彗星というのは、地球からも肉眼でごくまれに見ることができる星です。彗星で特徴的なのが「尾っぽ」が付いていることです。もちろん、現在彗星の中で最も有名なのはやはり「ハレー彗星」でしょう。形態が近いので多くの人は「彗星って流れ星の事?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、彗星と流れ星は厳密には違うのです。たとえば、流れ星というとロマンチックでよいものが見れた!と思うかもしれませんが、彗星というのは古来から不吉な星とされてきました。大彗星が見えるのは「天変地異」の前触れだなどとも言われていたようです。昔、彗星の正体がはっきりと分からなかった人々には、長い尾と夜空を移動して行く彗星の姿を、人の心を惑わす不思議な星と認識していたのかもしれません。今回はそんな流れ星との違いについてなども含めた、彗星について説明してみます。
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彗星の成分を徹底解剖
彗星というのは、主として氷・塵などで構成されている、太陽系小天体の星です。太陽に近づき、大気の「コマ」、それから流れた「テイル」ができるのが特徴です。日本では、彗星の尾から連想して「ほうき星と」も言われることがあります。彗星の本体は「核」と呼ばれ、氷と塵でできています。核の一般的な直径は1-10kmほどで、小さいものでは数10mから、とても大きいものならなんと50キロメートルほどにも達するものがあります。質量は大きさにより違ってきますが、直径1kmほどの彗星では数十億トン、10kmほどの彗星では数兆トンとも言われています。また、彗星自らの重力によって球形になる質量が足りないので、核部分は不規則な形になっています。
彗星の「尾っぽ」の正体
彗星に尾ができるのは、「コマ」があるからです。彗星は太陽に近づくことによって凍りついていた核の表面が蒸発し、ここからガス・塵が発生して、大気となって核を覆います。これが「コマ」というものです。コマから放出された放射圧・太陽風によって尾ができます。尾は塵・金属でできている白っぽい「ダストテイル」、イオン化ガスでできている青っぽい「プラズマテイル」という種類があります。
彗星と流れ星の違いとは!?
あまり宇宙について詳しくない普通の人だと、彗星と流れ星は同じと思っている方が多いかもしれません。ただ、彗星と流れ星は厳密には違っています。彗星と流れ星は共に「尾っぽ」を引くのが特徴的ですが、彗星は太陽系小天体であり、流れ星は「宇宙の塵が発光してできる現象」のことをいいます。彗星というのは氷と微粒子が混じっているので、太陽に近づき氷が溶けることによってガスや微粒子が光って見えます。このとき尾っぽは太陽風に飛ばされているので進行方向とは関係なく太陽と反対に伸びるのが特徴です。これに対して流れ星は宇宙の塵が地球の大気に入り、その摩擦によって光が見えます。流星の尾っぽは、地球の高度100キロから光り、70キロあたりで燃え尽きるために、肉眼では一瞬だけ見えます。燃えながら地球に近づくので、流星の尾っぽは進行方向の後ろに伸びるのが特徴です。ほとんど同じなのかと思っていた彗星と流れ星には、このような違いがあったんですね。
彗星を見やすくする方法をご紹介します
流れ星と似ているようで異なる彗星ですが、昔は前述のように「不吉な前触れ」という説が信じられていました。しかし、現在ではあまりそんなことを感じる人はいないでしょう。では、なんとかして彗星を見る方法はないのでしょうか。彗星は、明け方か夕方が見つけやすくなっています。10倍の双眼鏡で見ると見やすくなり、彗星の「尾っぽ」も確認することができます。双眼鏡をを三脚で固定すれば手がぶれないので、もっとよく見ることができるでしょう。天体望遠鏡では、低倍率かつ視野が広い望遠鏡がよいでしょう。彗星の撮影ができる望遠鏡つきカメラ、自動撮影カメラもあるので、興味がある人は購入してみてはいかがでしょうか?
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