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太陽フレアって何?私たちの生活にも関わる重要な話

2017年2月25日

 

皆さんが子供の頃は、おそらく誰もが画用紙に太陽を描いたことでしょう。私たち人間は、物心ついた頃から太陽の存在を知り、感じ、無意識のうちにそれがなくてはならない当然のものであることを認識して過ごしてきたと思います。時代や地域によっては太陽を神と崇めたりもしました。人間だけでなく地上の生き物はいつの世も太陽の恩恵を預かり生きてきました。“太陽フレア”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

(太陽フレア wikipedia)

今、この太陽フレアに注目している研究者が大変多く、私たちの生活にも深く関わっていることがわかりました。今回は、その太陽フレアについて、一歩踏み込んで迫ってみたいと思います。

 

太陽フレアって何?

 (太陽フレア wikipedia)

 

太陽フレアとは、ごく簡単に表現するなら、太陽表面の爆発現象です。太陽の表面の黒点付近で見られる現象で、決して珍しいことではありません。我々人間は地球から太陽を直接見ることはできないのですが、(絶対に直接見てはいけません!)太陽専用の望遠鏡や、観測衛星を通して私たちでもその太陽フレアを確認することができます。今、最新の研究によって、太陽フレアはどのように発生するのか、それによって何が起こるのかなど、その詳細について明らかになりつつあるところです。

 

太陽フレアの等級について

 (太陽 wikipedia) 

 

太陽フレアによって起こる爆発現象によってX線などが放射されます。(これについては後述します。)そこで放たれるX線の強度は、低い方から順にA、B、C、M、Xの5つの等級に分類されます。つまり、簡単にいうとAクラスは小さな爆発、Xクラスは超巨大な爆発といった具合です。この5つの分類それぞれがさらにX3、X10などのように後ろに具体的な数値をつけてその大きさを細分化するのですが、ややこしくなってしまうのでここでは細かいことは省略します。

Aクラスの太陽フレアは、1日に何度も起こっていると考えて良いです。Bクラスは年に1,000回くらい、Cクラスは、年100回を超えることも普通です。Cクラス以下ですと、私たちが日常生活に影響を受けることはありません。ただし、Mクラスになると、年に10回以下の比較的大きい爆発になります。

 

 

通信障害など私たちが何かしらの形で体感するかもしれない障害が発生するようです。飛行中の飛行機の通信障害などは、地上で暮らす私たちには無縁なようですが、乗客乗員の命の危険にもなりかねない深刻な問題でもあるのです。そのほかにもGPSが使えなくなる、スマホのアプリも使えなくなる・・とくると、他人事ではなさそうだと思える人も増えてくるのではないでしょうか。つまり、Mクラス以上は要注意、ということになります。少々簡易な説明になりましたが、ここでは太陽フレアにはその爆発の大きさによって5つの等級があるということだけ触れておきます。

 

 

磁力線と深く関わっている太陽フレア

 

太陽フレアは、太陽の磁力線が影響して起こる現象です。太陽は私たちが住む地球と同様に天体そのものが磁石になっています。わかりやすくするために、一度地球のことを考えてみます。地球の場合は北極にS極、南極にはN極の磁場があるために、私たちが持っている方位磁石のN極は常に北の方角を指します。北極がS極の磁場を持っているから、手元の方位磁石は北の方角にNを向ける、ということですね。地球はこの磁場が大変規則正しいため、どの国へ行っても(どの国で道に迷っても)磁石があれば方角が分かるというわけです。さて、太陽の場合、その磁場は地球のように規則正しくありません。太陽はガスでできている天体なので、太陽の自転速度は緯度によって異なります。赤道付近では25日、極付近では30日の周期で自転するといった具合です。このために、その内部を南北に走る磁力線は自転によって引き伸ばされ、太陽の緯度と水平方向に巻きついていくような状態になります。磁力線そのものは、磁力の強い部分は外側に浮かび上がる性質があります。その太陽の表面から浮かび上がった磁力線と太陽の表面の接点にできるのが黒点です。(つまり黒点というのは磁力線の出入口のような部分のことです。)黒点からは複数の磁力線が出ており、これが磁場の変化によって移動したりします。その移動の際に、他の磁力線と接触することによって爆発が起きます。これが太陽フレアなのです。

