている
宇宙飛行士になるためには、
適正審査に合格した後で少なくても2年間は数多くの過酷な訓練をしなければなりません。
ここではそんな宇宙飛行士の訓練についてご紹介してみましょう。
まず、「ロケットの打ち上げ訓練」があります。
これはロケットの打ち上げのときに、推進力の垂直Gを耐えるための訓練です。
この強烈な垂直Gは、訓練をしていない普通に人間なら失神してしまうほどのものなんだそうです。
目の血流が減って「グレイアウト」という色の喪失状態が起こり、
「トンネル・ヴィジョン」という視野狭窄となってから失神してしまうのです。
これには、「遠心シミュレーター」というマシンを使って垂直の重力に耐える訓練をします。
普通の人間は4G〜6Gまでの重力を耐えられるとされえていますが、
このマシンで訓練することで9Gまでの重力に耐えることができるようになります。
「大気圏突入時の訓練」のマシンはみなさんも見たことがあるかもしれません。
訓練者が椅子のようなものに座って、それが上下左右に回転してグルグルと回るというマシンです。
これによって、大気圏に突入するときの水平きりもみ状態から起きる人間の障害をシミュレートします。
もちろん、「無重力状態の訓練」も必要です。
NASAが軽減重力研究に使用している航空機は「嘔吐彗星」という愛称があります。
この航空機で無重力状態を作り出し、宇宙で数多く起こる無重力状態の訓練をします。
さらに無重力下の作業の訓練もします。
NASAの無重力環境訓練施設の屋内プールで、10時間にもわたる無重力環境での作業の訓練を行います。
完全装備でクレーンに吊られた状態で約12メートルの深さに沈み、
宇宙船の模型の辺りで作業訓練をします。
また、不慣れなほとんどが乾燥食品という宇宙食に慣れたり、
極限状態下でのサバイバルを学ぶため、
都市から遠い僻地にスペースポッドといっしょに送り込まれるという訓練もあります。
このように、宇宙飛行士になるにはさまざまな過酷な訓練が待ち受けているのです。
宇宙に滞在することで起こる人体への問題
また、宇宙に滞在することで健康に問題が起こるリスクがあります。
まず、宇宙において、地球に住んでいた人間の体に大きな影響を与えるのはもちろん重力の変化です。
「宇宙酔い」は宇宙に滞在して数日程度で治りますが、
地球に帰るときは地球の重力に際適応する必要があり、これに2週間ほどかかるとされています。
宇宙にいるときは血の流れが地上と異なるので、顔がむくんだり鼻詰まりになったりします。
地球に帰った宇宙飛行士は、宇宙にいたときの影響から
重力に逆らって血を頭まで循環させることが難しくなっているので、
起立性低血圧、つまり「立ちくらみ」を起こす場合があります。
宇宙に滞在しているときは、心臓の血液を送る力が少なくなるので、
心臓の筋肉が衰えることが立ちくらみを起こす原因の一つであると考えられています。
また、宇宙にいると骨や筋肉も衰えてしまいます。
微小重力の環境では壁を手で押しながら移動することになるので、下肢の筋肉が特に萎縮します。
骨の衰えは骨折の可能性を高めるたり、
尿にカルシウムが流れることで尿管結石が起きる可能性もあります。
宇宙飛行士は筋肉・骨の衰えをなるべく予防するために、
国際宇宙ステーションに滞在しているときは1日約2時間という時間の運動をしています。
さらに、放射線の影響というものもあります。
宇宙放射線が与える人体への影響は、
一定以上の被ばく量では水晶体の混濁などの臨床症状が生じる場合と、
発がんなどの被ばく量が増加するにつれて起こる影響があります。
被ばく量を一定以下にすれば、これらが発生する確率を低下させることができます。
フロリダ州立大学の研究では、アポロ計画の宇宙飛行士に心血管の問題が高い確率で見られたそうです。
これは、宇宙空間での放射線の被爆が原因と考えられています。
精神的・心理的な影響もあり、宇宙から帰還した宇宙飛行士は
「燃え尽き症候群」や鬱病などの精神病にかかるケースもあるようです。
宇宙では「トイレ」が大変
さらに、あまり知られていない宇宙飛行士の悩みが「トイレ」です。
これは冗談ではない真剣な問題となっています。
人間が物を食べる限りは必ず排泄することになるわけですが、
これはたとえ宇宙に行こうが変わらない事実です。
分厚い宇宙服のため、宇宙飛行士になると
食べ物を食べない限り排泄を我慢するかオムツを使うかということになります。
これにはNASAも頭を悩ませています。
現在の宇宙飛行士は宇宙服を着用しているときは大人用オムツを使用しています。
ただ、火星等を目指すミッションなど、遠い惑星へ飛行する場合、
緊急事態発生時に宇宙服のまま数日間着て作業することも予想され、
感染症などの予防から排せつ物処理が課題になっていました。
そこでこのたび、クラウドソーシングサイトの
「HeroX」とNASAが「Space Poop Challenge」
日本語にして「宇宙うんちチャレンジ」を開催しました。
そこでアメリカ空軍大佐でもあるサッチャー・カードン医師の鍵穴手術の知識が生かされた試作品が
優勝して日本円で約170万円の1万5000ドル(約170万円)を手にしたそうです。
これは、宇宙服の股部分に気密性をがある小さい穴を設置し、
そこからカテーテル・膨張式差し込み便器等を挿入することができるそうです。
宇宙飛行士になるのはかなり大変なんですね
子供たちの憧れである宇宙飛行士についてでした。
宇宙という世界にはロマンがありますが、
実際にそこまで人間が行くということは現在まだまだ課題が多くあるということですね。
このような試練がありながらも宇宙に行く宇宙飛行士は、やはり注目と尊敬を集める存在なのでしょう。