太陽

太陽ってどんな恒星?太陽の誕生や内部構造やフレア、探査機なども紹介





(太陽 wikipedia)

 

太陽は、太陽系に含まれるすべての天体の重力中心として存在する恒星です。太陽系全体の99.86%の質量を太陽が占めています。太陽は、誕生してからすでに46億年が経過しています。このサイズの恒星が生まれてから燃え尽きるまでが、およそ100億年とされているので、すでに一生の半分を経過していると見られます。太陽の中心部では、超高圧に圧縮された水素が熱核融合反応を起こし、太陽表面の熱は6000℃に達しています。巨大なストーブから放射される光と熱のエネルギーは、太陽系のすみずみにいきわたり、1億4960万キロ離れた地球に豊かな生態系をもたらし、14億キロ離れた土星のリングを美しく照らしてくれます。

 

60億キロも離れた冥王星が光って見えるのも太陽の光が届いているからで、わずかに届く熱エネルギーが冥王星の昼間を地球の月夜ほどの明るさに照らします。太陽から1兆キロメートル以上も離れたところで、球状に太陽系を取り囲んでいるオールトの雲と呼ばれる微小天体の集まりがありますが、それが太陽の重力の影響を受ける最遠の天体といえるでしょう。





太陽の誕生

 

太陽が生まれる以前に、太陽よりずっと大きいサイズと質量をもった恒星が寿命を迎え、超新星爆発を起こしました。それが我々の太陽系をつくる材料になったのです。超新星爆発とはなんでしょうか。恒星は、水素が核融合反応を起こし、ヘリウムに変換されるときのエネルギーで輝きます。水素は宇宙で最も軽い元素でその次に軽いのがヘリウムです。何億年も水素の核融合反応は続きますが、次第に燃料となる水素が減り、質量が大きいヘリウムがたまっていきます。ヘリウムが増えていくにつれ中心部の圧力は際限もなく高まっていき、超高圧下でこんどはヘリウムの核融合反応が起こります。そしてヘリウムの核融合反応は、さらに重い元素(酸素や窒素など)を生み出します。やがて、恒星は自らの圧力に耐えられなくなり爆発を起こします。それが超新星爆発です。鉄やウランなど最も重い元素は、このとき生み出され、宇宙空間に放出されます。放出された様々な元素はふたたび集まって、新しい恒星系をつくります。太陽系とその惑星である地球、そこに存在する人間の体を含め、すべてのものが超新星爆発によって生み出された元素でできているのです。





太陽は二重星?

 

銀河系にある恒星を観測すると、半分以上の恒星が、二つの恒星が互いに回り合っている連星(二重星ともいう)であることがわかっています。むしろ、宇宙では連星であることのほうが普通のようです。では、太陽はどうなのでしょうか。宇宙の長さに比べればほんの一瞬の存在期間しかない人類から見ると、太陽はどうみてもひとつの恒星です。しかし、もしかしたら太陽は伴星(連星の片方の星)を持っているかもしれません。生物の大量絶滅の歴史が、ネメシスと名付けられた伴星の存在を証明しているとする仮説があります。太陽系に伴星ネメシスが接近するときに大量の小天体を引き連れてきて、ばらまかれた隕石が地球に雨のように降り注いだ結果、周期的な大量絶滅が発生したというのです。生命の大量絶滅は、小規模なものも含めると、およそ2600万年の周期で発生していることが解明されています。これを説明するために、2600万年周期で太陽系に戻ってくる伴星ネメシスの存在が考えられました。これはまだ仮説にすぎませんが、未来の探査機によってその存在が証明されるかもしれません。

 

核融合反応

 (太陽フレア wikipedia)

 

太陽の中心核は、2500億気圧に達し、温度は1500万℃になっています。このため、水素原子が熱核融合反応を起こし、莫大なエネルギーを生み出しています。水素原子(H)4個がヘリウム原子(He)1個に変換されると質量が0.7%減少する。この差が光と熱のエネルギーになります。0.7%というと僅かなように思えますが、巨大な太陽の質量で換算すると莫大なエネルギーになるわけです。1グラムの水素がヘリウムに変換されるときのエネルギーは1000トンの水を沸騰させるに等しく、太陽の場合、毎秒6億トンがヘリウムに変換されているわけで、どれくらい莫大なエネルギーかわかりますね。

 

内部構造 太陽核

(1. 太陽核 2. 放射層 3. 対流層 4. 光球 5. 彩層 6. コロナ 7. 太陽黒点 8. 粒状斑 9. 紅炎 wikipedia)

