「スーパームーン」というのは、地球から見て月が大きく見える現象なんですが、
なんとこのスーパームーンが今年の新年始まったばかりの元旦の夜から2日にかけて観測されました。
今回はこのスーパームーンについて説明してみましょう。
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この記事の目次
スーパームーンとは?どれくらいの周期で見られる?
まず最初に、スーパームーンというのは正式な天文学用語ではありません。
この言葉は、占星術の言葉となっています。
満月あるいは新月と楕円軌道の月が地球へ最接近することが重なって、
地球から見る月の形が最大に見える現象のことをいいます。
「スーパームーン」はいつ、どれくらいの周期で見られるものなんでしょうか。
まず、満月周期は、月が近点(月が軌道中で地球に最も近いたとき)で
太陽・地球と並んでいる間の期間では約411.8日とされています。
つまり、14回目の満月が「スーパームーン」ということになるでしょう。
ただし、周期の半分でも満月が近点に近づいて、
その直前・直後の新月もスーパームーンになります。
ということで、1回の満月周期のたびに3回のスーパームーンが起こるということになります。
満月のスーパームーンは満月周期によっては大体1年に1回観測できますが、
地球・月の位置によって2014年のような数回観測できる場合もあります。
また、最近では、最接近して近点で前後の1時間以内に満月か新月を迎える現象が
「エクストリーム(エクストラ)・スーパームーン」 ともいわれていて、
この満月は、18年に1度という間隔となっています。
最近の年では、1950年以・1955年・1974年・1992年・2011年・2014年となっています。
スーパームーンという言葉は天文学界使われていなくて、
それに似た言葉として「perigee-syzygy」(近点惑星直列)や
「perigee full・new moon」(近点満月・新月)と言われています。
「惑星直列」というは、地球・月・太陽が一列に並んだ状態で、
満月・新月の度ごとに起こっています。
つまりスーパームーンは近点と惑星直列2つの組み合わせということになりますが、
毎回一致している訳ではありません。
2016年の最大の大きさに見える満月は、最小の大きさに見える満月と比べて、
直径約14%、面積30%大きかったというデータがあります。
しかし、実際には最大の大きさの満月を見ても、
「大きい」と感じられることはあまりないとされています。
これは、普通の月の大きさをきっちりと覚えている人は少ないからです。
つまり、実際にはそれくらいの違いということになります。
たまに、「あれ、なんかすごい月が大きく見えるなあ」という日がないでしょうか?
私も、何度かすごく大きな月を見たことがあります。
最初見たときの感想はいつもの大きさと違うので「ちょっと怖い」という感じでしたね。
夕方に地平線近くの昇ってきたばかりの高度の低い満月は、大きく見えるとされていますが、
これは、目の錯覚からきているそうです。
「月の地心距離」という言葉のややこしさ
月の見方というものにはややこしいものがあります。
「月から地球までの距離」というのは通常、
「地球の中心から月の中心までの距離」のことを言います。
この距離を「月の地心距離」と呼びますが、
地球の中心から月が大きく見えるということは、月の地心距離が小さいということになります。
もちろん、人間は地球の中心から月を眺めていませんよね。
地球の表面、色々な所から見ているわけで、
月の地心距離が小さいということでも、人間が見て月への距離が小さいとうことではないのです。
月が頭の真上近くにある場合、
その人は「月の地心距離」より約6400キロメートル近い場所から月を見ているということになります。
月が地平線の近くに昇ってきたときは、
観察者〜月までの距離が「月の地心距離」とほぼ同じになります。
地平線近くの月は錯覚というのは実際には逆に、
頭の上近くにある月が地平線に近い月よりもちょっと大きく見えていることになります。
2016年の11月14日の満月では「68年ぶりという近さ」が話題となりました。
ただし、2016年11月14日の満月は月の地心距離356520.2キロメートルであり、
1948年1月26日の68年前の満月の地心距離は356490.6キロメートルであり、
その差たった30キロメートル。
また、1972年11月21日の44年前の満月の地心距離は356523.8キロメートルで、
2016年ほどではないものの、その差4キロメートルくらいとわずかです。
月を地平線近くから見るか天頂近くから見るかでは、
観察者〜月までの距離で約6400キロメートルも違うことになります。
観察者〜月までの約6400キロメートルという距離の差が考慮されず、
月の地心距離数十キロメートルという差が大きく取り上げられてしまうのは、
いささか不思議な感じですね。
スーパームーンが地球に与える影響は?
「スーパームーン」は地球に何らかの影響をもたらすとも言われています。
月は地球の海に影響を与えているというのはよく知られている話ですが、
月が満月・新月のときに海に最も大きな影響を与えます。
月が近点時では、潮汐力(ちょうせきりょく。
重力で起こる二次効果の一種)がいくらか強くなり、
「近点の大潮」を引き起こします。ただ、この時でも、数インチ程度の影響です。
潮汐力は逆三乗則に従うので、平均よりも19%力が大きくなりますが、
実際には潮の高さは各地で異なっているため、影響を測定しにくいのです。
また、スーパームーンが起こると地震が起こりやすくなるといわれています。
2011年に起きた東北地方太平洋沖地震、
2004年に起きたスマトラ島沖地震といった巨大な地震は、
その1週間〜2週間前に発生していたスーパームーンの影響があるのではという憶測があります。
深さが40km以内のすこし浅い場所で起こる地震では、
月の引力によって断層にかかった力が大きいほど地震が起こりやすくなるという説もあります・
東京大学の研究チームが2016年9月12日付電子版の潮英科学誌である
「ネイチャー ジオサイエンス」に発表した研究によれば、
1万件以上ものデータから、
潮汐力の強い時に巨大地震が発生確率が上がっていることが示されています。
今年早々にスーパームーンが観測されています
さて、そんなスーパームーンなんですが、
なんと2018年、始まったばかりの元旦の夜〜2日の朝にかけて、国内の各地で観測されています。
この日は月の中心〜地球の中心の距離が今年最も近いという35万6572キロメートルであり、
通常の満月よりも30%大きな満月が見られました。
そういえば、今年のお正月辺りに地震がありましたね。
上記のような説があるので、これもスーパームーンと関係しているのかもしれません。
実は私も、朝散歩をしていたら偶然見ることができました!
たしかに、通常よりも大きな月だなあと思っていましたが、
そのときはこれがスーパームーンだとは思っていませんでした。
みなさんは今年の元旦に現れたスーパームーンをご覧になられたでしょうか?
事前に知っていた人は、
「初日の出」と「スーパームーン」をおなじみのスマホで撮影した人なんかもいるかもしれませんね!
天体観測のきっかけにしてみましょう
地球から見て月が大きく見える現象の「スーパームーン」についてでした。
この言葉は天文学的にはっきりとは定義されていないのですが、
今年元旦のようなスーパームーンの話題から、
星空などの天文現象に関心を持つのも面白いのではないでしょうか?
「スーパームーン」といった派手な名前だけでなく、
その先にある宇宙の面白さにも注目してみましょう。