 

 

太陽フレアが起こるとどのような現象が起こるのか

(ひのでの可視光磁場望遠鏡で撮影された太陽のプラズマの繊維状 wikipedia)

 

爆発によって太陽の外に飛び出すものはいろいろあるのですが、主なものではX線放射、高エネルギー粒子線、コロナ質量放出が挙げられます。X線放射は、電磁波の一種なので、私たちが知っている光の仲間です。太陽の光が地球に届くまでにおよそ8分かかるのですが、X線放射も同じです。つまり、太陽フレアが起こると(その規模にもよりますが)、8分後には地球にX線が届くということになります。高エネルギー粒子線というのは、ものすごいエネルギーの陽子や電子が大量に飛んでくることを言います。こちらは早いものでは30分、遅いものでも1日か2日で地球に届くということです。人工衛星を壊したり、宇宙飛行士を被曝させたりするということです。そして、コロナ質量放出というのは、ニュースやネットでは“CME”と表したりしますが、電荷を持つ粒子のかたまり、つまりプラズマです。その規模にもよりますが、秒速1200kmもの速さで放出される観測結果も出ています。地球の周りには電離圏がありますが、太陽フレアの規模次第ではこの電離圏の磁場が乱されて大きな電流が流れ、地表の磁場にも混乱をきたす恐れがあります。

 

 

太陽フレアの被害について

 

過去、1989年には巨大な太陽フレアが発生し、カナダでは大規模な停電が起こり、アメリカのニュージャージー州の送電線に過剰な電流が流れ、ショートして破壊してしまったことがあります。これはX13クラスの太陽フレアでした。また私たち日本人にとって身近なところでは、小惑星探査機「はやぶさ」は、太陽フレアの影響によって搭載していた太陽光パネルを劣化する現象が起き、命からがら(?)帰還したことは記憶に新しいと思います。今後巨大な太陽フレアが起こった場合には、変電所の破壊によって人々のライフラインが閉ざされる可能性もありうるという公算も出ていますし、宇宙にある多くの衛星や国際宇宙ステーションの機器への影響、宇宙飛行士や今後の宇宙開発の発展によって宇宙に滞在するであろうの人の人体への影響も懸念されます。

 

 

「ひので」をはじめとする太陽観測衛星の活躍

(ひのでの打上げ wikipedia)

 

今、アメリカやヨーロッパ、もちろん日本からも高性能の太陽観測衛星が打ち上げられ、日々太陽の観測が進められています。太陽フレアだけに限りませんが、太陽についての科学的な情報は、まだ私たち人間はそのほんの一部しか見ていないと言っても過言ではありませんので、これらの高性能の観測技術が活躍することには大いに応援したいところです。

 

(第22号科学衛星ひので SOLAR-B wikipedia)

 

多くの太陽観測衛星がある中、今筆者が最も注目しているのは2006年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」です。JAXAと国立天文台が、世界各国の技術協力の下で実現した最先端高機能の太陽観測衛星です。3種類の望遠鏡(可視光・磁場望遠鏡、X線望遠鏡、極端紫外線撮像分光装置)を搭載し、太陽を構成する大気の層のそれぞれが放つ異なる波長に適した望遠鏡を搭載しているのです。「ひので」から送られてくる画像は、多くの研究者たちがその研究材料として役立てているのですが、中でも筆者が特に注目しているのは、「ひので」をはじめとする高性能の太陽観測衛星の働きにより、これから先の太陽フレア予測、宇宙天気予報(後述します)の精度が格段に上がるとほぼ間違いなく言えることです。それらのデータがビッグデータとして活用され、どんな状況の時にどんなエネルギーレベルの太陽フレアを発生するかなどのパターンを学習し、高精度の予測に活用される時代がもうすぐそこにきているような気がしています。

また、太陽の磁場がその内部から湧き出す様子や、太陽フレアが発生する仕組みの解明にも期待しています。

 

今、宇宙天気予報が熱い!