 

半径10万kmの中心核は、2500億気圧、温度は1500万℃に達する。そこでは、水素の熱核融合反応によって、熱と光のエネルギーが生成されている。このエネルギーの大部分はガンマ線となって太陽表面に達し、宇宙空間に放出されるが、太陽表面にエネルギーが伝わるまで10万年以上を要する。中心核からはニュートリノも放出されるが、こちらは他の物質と反応することなく、短時間で太陽表面に達する。

 

放射層

 

太陽核を40万kmの厚さで覆っている。放射層では対流が起きてなく、中心核で発生した熱は輻射によって表面に運ばれる。これには非常に長い時間がかかり、最近の研究では17万年が必要と考えられている。

 

対流層

 

放射層の外側にある20万kmの層で、対流によりエネルギーを外側に伝えている。

 

光球

 

厚さが300kmから600kmの薄い層で、可視光で確認できる太陽表面に相当する。中心核で発生した熱と光のエネルギーは、光球の表面から宇宙区間に放出されるが、光球の表面温度は6000℃と比較的低い。光球の表面には、黒点や白斑と呼ばれる模様ができる。黒点は、周囲より低い温度(3000℃~3700℃)であるため、黒く見えている。

 

彩層

 

光球の上空2000kmまでは、6700℃~9700℃のプラズマ大気層がある。皆既日食の際に、光球がすっかり月の影で隠されると、赤い彩層を見ることができる。

 

コロナ

1999年8月11日の皆既日食で見られたコロナ(出典:Wikipedia)

 

彩層の外側では、200万℃に達したコロナと呼ばれる希薄なガスの層が、太陽半径の10倍以上の距離まで広がっている。コロナのプラズマの一部は、太陽の引力を振り切って宇宙空間に放出される。太陽方面が6000℃なのに、なぜコロナが100万℃以上に熱せられているのか、詳しいことはまだわかっていない。この問題を解明するために日本の太陽観測衛星「ようこう」や「ひので」が活躍しています。光球の明るさが強すぎるため、コロナは普段は見ることができないが、皆既日食によって光球が月の影ですっかり覆われると、白く輝くコロナを観察することができます。

 

太陽黒点

通常の機材で撮られた写真だが、夕日の中央に肉眼黒点が確認できる wikipedia

 

光球の表面にできる黒い模様で、実際にはこの部分も光を放っていますが、周囲(6000℃)に比べると温度が低い(4000℃)ので、黒く見えます。太陽の自転に伴って、磁力線が光球の表面から飛び出してきます。その磁力線と光球表面が交差するところに、黒点が発生します。黒点付近では強い磁力のためプラズマの対流が妨げられ、周囲よりも温度が下がっていると見られます。したがって黒点の数を観測することで、太陽活動の活発度具合を知ることができます。黒点の数が少ないときは、太陽活動は低いレベルになり、黒点が多いときは、太陽の活動は活発で、巨大なフレアから発せられる太陽風が、地球に甚大な被害をもたらすことがあります。

 

フレア

NASAの太陽観測衛星SDO(Solar Dynamics Observatory)が捉えた太陽フレア

(出典:http://www.afpbb.com/articles/-/3021481

 

太陽表面で発生する爆発現象で、黒点の活動が活発なときに黒点付近で発生することが多い。数万kmの高さに吹き上げられた炎は、巨大な炎の竜が襲いかかってくるように見える。フレアの発生に伴い、大量のX線、ガンマ線、高エネルギーの荷電粒子が太陽風となって放出される。太陽系の惑星は様々な影響を受ける。地球では極部まわりに巨大なオーロラを発生させるくらいならまだよいが、強烈な電磁波が電離層を乱して通信障害が起き、コンピューターのような弱電機器は電磁パルスによって破壊されてしまう。また、発電所の変圧器や送電線は瞬時に焼けて断線し広範囲に停電が発生する。

 

 

太陽嵐

 

1859年9月にイギリスのキャリントンが観測した太陽フレアは過去最大で、地球は記録上最大の太陽嵐に襲われた。これはキャリントン・イベントと呼ばれている。通常は発生しない低緯度のフロリダやキューバで大規模なオーロラが観測された。オーロラは満月よりも明るく夜空を照らし、その明るさで新聞が読めたと報告されている。当時の通信システムはもっぱら電報であったが、発生した誘導電流により、電信局の交換台では火花が飛び散り、記録紙が焼け、交換手はバッテリーを外さなければならなかった。しかし、空気中を伝わる強烈な誘導電流によって、電源なしでも通信ができたと言われている。

