宇宙雑学

前代未聞の「宇宙コーヒー」を目指すスペース・ロースターズとは?宇宙焙煎に価値はある?

2019年3月3日

焙煎された珈琲 f

 

最近、「宇宙で焙煎するコーヒー」という、なんとも珍奇な計画が話題となりました。この宇宙コーヒーを計画したのは、アメリカの「スペース・ロースターズ」という会社です。

 

今回はこの「宇宙コーヒー」と、それを発案したスペース・ロースターズ社についてご紹介しましょう。

 

コーヒーを宇宙で焙煎するという計画

宇宙ガイア f

 

コーヒーと言えば、世界中の国々で飲まれている飲料ですね。日本にも「ドトール」のようなコーヒーショップがたくさんあるので、これを利用しているという人も多いでしょう。

 

ところで、最近コーヒーを宇宙で焙煎する「宇宙コーヒー」というものが話題となりました。これは、「宇宙からコーヒーの豆を落下させて、大気圏の有名な高熱によって焙煎(ばいせん)する」という、これまで誰も考えたことがないような(笑)、計画なんです!

 

この「宇宙コーヒー」、早ければ来年2020年にも実現するとされていますが、気になるのがどんな味なのかですよね?この計画を発案したのは、2017年にできたアメリカの「スペース・ロースターズ社」です。

 

宇宙焙煎カプセルの独自技術

 

 

この公式サイトの説明では、有機栽培したコーヒー豆約300キロをスペース・ロースティング・カプセル(SRC)、「宇宙焙煎カプセル」という独自のカプセルに入れてロケットと共に打ち上げ、高度200キロで切り離し大気圏に落とすそうです。

 

そのとき、ご存知のとおり大気圏の高熱によって急激に空気が圧縮されカプセルは数千度という超高温にさらされます。ただ、カプセル内の温度は200度に保たれるので、この熱によってコーヒー豆を焙煎するんだそうです。その後、コーヒー豆が入ったSRCが海上に着水、回収されます。

 

スペース・ロースターズ社の計画では、2019年の第3四半期に試験の打ち上げがあり、2020年に本格的打ち上げをする予定となっています。2019年の2月末に、同社の公式サイトで先行販売の告知が表示され、気になる「宇宙コーヒー」1杯あたりの値段が明らかになるそうです。

 

 

宇宙コーヒーは赤字にならないのか?

お金 f

 

コーヒーの値段は、ロケット搭載費用を考えてもペイするものなんでしょうか? アメリカの宇宙開発専門誌「spacenews.com」の記者も経済的・技術的に意味があるのだろうかと困惑しているようです。

 

スペース・ロースターズ社の創業者ハテム・アルカフジCEOは、この方法のメリットについて、「通常は豆は焙煎機の表面に接しているので焦げますが、無重力では均等に熱が与えられるので、完全な焙煎が可能になる」と、専門誌のインタビューで語っています。

 

最初にドバイで宇宙コーヒーを提供予定

ドバイの町並み f

 

この「宇宙コーヒー」、来年2020年の打ち上げを計画していて、ドバイで最初に提供されるそうです。

なぜドバイなのか?というと、創業者のハテム・アルカフジCEOはアラブ出身のため、この会社もドバイを拠点にする予定があるからだそうです。

 

「宇宙コーヒー」がドバイの新しいグルメ体験になるかもしれませんね。開発は宇宙分野エンジニアである、アンダース・カヴァリーニ氏が担当するそうです。同氏は「コーヒー豆は同じ方法で何百年間も焙煎されてきたが、宇宙でコーヒー焙煎の革命を起こす」としています。

 

宇宙コーヒーで商売はできるのか?

 

ここで「宇宙コーヒー」の具体的な数字をみていきましょう。

ロケットに搭載されるコーヒー豆は、75キログラムの容器4個で、合計300キログラムとなり、焙煎されたコーヒー豆は重さが10%ほど減るので、270キログラムくらいのローストされたコーヒー豆ができる予定です。

 

ドリップコーヒーは、1杯10グラム程の豆を使います。仮に「宇宙で焙煎した」という付加価値が付いたコーヒーを、1杯1万円で売るとすれば、合計で2億7000万円という売り上げになることになります。

 

一方、現在ロケット打ち上げにかかる費用は、あのスペースXの「Falcon 9ロケット」で1キログラム約66万円が最低コストになります。宇宙でのコーヒーの焙煎は、人工衛星が目指す軌道より低い「高度200キロメートル」で切り離すことになるため、衛星の打ち上げのときに余った重量があれば、どういったロケットにも「相乗り」ができるかもしれません。

 

また、人工衛星より条件が緩いので、少しは割り引き交渉ができるかもしれません。このため問題は、海上でカプセルを回収する費用を抑え、さらに確実に回収する費用を考えることになりそうです。

 

すでに宇宙コーヒーを飲んでいる人は?

 

現在、宇宙で作られた「宇宙コーヒー」をすでに飲んだ人がいます。それはESAの宇宙飛行士、サマンサ・クリストフォレッティという女性です。サマンサさんは、2015年に国際宇宙ステーションのエスプレッソメーカーを使い、宇宙空間で淹れたコーヒーを飲んだそうです。

 

宇宙飛行士の食べ物や飲み物というのは、単調な生活の息抜きとして重要とされているので、宇宙で淹れたてのコーヒーが飲めるということでこれはよいことですね。

 

お金があれば宇宙珈琲を飲んでみたいですね

宇宙で焙煎された宇宙珈琲 f

 

大気圏でコーヒー豆を焙煎するという、世にも奇妙な「宇宙コーヒー」についてでした。宇宙からコーヒー豆を大気圏に落として焙煎するという前例のない付加価値があるものの、コーヒーが1杯が1万円以上というビジネスは成立するのでしょうか?

 

ただ、スペース・ロースターズ社がこのサービスを開始すると予定の2020年は、「ドバイ国際博覧会」が開催される年です。万博といった国際イベントの機会に合わせれば、宇宙で作られたというコーヒーも需要ができるのではないかとされています。

 

みなさんは1杯が1万円以上もするかもしれない、「宇宙コーヒー」を飲んでみたいですか?

まあ、世の中にはお金持ちも多いので、伊達と酔狂で飲んでみたいという人もいるでしょうね!

 

 

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