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火星探査機「オポチュニティ」が役目を終える!輝かしい探査の歴史を解説

2019年4月4日

火星上のオポチュニティ wikipedia

火星上のオポチュニティ wikipedia

 

「オポチュニティ」とはNASAの火星探査機です。このオポチュニティが、先日活動を停止してその役目を終えたというニュースがありました。

 

オポチュニティの活動期間は予定の50倍だったということで、大きな話題になっていました。

というわけで、ここではオポチュニティとその最後についてご紹介してみましょう。

 

火星探査機「オポチュニティ」とは?

火星上のオポチュニティ wikipedia

火星上のオポチュニティ wikipedia

 

NASAの火星探査機「オポチュニティ」は、正式名称を「マーズ・エクスプロレーション・ローバーB(MER-B)」という長い名前を持っています、

よく知らない人は、「B」という文字がついているのが疑問ですよね。

 

これは、「マーズ・エクスプロレーション・ローバープログラム」という2台の探査機の2号機という意味があるためで、もうひとつの1号機には「スピリット(MER-A)」という名前がついています。

 

「オポチュニティ」が火星・リディアニ平原に着陸したのは、「スピリット」がこの平原とは反対側に着陸した3週間後の、今から15年前ほどの2004年1月25日午前5時5分でした。

 

この探査車は想定耐用期間を大きく上回って火星の地質学的分析を行い、活動の状況は、1週間ごとにNASAの「ジェット推進研究所」ウェブサイトから見ることができました。火星での移動距離は2013年の5月16日から「35.760km」になり、1972年の12月に3日間月面走行したアポロ17号・月面ローバーの「35.744km」の記録を破りました。

 

探査機の地球外走行距離というものは、意外にもロシアの「ルノホート2号」が持っていました。「ルノホート2号」は1973年1月に月に着陸し、37kmという探査機の地球外走行距離を記録しました。

 

42.195kmを記念して名付けられた「マラソン・バレー」 wikipedia

42.195kmを記念して名付けられた「マラソン・バレー」 wikipedia

 

しかし、オポチュニティは2014年7月末日に走行距離が25マイル、約40kmに達して、41年ぶりで探査車の地球外走行距離の記録を塗り替えました。

 

オポチュニティの火星調査

オポチュニティの着陸後、初めて撮影されたカラー写真。メリディアニ平原が映っている wikipedia

オポチュニティの着陸後、初めて撮影されたカラー写真。メリディアニ平原が映っている wikipedia

 

オポチュニティは火星の調査を行っていましたが、その過程についてみていきましょう。オポチュニティは偶然火星のクレーター内に着陸しましたが、このとき土壌・岩石を調査し、風景も撮影することができました。

 

この分析結果よって、火星表面に「赤鉄鉱」があることが判明し、過去には水があったかもしれないという仮説にもつながりました。2005年4月〜6月にかけ、走行が困難な砂丘に入り、車輪の複数がそこに埋まってしまいました。

 

ここで6週間以上地球で実験が行われ、脱出するための案が考えられました。結果、数センチほどの緻密な動作により、何とか無事に脱出に成功しました。2006年9月後半、ビクトリア・クレーター外縁部に着いて、この外縁に沿った探査を続け、2007年9月〜2008年8月まではクレーター内部の調査をしました。

 

2014年1月、水の作用でできるという「スメクタイト」という鉱物を発見しました。 この月の24日に、火星に着陸して10周年を迎えました。

 

2014年9月には以前からコンピュータのトラブルが10回以上も起きていた問題のため、フラッシュメモリの再フォーマットを遠隔から操作することになり、NASAはなんと地球から約2億キロメートルも離れた距離に遠隔操作でフォーマット作業を行っています!

 

 

オポチュニティはどのように動いていた?

オポチュニティの移動経路 wikipedia

オポチュニティの移動経路 wikipedia

 

ところで、オポチュニティはどのように動いているのかが疑問で知りたいところですよね。オポチュニティは、自律プログラムと地球からの遠隔操作の併用で稼動しています。基本的には自律的プログラムで動作で、このプログラム外イベントで地球から人間が遠隔操作します。

 

地球〜火星間が約7500万kmで、光速で4分10秒の距離を遠隔操作するというのがとんでもないですね!

緊急事態が起きたときは、その異常を地球のチームが知るのは、最短で4分10秒以後になります。

 

ただ、オポチュニティはお伴の衛星が居て、これが火星を周回しています。このお伴の衛星を介し、地球とデータ送受をしていました。通信速度は4.8kbs〜0.96kbsの間で、これは「インマルサット衛星」経由で通信する速度とほぼ等しいということです。

 

 

オポチュニティの最期

オポチュニティが残した轍 wikipedia

オポチュニティが残した轍 wikipedia

 

このように火星で予定を超える期間にわたって調査活動をしていたオポチュニティが、先日ついに動かなくなりました。2018年の6月1日、火星を覆っている不透明度10.5という大規模な砂嵐によって太陽電池充電ができなくなったため、同月6日に低電力モードになり、同月10日の以降は応答も途絶えました。

 

復旧に向けたコマンド送信も続けられましたが、今年の2019年2月14日にこのコマンド送信も終わり、長きに渡ったオポチュニティの火星探査ミッションは終了しました。やはり問題だったのは、2018年6月に起きた火星観測史上で最大の砂嵐でした。

 

それでもチームは再起動するチャンスを探っていました。2018年11月から2019年1月にかけては、火星で強い風が吹く季節でした。この季節風が、ソーラーパネルに積もった砂を吹き飛ばしてくれるかもしれないと期待したのです。

 

当初のオポチュニティの活動期間はなんと3カ月ほどでした。これがその50倍という14年もの長い間活動できたのは、このような季節風によってソーラーパネルがクリーニングされたことも大きいとされていたからです。

 

しかし、今回は期待もむなしく、通信は途絶えたままになりました。

2019年の1月末、チームはオポチュニティに「アンテナの誤動作・内部時計故障を修正するためのコマンド」を送信します。可能性は低かったものの、これがチームの最後のかけでした。しかしこの修正コマンドもオポチュニティを動かすことはできませんでした。

 

こうして、オポチュニティは風が強い火星の「忍耐の谷」と名づけられた小峡谷で永遠に機能を停止することになりました。

ここで探査機「オポチュニティ」「スピリット」の火星探査機ミッションが正式に終了しました。

 

オポチュニティは他のどんな火星探査機より長い期間し、その時間はなんと他の火星探査機の活動時間合計よりも長いという記録になり、まさに大健闘といえるでしょう。

 

火星で活動を停止したオポチュニティ

 

先日活動を停止したNASAのふたご火星探査機のひとつ、「オポチュニティ」についてでした。オポチュニティは、火星に水が存在したかもしれない数々の証拠を発見した功績をあげました。

 

誰もいない火星で佇む「オポチュニティ」を想像すると、なんかかわいそうな気分にもなりますが、いつか人類が火星に到着したとき、もしかしたらその機体の残骸がみつかるかもしれません。

 

 

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