宇宙雑学

【地球外資源】宇宙資源の小惑星を利用できる?

2018年10月3日

【地球外資源】宇宙資源の小惑星を利用できる?

 

ご存知のとおり、最近は人間の増加やその活動によって、

地球の資源が少なくなってきているというデータがあります。

そこで、現在注目されているのが「地球外資源」です。

地球外というわけで、もちろん宇宙の資源ですね。

ここでは、限りある地球の資源の代わりとしての利用が期待されている

「地球外資源」「宇宙資源」について紹介してみましょう。
 

宇宙資源が注目されだしています

 

宇宙資源の採掘なんて、まるで SFの世界のような話ですよね。

それが10年後には現実になるということです。どういうことでしょうか。

 

宇宙資源と言うのは、地球以外から採掘された資源のことです。

厳密に言えば地球の資源も宇宙資源なのかもしれませんが、

ここでは人間に分かりやすくなっているんでしょう。

 

つまり、月や火星などといった星などから取られる資源も宇宙資源ということになるでしょう。

資源というものにも色々なものがあります。

 

地球上では非常に産出量が少なくて、

貴重な金属である「レアメタル」が典型的な宇宙資源です。

 

その他にも、宇宙空間で必要となる水やエネルギー等も資源に含まれます。

こうした宇宙資源の採掘は最近数年間、

アメリカを中心に行われるようになってきました。

 

たとえば、アメリカで小惑星にある資源の採掘を目的にしたベンチャー企業、

プラネタリーリソーシズ社とディープ・スペース・インダストリーズという

2つの会社が設立されています。

 

ヨーロッパの小国ルクセンブルクでは、

こうした宇宙資源の採掘をする企業・宇宙ベンチャー企業に対しての投資が行われていて、

この2社もルクセンブルクに支社があります。

 

日本では、月ローバー競争の「グーグル・ルナーXプライズ」に加わっている

チームである「ハクト」を擁している

「株式会社アイスペース(ispace)」が、将来的に月資源の開発を計画していて、

こうした動きは広がっていくでしょう。

 

もうすぐ宇宙資源の採掘が開始される!?

 

かの有名なアメリカのワシントンポスト紙に、

「10年後には宇宙資源の採掘が当たり前のこととなる」と言う記事が先日掲載されました。

記事の最初に「水は宇宙における新しい石油?」という文があり、

宇宙資源採掘で水が重要になるとしています。

 

ロンドン・シンガポールに あるエネルギー関連の

コンサルタント企業「ナビタスリソーシズ社」 によれば、

中東の産油国が最近、その経済をデジタル経済や

知識ベース経済に変えつつあるということを述べています。

これまでのような石油依存のビジネスからあの中東産油国が脱退しつつあるということなのです。

 

アメリカのベンチャー企業では、スペース X 社やブルーオリジン社などのように、

低価格による打ち上げができる輸送機を開発することで

宇宙輸送のコストを下げようという動きがあることはおなじみです。

 

記事では

「このような状況から、中東の産油国が宇宙資源開発への投資をしようとしているとしています。

それは月小惑星にある水についてです。

 

これに投資することで、

中東への投資の活性化を図ろうとしているのです。

 

アラブ首長国連邦は宇宙開発に50億ドルという巨額投資を行っています。

中東はロケットや宇宙機の打ち上げに有利な場所で、長期的な宇宙開発を計画しています。

 

石油・ガスはいずれ産出量が減少し・枯渇します。

そこで彼らは、未来に向けての新しい技術に投資を始めているのです」

としています。

UAEだけでなく、中東が宇宙に新たなビジネスの場として考えていることは確かです。

 

同記事では、サウジアラビアとロシアが共同で宇宙開発にしての

協定を2015年に結んだことを説明しています。

UAE連邦の1国であるアブダビ自身も、最近は宇宙開発企業としても知られるようになった

「バージン・ギャラクティック」に投資していることも挙げています。

 

宇宙資源はもちろん魅力的

 

宇宙資源採掘は非常に魅力的です。

 

「ゴールドマン・サックス」は、

宇宙資源採掘は今まで考えられてきたより現実的なものであると述べ、

宇宙開発で燃料として水を利用することが、

宇宙の水利用において「ゲームチェンジャー」になるとしています。

 

実際に、月・火星で現地の水を利用して探査をするという、

日本語で「現地資源利用」ということが重要な研究になりつつあります。

また、もちろんレアメタル等も魅力的です。

ゴールドマン・サックスのリポートで、約109メートルほどの小惑星に含まれているプラチナだけで、

なんと50億ドルという価値を持つとしています。

 

このリポートはまた、「小惑星での資源の採掘が、

軌道上経済で必要になる資源の供給を担う役割を持つことになのではないか」ともしています。

 

このため、今後5年以内で地球の資源採掘会社・エネルギー企業は、

宇宙資源の開発を真剣に考えることになるだろう、と上記の記事では述べています。

一方、宇宙資源の採掘の戦略は現状では「ない」としています。

 

記事ではその技術として、小惑星探査機の「オサイレス・レックス」について述べていますが、

大きな規模での資源採掘と、

数キログラムというサンプルを持ち帰る探査機を同一視するのは問題かもしれません。

 

その点について記事では、

宇宙飛行士かつ小惑星の専門家というポール・チョーダス氏の話を載せています。

 

同氏は、毎秒十数キロの速度で動く小惑星を追い、

そこに資源があるかを調べるのは難しいと述べています。

 

「やればできるかもしれませんが、コスト的にかなり厳しいでしょう。

この問題に答えはありません。小惑星で資源の採掘ができるのか、調査を重ねないと。

ただ、小惑星の資源が将来に有望なのは間違いでしょう」と述べています。

 

宇宙資源採掘における問題点

 

宇宙資源の採掘は「4次元問題」があるとされています。

これは宇宙資源の採掘には4つの問題があり、

それらが複雑に交錯しているという意味です。

 

その4つの問題とは、

「技術」「法律」「心理的問題」「関心の低さ」

ということです。

 

この最後の「関心の低さ」については、

将来的に地球の資源が差し迫った問題になれば自然に高くなるだろうとしています。

 

このように、ワシントンポストの記事では、全体的には楽観的トーンで書かれています。

 

「10年後は宇宙の資源採掘が当たり前の時代になる」という見出しについても、

小惑星の資源採掘ベンチャー企業の人間の話も、希望的な部分がかなり強調されています。

 

中東産油国が宇宙開発を考えているという点を引き合いにして、

「宇宙開発や宇宙資源の開発に今後は巨額のお金が流れ込むのでは」という予想をしていますが、

どうなるのでしょうか?

 

 

将来的には宇宙資源がクローズアップされるでしょう

 

地球外資源、宇宙資源についてのお話でした。

楽観的見通しで書かれた記事のように、

「10年後には当然」とまではいかないかもしれません。

 

しかし、10年後かどうかは別として、地球の資源には限りがあるので、

将来はそうなっていく可能性は当然あるでしょう。

 

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