冥王星

冥王星にメタンの砂丘が発見!メタンでできている砂丘とは?

2018年8月2日

冥王星

 

冥王星の表面にメタンの砂丘が発見されたというニュースがありました。

これが、これまでの冥王星についての予測を覆すような発見とされています。

今回はこの冥王星に発見されたメタンの砂丘について紹介します。

 

なじみのある冥王星

 

冥王星といえば、海王星と並んで地球から最も遠い惑星の一つとして長らく知られてきました。

 

肉眼では確認できない冥王星は、太陽系のすべての惑星より小さくて質量も圧倒的に少なく、

月の0.2倍以下という数値で、冥王星よりも質量が大きい衛星はガニメデやタイタンなど7つもあります。

 

学校の授業では惑星の順序として「水・金・地・火・木・土・天・冥・海」

と覚えた人が多いでしょう。

 

ただし、最近では冥王星は「惑星」でなくなって、

「準惑星」というものに区分されることになったというニュースがありました。

 

慣れ親しんでいた人にとってはちょっと残念かもしれませんが、

国際天文学連合による惑星の定義として考えると準惑星になるんだそうです。

 

また、冥王星はアメリカ人にとって特別な惑星でした。

これはクライド・トンボーという、アメリカ人が見つけた唯一の惑星だったからです。

 

このため、冥王星が準惑星に「格下げ」したときは、

アメリカでは失望や不満の声が多くあったそうです。

 

メタンでできている砂丘とは?

 

そんな冥王星は、太陽から非常に遠いためにとても寒い極寒の土地とされています。

そのため、冥王星の表面では不可思議な地形が見られます。

数百という隆起が等しい間隔で並んでいて、

まるで巨大な地球外生命体が残した指紋のようにさえ見えます。

 

科学誌「サイエンス」では、

研究者が最近このような地形がメタンでできている砂丘であるということを報告しています。

 

これは驚くべき事実になります。

なぜなら、砂丘というものは風によってできる地形ですが、科学者は冥王星の大気は希薄であり、

砂丘ができるほど強い風が吹かないと推測していたからです。

 

論文の執筆者のひとり、ドイツのケルン大学の数理地球科学の講師エリック・パルテリ氏によれば、

地球でこのような砂丘が砂によって形成されるには、非常に強い風が必要としています。

 

「冥王星は重力が非常に弱く大気圧はとても低いので、

堆積物を運ぶことを維持する風力は地球の100分の1で可能かもしれません」

と同氏は語ります。

 

冥王星ではさらに、太陽熱放射により粒状氷層内で温度勾配が生まれることも、

これを形成する一因になっているそうです。

 

「総合すれば、冥王星で通常ある風の条件にこれらの作用が合わされば、

砂丘ができる可能性があることが研究で判明しました」とパルテリ氏が述べています。

 

 

メタンの粒子が地表に溜まった?

 

冥王星などの天体に砂丘があるという事実は、そこに粒子を動かせる大気と動く粒子

があるということになります。冥王星のその粒子は、

砂流ほどのメタンの氷でできているとされています。

 

2015年、冥王星を「ニューホライズン」というNASAの探査機が調査した画像の中に、

この砂丘が発見されました。

 

スプートニク平原という大きな氷でできた平原の北に、

メタンでできた隆起が連なっていることが発見されました。

 

白っぽい直線上の隆起は、長さが約20kmの場所もあり、

面積は合計で約800平方キロメートルとなります。

 

メタンの砂を運び、地球の砂丘のような地形を作らせた風は 、

このスプートニク平原にそびえる山脈からふき降ろされたとされています。

風は砂丘に垂直に拭き降ろされ、

黒っぽい筋を残したために研究者がその風向きを調べることができました。

 

スプートニク平原という平原は、基本的に柔らかな窒素の氷で構成されているので、

今回のメタンの砂は周辺の3000mほどの山から引き下ろされたと考えられています。

 

凍っている山頂に太陽の光があたることで、

氷が気体になってメタンの粒子が冥王星の薄い大気に上昇し、

その粒子が秒速で8mから11mの風で運ばれます。

 

このようにしてできた砂丘ですが、高さはまだ不明です。

研究者はこの砂丘はできてから50万年未満と予測しています。

 

研究者は冥王星のメタンの砂丘と北アメリカのデスバレー・メスキートフラットのような小さい砂丘、

中国の西部にあるタクラマカン砂漠と言った横砂丘と比べています。

 

これまで砂丘があるとは思えなかった天体にそれがあったということは初めてではなく、

欧州宇宙機関の「ロゼッタ」という彗星探査機が2014年〜2016年に

探査したチュリュモフゲラシメンコ彗星で砂丘に近いさざなみ模様を見つけたことがありました。

 

冥王星のように 、大気が薄い天体で風から送られてきた物質が溜まった場所があるなら、

木星のイオや海王星のトリトンなどの衛星にはどういった活動があるのだろうかと研究者は考えます。

 

冥王星は凍った不毛の天体とされていました。

 

しかし、これが今では予想しなかったくらい

活動的・カラフルな天体だったということが判明しています。

 

このメタンの砂丘は多くの予想外の出来事のひとつでしかないでしょう。

 

 

これまで予想できなかった冥王星の姿

 

冥王星にメタンの砂丘が発見されたというニュースでした。

 

知られざるというイメージがあった冥王星でしたが、これからどんな発見があるのでしょうか。

 

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