 

1859年は、日本でいえばまだ江戸時代。記録上最大の磁気嵐が襲ったとはいえ、電気はまだ普及してなく、人々の生活にさほどの影響はなかった。しかし現代で1859年のような磁気嵐が発生した場合、世界中が大混乱に陥るでしょう。

 

高エネルギー荷電粒子

 

巨大なフレアから発生した高エネルギーの荷電粒子は、地球の軌道上をまわる人工衛星や高高度を飛行する航空機に搭載されたコンピューターを破壊し、GPS衛星や気象衛星が機能を停止します。また、宇宙ステーションの搭乗員は強烈な放射線の影響を受けるため、太陽フレアの発生を確認したら直ちに防護エリアに非難しなければなりません。しかし、荷電粒子はほとんどが地球の大気や地磁気によって拡散されるため、地上の人々への影響はそれほど大きくありません。

 

コロナ質量放出

 

本当に怖いのは、太陽コロナから放出されるコロナ質量放出(CME : Coronal Mass Ejections)です。 CMEが地球を直撃すると、大気中に巨大な電流が発生します。そしてそれは導電性があるもの、例えば地面などを伝わって、電気を使うあらゆる機器に侵入し、壊滅的な被害を与えます。変電所の変圧器コイルは、巨大電流による高熱で溶けて単なる銅の塊になり、電気の供給はストップ。広範囲に発生した停電は、復旧に長期間要するでしょう。現代はあらゆるものが電気に依存しています。信号機は停止してしまうため、車は道路を走れません。冷房や暖房も電気にたよっています。冷蔵庫の食品はみるみる腐っていきます。水道も浄化システムが電気で動いているためストップ。携帯電話やインターネットはもちろん使えません。復旧には何年もかかります。夜は真の闇になり、経済活動は完全にストップしてしまいます。実は、2012年7月に巨大なCMEが地球の公転軌道を襲っていました。地球はたまたま直撃コースとは離れたところにいて無事でしたが、もし1週間ずれていたら大惨事になっていたところでした。

 

人類はこのような脅威から逃れることはできないのでしょうか。CMEが放出されるスピードは比較的遅く、太陽フレアの発生から数日後に地球軌道に到達するとされています。したがって、太陽フレアの観測を常時行っていれば、CMEの放出を予測して何らかの対策をとる猶予があるわけです。変電所では重要な機器を遮断して大電流が侵入しないようにするなどの対策ができるでしょう。現在すでに、いくつかの太陽観測衛星が地球の軌道上を回り、太陽フレア発生の監視を続けています。

 

太陽観測衛星 ようこう

(太陽観測衛星 ようこう wikipedia)

 

ようこうは、旧文部省の宇宙科学研究所が開発し、1991年8月30日に鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられました。主に太陽のX線を観測し、約10年間、軌道上で観測を行いました。2001年12月14日に、姿勢制御がうまくいかなくなり、太陽電池パネルに光が当たらなくなったため電力が供給されず、2004年4月に運用が停止されました。最終的にようこうは大気圏に突入し燃え尽きています。ようこうは、磁気リコネクションと呼ばれる磁力線がつなぎかわる現象によって、磁場のエネルギーが太陽フレアに転化される仕組みを解明しました。また、地球に甚大な被害をもたらすコロナ質量放出(CME)の前兆をX線で観測することに成功し、予測に向けて可能性を見出したことも、大きな成果です。

 

太陽観測衛星 ひので

(ひのでの打上げ wikipedia)

 

ひのでは、ようこう の後継機として、日本がアメリカ、イギリスと共同で開発した太陽観測衛星です。2006年9月23日に、M-Vロケットで内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。ひのでは、可視光磁場望遠鏡(SOT)、X線望遠鏡(XRT)、極端紫外線撮像分光装置(EIS)、という3台の望遠鏡を搭載し、太陽の磁場や電流の精密な観測などを行うことで、太陽フレア発生の仕組みを明らかにし、太陽嵐の予測を可能にすることを目指しています。

 

 

(第22号科学衛星ひので SOLAR-B wikipedia)

 

また、太陽のコロナは100万度を超える超高温になっていますが、太陽表面が6000℃なのにその上空でコロナがなぜこんなに高温で熱せられているのか。また、コロナ質量放出と呼ばれている現象がなぜ起きるのかについて、明らかにすることも重要な目的です。ひのでは、地球の北極・南極の上空を通り、昼夜の境を飛ぶ軌道を回っています。これによって、1年のうち9ヶ月間、地球の影に入らずに太陽を見ることができます。太陽フレアの発生を常時監視し、危機を回避するためにも、長時間連続して観測できることは重要です。

