先月4月24日、日本人の宇宙飛行士星出彰彦さんら4名が乗り込んだスペースXの「クルードラゴン」が、無事国際宇宙ステーションにドッキングしたという話がニュースになりましたね。国際宇宙ステーションにはすでに同じ日本人宇宙飛行士の野口聡一さんも滞在していたので、二人が面会したシーンも話題になりました。
ところで、このクルードラゴンは再利用されたものだったことをご存じでしょうか。これが、実はすごいことなんですね。今回はこのお話についてです。
星出さんらが乗る「クルードラゴン」、ISSにドッキング成功
先月の4月24日、宇宙航空研究開発機構・JAXAの宇宙飛行士の星出彰彦さんを含めた4人が乗る宇宙船「クルードラゴン」が、国際宇宙ステーション・ISSに無事ドッキングしました。ドッキング後、日本時間20時5分にクルードラゴンのハッチが開き、星出さんを含めた4人の乗組員はISSで滞在中の宇宙飛行士7人と笑顔で面会しました。
星出さんはISSに滞在していた同じく日本人の野口聡一飛行士と面会、両社とも大いに喜びながらハグをしました。宇宙で日本人の宇宙飛行士が同時に滞在するのは、2010年の野口聡一さんと山崎直子さん以来、約11年ぶりということで、その前回も野口さんだったんですね!
今、ISSにはアメリカの民間有人宇宙船「クルードラゴン」2機、補給船「シグナス」、ロシアの宇宙船「ソユーズ」とロシアの補給船「プログレス」2機という6機の宇宙船がドッキングしています。4月29日には、野口聡一さんを含めた4人の乗る「Crew-1」が、地球に帰還、メキシコ湾に着水する予定でしたが、天候の関係で5月上旬に変更されました。
民間企業で初の再利用宇宙船
今回のこのニュースで、実は画期的という点があります。それは、このISSにドッキングに成功した宇宙船クルードラゴンが、「民間企業で初めての再利用宇宙船」だったという点です。このクルードラゴンは、2020年5月の「Demo-2」ミッションで使われた機体を再利用していました。
これが、地味に思われるかもしれませんがすごいことなんですね。これまでに有人宇宙機を再使用した機体は、アメリカの「スペースシャトル」がだけでしたが、今回が2度目の成功で、民間企業が開発して運用した宇宙船が再使用されたことは今回が初めてになります。宇宙船を再利用で最も大きなメリットは、やはり「コストの削減」です。
スペースシャトルを除いた有人宇宙船や打ち上げロケットというのは、これまでは全て使い捨てでした。有人ロケットで特にコストが高いのは「宇宙船部分」と「エンジン」ですが、これを再利用することで圧倒的にコストを下げることができるのです。
スペースシャトルの再利用では、点検・交換で予想外の費用になったため、週に1回とされていた打ち上げの頻度が1年で4・5回になり、1回の飛行で約1,200万ドルという費用でしたが、事故対策を含めると約10億ドルにまで大きくなってしまったのです。今回のクルードラゴンのコストは、現在1人あたり5,500万ドルとされていて、4人乗りだとすれば2億2,000万ドルになりますが、上記のシャトルと比べて非常にコストダウンですね。
また、使い捨てのロシアの宇宙船「ソユーズ」よりも安いコストになります。現在、ソユーズの費用は1人につき8600万ドルとされているので、スペースX社のクルードラゴンは、使い捨てのロケットを下回るという、抜群のコストで有人機の打ち上げに成功したということになりますね。
やはり、今後はスペースXを筆頭に、宇宙にも民間企業が進出してきそうですね。
再利用宇宙船は大幅コストダウン
アメリカのスペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」が、無事ISSにドッキングに成功したというニュースでした。今回のクルードラゴンには日本人の宇宙飛行士星出彰彦さんも含まれていて、ISSに滞在していた野口聡一さんとの面会もニュースになりましたね。
また、今回のクルードラゴンは、民間企業の宇宙船で初の再利用された宇宙船だったという点も見逃せません。これは、これまでに比べて非常に低いコストでロケットを打ち上げることができるということに成功したわけです。これからどうなるか楽しみです。