広告 宇宙エレベーター

想像の世界が現実に!宇宙エレベーターの実現に向けて

2017年4月24日

(画像引用元:宇宙エレベーター wikipedia)

 

“宇宙エレベーター”と聞いて、皆さんは何を思われるでしょうか。SF好きの方であれば、1979年に発刊されたアーサー・C・クラークの『楽園の泉』を思い浮かべるかもしれません。その小説の主人公・天才建築工学者のモーガンの熱意と情熱が今、まさに今を生きる科学者たちや建築技術者たちによって本当に実現されるかもしれないというのです。今すでに実現に向けてのプロジェクトも始まっているのです。今回は、今まさに実現に向けて歩み始めている宇宙エレベーターについて、その構想がどのように始まり、現状がどのような状況なのかをお伝えできたらいいなと思います。

 

人類が宇宙へ進出するという構想→宇宙エレベーターへ

(画像引用元:K・E・ツィオルコフスキー wikipedia)

 

エッフェル塔が完成した1889年頃、ロシアのコンスタンチン・ツィオルコフスキーというロケット研究の第一人者、宇宙開発の嚆矢的人物とも呼んでいい物理学者がいました。人類がロケットを使うことなく宇宙に移住するなど数々の“現実味を帯びた予言”的発表を残しています。当時彼は、宇宙へ続くほどの高さのある“塔”の実現を予言しました。残念ながらこれは物理的に今の所は不可能なことなのですが、彼はこんな言葉をのこしています。

 

『地球は我々のゆりかごである。しかしいつまでもゆりかごの中で生きていくわけにはいかない。』

(※元々はロシア語の言葉です。英訳してから日本語に訳した言葉です)

 

当時はまだ空を飛ぶことに挑んだライト兄弟たちの時代でもあり、ツィオルコフスキーの発言は、あまりにも壮大すぎて脚光をあびることはありませんでした。しかし彼の死後、彼の残した論文などから、それらが相当に周到に計算され、物理的に可能なことが多いことから一気に注目を浴びました。それから100年以上が経過した今、私たちの宇宙への夢や試みは、ロケットをはじめ多くの研究者たちによって現実のものとなりました。

 

さて、時代は1960年代。ロシアの科学者ユーリ・アルツターノフが世界で初めて“宇宙エレベーター”を提唱します。その方法は、宇宙と地球をケーブルでつなぎ、そのケーブルを使って上り下りするという画期的な計画発表でした。まさに宇宙エレベーター構想の原型とも言っていいアイデアです。

 

その発表に感化されたのはイギリス人のアーサー・C・クラークでした。冒頭でもご紹介しましたが、『楽園の泉』という小説は、宇宙エレベーターをテーマにしたもので、私たち一般人にもその夢の実現を示唆してくれるような作品でした。今活躍している宇宙科学の科学者たちの中にも、この小説に少なからず影響を受けた方もいるのかもしれません。

 

このような経緯を経て、“宇宙エレベーター”の構想が広がり始めました。21世紀の今、それは人類の夢ではなくなりました。“宇宙エレベーター”実現に向けてのプロジェクトが動き出しているのです。

 

最新の宇宙エレベーター構想ってどんな感じのもの?

 

(画像元:宇宙エレベーター 概念図。大林組の宇宙エレベーター建設構想

 

実は宇宙エレベーター構想というのは、現時点(2017年4月時点)では珍しいものではなく、いくつかあるようなのですが、(著者自身いくつかあって驚いている状況です)今回は著者が初めて知った宇宙エレベーター構想について書きたいと思います。その建設の中心となる会社は日本の会社、あの東京スカイツリーを建設した会社が主体になっています。その概要は、ケーブルを使って宇宙と地球をつなぎます。全長は約10万キロにも及ぶと計算されています。その方法は、まずロケットを使って建設用の宇宙船(宇宙基地局のようなもの)を設置します。宇宙船の場所は、地球と自転を同じくする地球からの高度36,000キロの静止軌道上です。その宇宙船から地球に向かってケーブルを垂らしていきます。そのケーブルを垂らしていく際ですが、そのまま地球方向にケーブルを垂らすと、地球の重力によって地球方向に引っ張られ、ケーブルと宇宙船ごと地球に落ちてしまいます。ですので、そうならないために、地球とは逆方向にもバランスを取りながらケーブルを伸ばしていきます。(だから長さが全長10万キロにもなるのですね)地球方向へ垂らすケーブルの先端部分には、自らの位置が軌道修正できるように推進器のようなものを設置します。そうでないと、自転の影響でケーブルが横に流されていくということがシミュレーションで明らかになったためです。大気圏突入後はバルーンのようなものを使ってケーブルの動きを制御し、まずは1回目の宇宙船と地上とのケーブル設置が完了です。その状態ではケーブルの強度が弱いので、1回目に貼ったケーブルを使って昇降機のようなものを設置し、さらに幾重にもケーブルを重ね、ケーブルの強度を上げていきます。着工は2025年、建設費用およそ10兆円、2050年には実現に…ということで、随分と計画的に現実的に完成までのスケジュールが描かれているようです。どうでしょうか?宇宙エレベーター構想、本当に今すぐにでも建設が始まりそうな具体案が挙がっていますよね!

