(画:ケプラーの超新星 (SN 1604) の超新星残骸 wiki)
宇宙で起こる「超新星」という現象をご存知でしょうか?
これは、大きな恒星の寿命が尽きるときに起きる、とても大きな爆発のことです。
とても大きな規模の爆発ということで、スケールが大きい話になりそうでワクワクしますね。
今回は超新星について説明してみましょう。
超新星とは、「超」な新星
(画:円盤銀河NGC 4526で観測された超新星: SN 1994D wiki)
まず、超新星というのは、「超」新星という
言葉になるので、新星とはなにかについてを説明してみましょう。
「新星」とは、星の明るさが数日間で急に増大する現象をいいます。
この新星のなかでも光が増大する度合いが非常に大きなものが「超新星」というわけですね。
この概念は、1933年にウォルター・バーデとフリッツ・ツイッキー
というふたりの天文学者よって生み出されました。
超新星という現象は、恒星が最終段階に入ると重力崩壊を起こして、
中性子星またはブラックホールになるときに外側が巨大な爆発として吹き飛ばされる現象です。
宇宙の初期段階では、
水素とヘリウムの同位体と微量のリチウム・ベリリウムの同位体があるだけでした。
ここから、恒星の内部の核融合反応でそれよりも重い
ホウ素・窒素・炭素・珪素・鉄のような元素が生まれ、これが超新星爆発
によって恒星間空間に広がっていきました。
鉄と言えば、だれもが重いものと考えるでしょう。
その鉄よりも重い元素が、超新星のものすごい爆発のときに生み出されており、これが「r過程」
と言われています。
また、超新星の爆発で起こった衝撃波もかなりの大きさとなり、
星間物質密度にもゆらぎを作って、新しい星の誕生にも影響を与えています。
宝石として一番の知名度をもつあの「ダイアモンド」も、
超新星の爆発によってできたとされています。
超新星が爆発する仕組み
(画:SN 1987A 複数のリング構造が見える。超新星爆発によるニュートリノが観測された最初の超新星残骸 wiki)
超新星の爆発のメカニズムは2つあります。
まず、炭素・酸素でできている白色矮星が連星をなし、
相手の星からガスが相互に流れ込んだ結果、
「限界質量」になることで中心部で起こる核融合反応の暴走により爆発するという仕組みです。
このような白色矮星は、太陽と同規模か数倍ほどの質量の星の、最終進化によってできる天体です。
白色矮星の限界質量は、太陽の質量の約1.4 倍ということが知られています。
核融合反応で出されるガンマ線で熱された物質が、星全体に燃焼波を伝えます。
爆発したことにより星は秒速10000kmほどの速さで膨張していきます。
断熱冷却によって星が急速に暗くなるため、
観測所から遠い銀河ではこのとき、爆発が起こったことが確認できません。
しかし、爆発時の熱を帯びたプラズマ状態のガスより放射された光が星表面に達することで星が明るくなり始め、
銀河と同規模の明るさで輝くことで超新星として観測されます。
この明るさのピークは爆発から約20日前後で、
さらに時間が経つと膨張が進んでガス密度が下がることにより、
放射性元素から出てくるガンマ線が物質を加熱せず星をすり抜けるようになってガスの温度が下がり、
超新星は暗く赤くなっていきます。
もう1つの爆発の仕組みは、太陽の10倍以上の質量を持つ星の最終段階で起こる大爆発です。
星の中心では核融合反応が起こり、鉄でできた核が形成されます。
その核が大きくなっていき、質量が太陽の1.3 倍〜数倍くらいになると
重力崩壊を始めます。中心の核は、原子核同士が触れ合うまで近づいた時に収縮を止めます。
中心核の半径は数10kmで、原始中性子星が生まれます。
収縮でガスが得たエネルギーは、いったん熱運動になって原始中性子星の内にとどまります。
原始中性子星はニュートリノを放射して冷えていき、
大部分のエネルギーが宇宙空間に運び出されます。
このとき、原始中性子星の質量が太陽の約3倍以上の場合は、
再び収縮を始めていきブラックホールになります。
超新星爆発が起こることで周囲に与える影響
(画:超新星残骸 おうし座のかに星雲 wikipedia)
超新星爆発が起きることでの周囲への影響はどのようなものなんのでしょうか。
超新星爆発では、すさまじいほどのガンマ線が周囲に放出されます。
この影響でなんと、爆発した地点から半径5光年内にある惑星の生命は滅び、
25光年内でも50パーセントの生命が死んでしまうそうです。
また、ガンマ線の影響で地表がすさまじく汚染されますが、
地下に住む下等生物には影響はないようです。
最近になって、地球でも古代の三葉虫などが超新星爆発によって絶滅したということが
明らかになっています。
200万年前に、地球から数百万光年離れた場所で超新星爆発があり、地球に大量の破片を浴びせました。結果、
地球の海底には鉄の放射性同位体である「60Fe」の痕跡が残されています。
これは、月の塵の中にも含まれているとされています。
さらに、これが人類の祖先に行動様式や体質などの多少の影響を与えたともいわれています。
超新星は比較的短い間隔で起こっているそうです
恒星の最後に起こる大爆発である超新星についてでした。
超新星といえば大規模な爆発現象であるため、ふつうはめったに起こらないもの
と考える人が多いかもしれません。
しかし、意外なことに平均で1銀河では40年に1度ほど、
我々の銀河系では100年〜200年に一度という割合で起こっているんだそうです。
2006年には地球から2億3800万光年離れたペルセウス座にあるNGC 1260銀河で最大級の超新星が確認
されました。
もっとも、これくらい離れた距離では地球の生命には影響を与えないということで、ほっと
一安心ですね。