 

前項でちらっと触れましたが、宇宙天気予報というものがありますが、皆様ご存知でしょうか?

 

NICT 宇宙天気情報センター

 

国立研究開発法人情報通信研究機構

http://swc.nict.go.jp/contents/index.php

 

これは前項の衛星「ひので」をはじめ、世界各国の衛星が送ってくる太陽の観測データを集め、太陽フレアを始め太陽風、地磁気、黒点の数などの多くの情報を公開し、専門家が宇宙の気象状況(環境状況)をまるで天気予報のように伝えているサイトです。

 

『活動領域9999(仮番号)でBクラスの小さな活動が発生しましたが、太陽活動は静穏でした。引き続き今後1日間、太陽活動は静穏な状態が予想されます。』(サイトより一部引用)

 

このような感じで、太陽の活動を監視し、その情報を天気予報のように伝えてくれます。宇宙天気情報配信サービス(メール配信)もありますので興味のある方はお試しください。筆者はもちろん購読者です。

 

 

スーパーフレアの可能性

 

さて、最後の最後に突然ですが、スーパーフレアという言葉を聞いたことはありますか?スーパーフレアとは読んで字のごとく、超絶スーパーな大爆発です。今地球で観測できている太陽の過去最大の太陽フレアの100倍から1,000倍にも及ぶ規模のスーパーフレアが今、太陽でも起こるのではないかと懸念されています。太陽フレアに着目する研究者たちは、太陽と同じような恒星がスーパーフレアと呼ばれる超巨大な爆発を引き起こすことを突き止めました。それがわかったきっかけは、系外惑星探査が主目的だったケプラー宇宙望遠鏡の観測データでした。ケプラーは超高性能・高精度の観測機を搭載していたため、その膨大な観測データのうち、太陽と似たような性質の恒星を選んで細かく観測することが可能でした。その結果、それらの恒星に巨大な黒点とスーパーフレアが起こっている事を確認しました。その研究発表を受けて、日本でも京都大学などがすばる望遠鏡を利用して、太陽とよく似た自転周期、温度、重力など、太陽と似通った共通性を持つ恒星をピックアップし、さらに研究を進めたところ、やはり太陽もスーパーフレアの可能性が否定できないという結果を発表しました。太陽で起こるスーパーフレア…地上での影響が計り知れないのですが、今後、科学の発展によって太陽のスーパーフレアを予測できうるのであれば、地球規模で早急に考えなければならない課題も自ずと出てくるのではないでしょうか。

 

 

太陽フレアのまとめ

 

最後にスーパーフレアのことを取り上げましたが、それだけでなく、太陽フレアについては実はまだまだ研究が道半ばであり、その可能性を示唆できてもいつどのように起こるのかまで突き止めることはできていません。科学技術が日進月歩で発展する今の世の中ですら、解明することができない太陽。私たちにとってこんなにも身近な太陽ですら、まだまだ未知なことが多すぎるのが現実なのです。太陽フレアの研究は、宇宙開発が進めば進むほど、早急に取り組まなければならない課題でもあると思います。太陽フレアの爆発によって生じるX線やプラズマなどの目に見えないエネルギーが、昨今宇宙に進出しようとしている私たち地球人の生命の危険を脅かしかねないことがすでにわかってきています。また、地上でも私たち社会全体のインフラを破壊してしまう可能性も拭えないのです。今後、国レベル・地球規模でのインフラ整備が、個人・社会レベルでも太陽フレアの被害の影響についての認知度を上げる必要が出てくるのではないかと思います。文明が高度になればなるほど、太陽フレアによる影響は莫大なものになるでしょう。私たちの今ある豊かな生活は、自然現象を無視しては到底続かないということを改めて認識し、共生共存の道を再考する必要があるのではないかとも思うのです。

 

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