 

宇宙エレベーターが現実になるとイイことがたくさんある!

 

ある試算によると、ロケットを使って1キログラムの物資を宇宙に運ぶのにかかる費用は100万円なのに対し、宇宙エレベーターの場合では1万円程度で済んでしまうのだそうです。それにロケットの場合はその重量の9割は燃料で、エコの問題も指摘されますが、宇宙エレベーターの場合だとその心配は無用で、ゴミを出さない、エコな宇宙への旅が実現する、というわけなのです。さらに、宇宙基地を増設し、電力の供給設備を整えると、様々な方面の宇宙ビジネスの展開、惑星や月などへの旅行なども今よりもずっと現実味を帯びてきそうです。

 

 

問題点は・・・

 

書けば書くほど楽しみでワクワクして色々なイメージが膨らんできます!が…その前に現実に戻り、現時点での究極の問題を挙げたいと思います。

 

問題その1 ケーブルの素材がない!

(画像引用元:カーボンナノチューブ wikipedia)

 

「え?マジですか?」と言いたくなるような状態ですね。そうなのです。最も基本的に必要な部品であるケーブル。これが今まだ“ない”のです。ケーブルは丈夫で軽くなければならないですし、とりわけ劣化は許されません。でも現実的にそれが今本当に“ない”のです。ただ、期待されているのは1991年に日本の科学者によって開発されたカーボンナノチューブ(CNTとも言われます)です。今最も宇宙エレベーターのケーブルとして利用できると言われている素材・カーボンナノチューブは、強度は言うまでもなく、電気や熱をよく通す素材で、21世紀のスーパー物質などとも呼ばれ、様々な方面から期待されている新しい素材です。…ただ、さらに問題として挙げられるのは、この素材はこれまで携帯の電池系など小さな部品の一部に利用されてきたために、ケーブルのように長く使う目的がありませんでした。と言うよりも、実際のところ長くする必要がなかったのです。そこで今、カーボンナノチューブを長く大きくする研究が着々と進められています。科学者の皆さんに期待したいと思います。

 

問題その2 エネルギー供給の方法が未定!

 

仮にケーブルが設置され、昇降機が設置されたとしても、その動きの元となる電源の供給方法がまだ確立されていないのです。バッテリーを積むには重量がかかりすぎて重いということで、地上からのレーザー、マイクロ波、地上からと宇宙船からの同時電力供給などいろいろ検討されているようです。実際に地上や宇宙空間での電力供給の実験も次々に行われるようになってきているので、こちらも科学者の皆さんのご活躍に期待したいと思います。

 

最近の宇宙エレベーター事情

(軌道エレベータの基部の想像図 wikipedia)

 

今、『宇宙エレベーター協会』という一般社団法人が設立されているのをご存知でしょうか。決して不可能ではなくなってきたこの技術の実現に向けて、現実的にそれに向かって突き進んでいる団体です。各地での学会を始め、「宇宙エレベーターチャレンジ」という毎年恒例となったイベントも企画しています。大学や企業などの開発者たちが研究を重ねて挑むコンテストです。ここではケーブル伝いに昇降機をどのくらいの高さまで上げることができるか、重い重量を背負った状態ではどうか・・などの研究成果が披露されています。若い研究者や科学者たちの今の努力の積み重ねが、きっと近い将来宇宙エレベーターを現実のものにしてくれると期待したいと思います。

 

宇宙エレベーターのまとめ

 

人間は色々な不可能を可能にしてきました。1960年代の有人宇宙飛行、月面着陸への試みもそうです。医療分野でも環境分野でも人間は色々なことに立ち向かい、研究し開発し、たくましく生きてきました。宇宙エレベーターが完成すると、そこから先の分野が幅広いです。宇宙旅行や宇宙基地はもちろんのこと、宇宙開発事業、レジャー、産業、宇宙農業なんかもでてくるかもしれません!私たち一般人が日常的に宇宙への行き来や移住ができる世界は、実はもう直ぐ目の前なのです。ただ…残念ながら筆者が生きている間にはその世界を見ることはできなそうですが、子孫たちにその夢を託したいと思います。宇宙はビッグバンで誕生しました。私たち人間は、その長い時間と膨大な空間の中のほんの一部に登場しているのです。私たち人類が地球を離れ、宇宙に飛び出そうとする試みは、もしかしたら生まれた地にかえろう(行こう)とする自然の摂理かもしれない、そんな気もしています。

 

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