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中国の月探査機「嫦娥5号」が月の物質サンプルを回収して地球に帰還!

2020年12月30日

嫦娥5号 wikipedia

嫦娥5号 / wikipedia

 

今年2020年11月23日、中国の月探査機「嫦娥5号」が打ち上げられ、月に到着し、「月の石」2kgを回収して、12月17日に地球に帰還しました。これまで宇宙探査というとNASAというイメージがありましたが、今回は中国の探査機ということで、興味が沸きますね。

 

ということで、今回はこの「嫦娥5号」の月探査についてのお話です。

 

「嫦娥5号」の打ち上げとその後の経緯

嫦娥5号 wikipedia

嫦娥5号 / wikipedia

 

最近、「嫦娥5号」という中国の探査機が打ち上げられたというニュースがありましたね。この「嫦娥5号」、最初に読み方がわかる人はほとんどいないと思いますが(笑)、「じょうが」と読むそうです。嫦娥5号は月探査機で、最大の特徴は、月面の「月の石」を採集して持ち帰るという点です!

 

これは、中国の宇宙探査史上もっとも大きなミッションで、月にサンプルを地球に持って帰ることが実現すれば、1976年に旧ソ連の「ルナ24号」が持ち帰った、月の地表にある物質170グラムを地球に持ち帰ってい以来、約44年ぶりの快挙となります。

 

嫦娥5号は、2020年11月24日、中国の文昌衛星発射場から、「長征5号」というロケットによって打ち上げられました。嫦娥5号は軌道船/帰還船/離陸船/着陸船があり、鏨を打ち込み月の深層土壌を採取する機構とロボットアームで月の土壌をつかむ機構という、2つのサンプリング機構が搭載されていています。

 

ここで、打ち上げ後の経緯についてみていきましょう。打ち上げられた「嫦娥5号」は、11月28日に月の周回軌道に入り、軌道調整を経ながら、30日に周回機から月面着陸機・離陸機が予定どおり分離しました。12月1日、着陸機・離陸機は、約15kmという月の上空からからゆっくり垂直降下、し西経51.8度・北緯43.1度付近、地球から見て「月のウサギ模様の腰ぐらい」のところという、月の海「嵐の大洋」の北西にある「リュンカー山」付近に軟着陸しました。

 

その後、着陸船で太陽電池パネルを展開・アンテナのセットアップを行い、いよいよ月のサンプル採取を実施。「中国国家航天局」によると、12月2日には月の表面をドリルで掘って、ロボットアームでいくつかの地点からサンプルを採取して、収納を完了させたということです。月のサンプルを採取したのち、離陸船がサンプルを持って月面にある着陸船から上昇、軌道船とドッキングしてサンプルを帰還船に移動させました。そして、この帰還機は無事2020年12月17日に地球に帰還しました。

 

月の火山活動が分析できるかも

 

周辺の月面地形の観測・地質の調査をして、サンプルの分析データと、研究室の解析データの関係を調べます。それらは着陸した地点周辺の地形調査ではサンプル採取地辺の地形/構造やクレーターとその分布など、物質成分の調査ではサンプルの物質成分や物理特性/構造、地殻の温度勾配などです。地球に持ち帰られたサンプルは、長期間研究室で測定されて体系化され、月の成り立ちや歴史に対しての知識を深められるでしょう。その中でも注目なのが月の火山活動です。

 

月の火山活動があったとされる期間は、これまでは月が形成されてから約10億年ほどとされてきました。しかし、現在では、場所によってはごく最近までマグマが流れていたらしいことがわかってきました。こうした活動で、古いクレーターが消えて火山岩が残されます。「嫦娥5号」が持ち帰った月のサンプルによって、月の火山活動が長く続いた理由やその歴史を調べられるのではと、中国の惑星科学者は考えています。

 

 

成功によって中国念願の月開発がついにスタートする!?

 

2004年にスタートした嫦娥5号のミッションは、中国念願の計画でした。「長征5号」というロケットはこの計画を想定して設計され、革新的なロケット技術が多く盛り込まれています。2017年7月に長征5号は2回目の打ち上げをしましたが、エンジンの問題で失敗し、嫦娥5号計画はこれで3年遅れました。今回のミッションが成功したのを足掛かりとして、中国は月開発へ向けて大きく前進したとされています。

 

 

日本の「はやぶさ2」と比較するメディアも

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

 

ところで、最近はちょうど日本の小惑星のサンプルリターン機「はやぶさ2」も無事に帰還し、ニュースとなりましたね。そのため、「嫦娥5号」のミッションの時期が重なっていたので、メディアではこれらを比較することもありました。

 

「はやぶさ2」と「嫦娥5号」は、月・小惑星では難易度のベクトルが違うので一概に比較できないとしても、中国のメディアでは日本の宇宙探査にはアメリカの影響があるとして中国独自の技術の優位性等を強調しました。しかし、嫦娥5号のサンプル採取が計画より少なかった点もあり、計画以上に成功した「はやぶさ2」の技術力も認めています。

 

 

月のサンプル回収は約44年ぶりの快挙

 

中国の月探査機「嫦娥5号」が打ち上げられ、サンプルである「月の石」を回収して無事に地球に帰還したニュースについてでした。月の物質を地球に持ち帰ったのは1976年のソ連以来、約44年ぶりの快挙ということで、すごいですね。ニュースでも、月のサンプルが厳重に保護されて施設に入っていく様子が放送されていたのが印象的でした。

 

打ち上げ管制室でもサンプルを運ぶ人も、やはりコロナの影響で全員マスクをしていました。これまで宇宙開発といえばやはりアメリカのNASAという感じでしたが、中国も宇宙には大きな関心があるようです。

 

 

 

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