先日、なんとロシアのロケット「ソユーズ2-1b」の打ち上げ途中に雷が直撃するという事件が起こりました。雷というものはご存知のとおり、とんでもないエネルギーをもっている電光ですよね。
では、ソユーズ2-1bはその後いったいどうなったのでしょうか?ここで、事の経緯とその後について説明してみます。
ロシアのロケット「ソユーズ」シリーズとは?
先日はロシアのロケット「ソユーズ2-1b」が打ち上げの途中で雷を受けてしまうという事件がありました。ではその前に、ロシアの「ソユーズ」とはどういったロケットなのかをおさらいしてみましょう。
ロシアには「ソユーズ」というロケットのシリーズがあり、ソユーズ2はもちろんこの2代目のロケットということですね。ソユーズというのはソ連(現ロシア)が計画した、使い捨てタイプのロケットです。
欧州宇宙機関ESAの2004年に書かれた記事では、「世界で一番打ち上げられているロケット」とされています。なぜかといえば、ソユーズの使い道は多くあり、有人打ち上げや国際宇宙ステーションにプログレス補給船を輸送する、スターセム・アリアンスペースといった商用打ち上げ等で利用されているからです。
ソユーズは中心が二段構成ロケットで、周囲にロケットが4基あります。アメリカではこの4基は補助ロケットですが、ソユーズではこれを一段目にしているのが特徴です。
「ソユーズ2」は低軌道にペイロードを送る事が主な目的の3段式ロケットです。
第1段ブースターと2基のコアステージ噴射装置が従来のものより強化されたエンジンになっています。
デジタル式の飛行制御と「テレメトリーシステム」によって、固定した発射台でロケットを打ち上げるように企図されています。ソユーズ-2は高い軌道にペイロードを送る為に、上段ロケットを載せて打ち上がることもできます。上段ロケットは独立の飛行制御装置・テレメトリーシステムを備えます。
バイコヌール宇宙基地とプレセツク宇宙基地から打ち上げられていて、今回のソユーズ2-1bのような派生機種と施設が共用されています。ソユーズ2には、「2-1a」「2-1b」「2-1v」という種類があります。
このうち「2-1a」「2-1b」は「ソユーズU」の改良型で、2.1vは側面ブースターがない軽量版です。
今回の「ソユーズ 2-1b」は、第2段エンジンを液体酸素・ケロシンを推進剤に使う「二段燃焼サイクル」のロケットエンジンに交換することにより、a型よりも性能を向上させています。
なんと雷がロケットに直撃!
この「ソユーズ2-1bロケット」が今年5月27日にロシアの宇宙基地から打ち上げられました。上段ステージにフレガードが搭載され、衛星測位システムである「GLONASS」更新用衛星を予定の軌道に投入するために打ち上げられたのですが、このとき誰も想像しなかったような事件が起こりました。
ソユーズ2-1bロケットがプレセツク宇宙基地から打ち上げられて数秒後、このロケットにあの「雷」が直撃したのだです!
その映像を捕らえたニュースもありましたが、まさに直撃という感じで雷がロケットに落ちています。
Поздравляем командование Космических войск, боевой расчёт космодрома Плесецк, коллективы РКЦ "Прогресс" (Самара), НПО имени С.А.Лавочкина (Химки) и ИСС имени академика М.Ф.Решетнёва (Железногорск) с успешным запуском КА ГЛОНАСС!
Молния вам не помеха pic.twitter.com/1cmlZ4hD1g— Дмитрий Рогозин (@Rogozin) 2019年5月27日
ただ、その後は何事もなく、無事に宇宙に打ち上げられています。
NASAの関係者は、「ソユーズはさまざまな気象でも打ち上げられていますが、今回は悪い条件でした。しかし、ロケットにはなんの影響もありませんでした」と語っています。
Roscosmosのディレクターも、「雷は影響しなかった」とコメントしています。
ソユーズにはこういったアクシデントを考えて防御システムがあり、落雷によってロケットシステムの影響はなかったそうです。
実はこれまでにもロケットに落雷はあったんです
しかし、ロケットに雷が落ちるなんて、そんなことってあるの?と思いますよね。なんだかハリに糸を通すような確率って感じですよねえ。
しかし、これまでも稀にですが発生していたようです。有名なのは1969年の11月14日、「アポロ12号」のミッションで、サターンVロケットが打ち上ったとき、雷に2回も打たれたことです。
これについて、「最も恐ろしいことだった」とNASAのエンジニアのChristopher Kraft Jr.氏は語っています。それでもアポロ12号は無事に打ち上がり、搭乗していた宇宙飛行士は月に降り立ちました。
ロケットは想像以上に丈夫
ソユーズ2-1bロケットが打ち上げの途中で雷に打たれたというニュースについてでした。いやあ、ロケットって意外と丈夫にできているんですね。上空には大気圏とかもあるし、そのような丈夫な構造になっているのでしょう。