木星

木星の嵐はどうなってるの?大赤斑内ではとんでもない台風が起こっていた

2018年4月5日

 

木星は太陽系第5惑星で、ガスが主成分の巨大惑星です。

ということで木星は、普通惑星と言えば連想する「大地」というものがなく、

大気の上層が惑星の表面として確認されます。

 

実はこの木星、特徴的な「大赤斑」において

風がものすごく吹いているということをご存知でしょうか?

 

木星の大気はどうなっている?

 

木星の風についてお話する前に、

まずは木星の大気の特徴についてみていきましょう。

 

木星は太陽系の惑星の中でもっとも大きな惑星です。

さらに、普通の惑星、地球のような地表部分がなく、

ガスが主成分となっている星です。

上層の大気は大部分の水素と少量のヘリウムガスでできています。

 

また、木星は「磁場」が非常に強く、地球の磁場よりも14倍も強いものとなっています。

 

磁力は赤道では4.2ガウス、極部分では10〜14ガウスというもので、

これは太陽黒点以外では太陽系で最大の磁力であり、

地球の磁場の約2万倍という数値になります。

磁極は自転軸と多少ずれていて、地球とは極性が逆になっています。

 

この非常に強い磁場が、

金属水素でできたマントルの導電物質の対流活動を作るという説があります。

 

木星の磁気圏は、衛星「イオ」が火山活動により軌道の上に放出される二酸化硫黄ガスが、

硫黄・酸素等のイオンになって、

木星からの水素イオンと共に赤道上に「プラズマ・シート」を形作るという特徴があります。

 

このシートは、自転する磁気圏によって回転し、遠心力で引き伸ばされて円盤状になります。

その内部では電子0.6〜30.0メガヘルツという強い電波バーストを発しています。

 

太陽風と磁気圏が、

木星の半径の75倍という領域で相互作用から「バウショック」を起こしています。

 

バウショックと磁気圏の境界との間の内側が

「磁気圏境界面」になり、木星磁気圏を覆っています。

 

ここに向かう太陽風は、風下に木星磁気圏を誘導し、

外側はなんと土星の公転軌道まで達しています。

 

大きな衛星はみな磁気圏を公転していて、太陽風から護られています。

 

ただ、この磁気圏の内部は高いエネルギー粒子で満たされ、

地球の「ヴァン・アレン帯」を厳しくしたような環境です。

 

強い磁気のため木星には常にオーロラが生じています。

そのエネルギーは地球のオーロラの1000倍にも相当しています。

 

「大赤斑」内ではとんでもない台風が!

 

木星で特徴的なものに、赤道の南22度の表面にある「大赤斑」があります。

これは、周りの温度が2度ほど低いので高気圧性の嵐と想定されています。

 

この「大赤斑」は、地球からでも口径12cmくらいの大きめな望遠鏡があれば見ることができて、

少なくても1831年には見られており、1665年にも存在していたとされています。

 

赤斑の元である嵐は安定していて、今後も木星がある限りは消えないとされていますが、

この赤斑がこれほど長い間維持される仕組みというものは解明されていません。

 

地殻の突起部分のためとか、「ソリトン」ではという説もありましたが、

巨大な台風とする説が妥当とされています。

この大赤斑は、長径が2.4キロメートル〜4万キロメートル、短径が1.2キロメートルから1.4万キロメートルで、

なんと地球が2〜3個がまるごと納まる大きさです!

 

そしてこの大赤斑内部では、台風がとんでもない暴風となっています。

なんと風速が秒速180m、早い部分では秒速350mにもなっているというからおどろきです。

 

秒速350mといえば、銃から発射される弾丸とおなじ速さということになります。

もしもこの中で何かが飛ばされていたら、

弾丸が飛んでいるのとおなじ状況ということになってしまいます。

 

地球で最大の竜巻でも秒速約140mですから、

この大赤斑内部でどんな現象が起こっているのか検討もつきません。

 

また、この台風は普通の台風と仕組みが違っています。

 

地球の普通の台風は低気圧から出来て周りよりもへこんでいますが、

大赤斑の台風は高気圧から発生していて周りより盛り上がっているとされています。

 

普通の台風は数週間ほどで消えますが、

大赤斑の台風は350年も存在しているというのもすごいことですね。

 

さらにこの大赤斑上空の温度は1300度とされています。

これは地球で最も高温の溶岩より熱い数値です。

 

木星の上層大気のなかではこの大赤斑の上空が一番高温で、

「ネイチャー」によれば、この高温の原因は大赤斑の強い嵐により

生まれた音波が大気上空を加熱している可能性があるとしています。

 

アルプスやヒマラヤ、アンデス山脈東部などの地球の大きな山脈の上空においても、

小規模ながら木星の大赤斑上空のようなことが起きている可能性があるそうです。

 

地球上の嵐は消滅して地球数個分のような大きさになることはありませんが、

山脈に吹きつけそれを越えていく風は音波を生成し、

上空を高温にすることができると考えられています。

 

2000年には、南半球に小さいながらもこの大赤斑と同じような大気現象が現れています。

これは小さい楕円形をしたいくつかの嵐が1つとなったために形成されるもので、

この現象のうちの3つは1938年に確認されていました。

 

これが「オーバルBA」とされ、また「赤斑ジュニア」というかわいいあだ名もつきました。

その後は斑がさらに大きくになって、色も白〜赤に変化ししています。

 

 

地球ではありえないほどの台風

 

木星の大赤斑の激しい台風についてでした。

強烈な嵐の音波が上空をとんでもない高温にするというからすさまじいですね。

やはり宇宙には我々には想像もできないことがたくさん起こっているようです。

 

-木星