 

ACE(探査機)

(太陽と地球間のリサジュー軌道上を周回するACE wikipedia)

 

ACE(Advanced Composition Explorer)は、アメリカのNASAが1997年8月25日に打ち上げた太陽観測衛星である。太陽から放出される高エネルギー粒子を24時間体制で観測しており、地球に磁気嵐が到達する前に警告を発する。現在も運用中で、2024年まで軌道を回りつづける燃料があるといわれています。

 

SOHO(探査機)

(SOHO 探査機 wikipedia)

 

SOHO(Solarand Heliospheric Observatory:太陽・太陽圏観測衛星)は、アメリカのNASAと欧州宇宙機関(ESA)によって開発され、1995年12月2日に打ちあげられました。打ち上げから20年以上にわたり太陽の観測を続けており、太陽フレアの発生予測を行うためのデータをリアルタイムで地球に送り届けています。ACE衛星と同じ太陽と地球の間のラグランジュ点付近に位置しています。

 

 

アルマ望遠鏡

チリ・アタカマ砂漠の大型電波干渉計(電波望遠鏡)(出典:Wikipedia)

 

チリのアタカマ砂漠に設置されている66台のパラボラアンテナ群で、ひとつの巨大な電波望遠鏡のように機能する。アルマ望遠鏡は太陽の彩層と呼ばれる部分の温度を直接観測することができ、彩層が太陽表面よりも高い温度に加熱される仕組みを解明しようとしています。口径12mのアンテナ54台と、7mのアンテナ12台で構成され、その中には日本製のアンテナも16台あります。アンテナは移動式で、アンテナの間隔を広げるほど解像度が上がり、最大で18.5kmまで拡大することができます。そのときの解像度は驚異的で、なんとハッブル宇宙望遠鏡の10倍にもなります。

 

アルマ電波望遠鏡が撮影したおうし座HL星にできつつある原始惑星系 wikipedia

 

2014年にアンテナの間隔を15kmに広げて試験的な観測を行った結果、450光年先のおうし座HL星で、惑星系が出来はじめている様子を撮影することに成功しました。恒星のまわりに渦を巻いているガス雲の様子が鮮明にとらえられていて、まるでCGのようです。まだ試験的な観測とはいえ、その性能に今後の活躍が期待されています。

 

ジェネシス(探査機)

(ジェネシス探査機 wikipedia)

 

ジェネシスはアメリカのNASAが2001年8月8日に打ち上げた太陽探査機です。ジェネシスは地球と太陽の間のラグランジュ点と呼ばれる重力の平衡点にとどまり、太陽から放出される粒子を採集し、地球に持ち帰りました。それには、太陽系の起源を探るうえで重要な意味があります。原始の太陽系は、超新星爆発のあと、宇宙空間に散らばったガスや塵が互いの引力で集まって、やがて太陽を中心とした円盤状のガス雲に成長していきました。太陽は太陽系全質量の99%を持っていますので、太陽の組成を調べれば、太陽系が出来はじめたころのガス雲が何でできていたかわかるわけです。太陽表面は非常に高温なので、ジェネシスは太陽から放出される太陽風の成分を採集します。ジェネシスには5つの円盤があり、それぞれに6角形をしたウェハーが多数取付けられてあります。ウェハーは、ダイヤ、金、サファイヤ、シリコンの薄膜でできていて、これに太陽から放出された粒子を付着させますが、5つの円盤で集められたものを合計してもわずか10~20マイクログラムにしかなりません。

 

(ユタ砂漠に激突した回収カプセル wikipedia)

 

約2年かけてジェネシスは宇宙空間で採集を行い、2004年9月8日地球に帰還しました。ところが、パラシュートが開かずに、カプセルはアメリカ ユタ州の砂漠に激突してしまったのです。信じられないことですが、加速度センサーが、設計図と逆向きに誤って取り付けられていたのが原因でした。時速300km以上でカプセルは地上に激突。しかしウェハーの大部分は破損を免れ、貴重なサンプルを地球に持ち帰ることに成功しました。

 





キタノモリ

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経歴:航空宇宙関連の会社勤務
趣味:ウルトラランニング
気になる宇宙分野:宇宙探査機、火星探査、太陽系外の惑星

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