宇宙雑学

正体不明な惑星「惑星X」とは?

2018年10月3日

正体不明な惑星「惑星X」

 

現在、宇宙には「惑星X」という惑星があるということが仮定されています。

惑星Xの「X」というのは「未知の」という意味であり、このへんが興味をそそりますよね?

ここではこの惑星Xについてみていきましょう。

 

惑星Xの概要について

 

「惑星X」とは海王星より遠い軌道を周回していると仮定されている天体です。

このXという文字は、未確認という意味の「X」です。

 

惑星Xがあるという仮説はなぜできたのでしょうか。

 

これは、 天王星と海王星の公転に理論上の矛盾があるため 、

以前は9番目、1930年以降冥王星が発見されてからは10番目の惑星があるのではと仮定されていました。

 

それ以降は観測によって矛盾が解消されましたが、

最近では多くの太陽系外縁天体が分布されていること、

長周期彗星の起源等を説明するものとして、 現在でも惑星Xは仮定されています。

 

名付け親は日本研究家だった

 

19世紀の終わり、天文学者たちは海王星外側に未知の惑星ががあると仮定していました。

 

もともと海王星は、天王星・土星・木星の公転運動に観測した結果と理論上の矛盾があったことから、

数学者の計算によって見つかった星です。

 

この海王星が発見されると、

海王星を含めたこれらの惑星軌道に誤差が生じていることが判明して、

海王星の外側にも惑星があるのではないかと考えられるようになりました。

 

日本研究家であり、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」などの有名なSF作品に影響を与えた

天文学者パーシヴァル・ローウェルは、この惑星を惑星Xと命名しました。

 

この惑星Xが仮定された時は8個の惑星が発見されていたため、

Xとは数字の10ではない「未確認」という意味です。

 

Xという記号の使い方では、日本人だとこちらのほうが一般的ですね。

 

ローウェルは1909年まで惑星Xについての探索をして、

その後は位置予測に修正を加えて1913年〜1915年の2年間再び探索しましたが、

それでも惑星Xは発見できませんでした。

 

その後に、ローウェルは惑星Xについての軌道パラメータ仮説を発表しました。

この1915年に「ローウェル天文台」で冥王星の画像が2枚撮影されていますが、

当時ではこれが惑星だと認識されなかったようです。

 

その後に宇宙に向かった宇宙探査機「パイオニア」の10号や11号、

「ボイジャー」の1号や2号により、惑星Xの存在は否定されました。

 

探査機が外惑星周辺を通ったとき、惑星からきた重力による加速度から、

その質量が高精度で判明し、これにより地上での観測による計算での外惑星の質量が、

最大で約1%小さいということがわかりました。

 

この、修正された質量で外惑星軌道を決めることで矛盾が解消したといいます。

 

また、これら宇宙探査機の軌道から、

太陽系内の未知の大きい惑星の重力を想定しなくてはならないほどの誤差が検出されなかったことも、

否定される理由となりました。

 

天文学者たちはこの事実によって、

「惑星X」の役割は終ったと考えました。

 

しかし、天体質量が小さいとこの手法で検出できず、

外惑星軌道にも大きい影響を与えないため、

地球と同じくらいの質量を持った天体があるかもしれないという可能性はまだ完全に排除されていません。

 

Planet Nine(プラネットナイン)はあるのか?

 

2008年に神戸大学で当時のパトリック・ソフィア・リカフィカ研究員と向井正教授たちが、

惑星Xの軌道を予測算出しました。

 

この予想では、天王星・海王星は現在よりも内側で生まれ、

木星・土星の重力から外側に移動したという説から、

海王星の軌道近くの天体が海王星から押し出されるようにして外へ移動したとしてシミュレーションました。

 

「惑星X」は地球の0.3倍から0.7倍の質量で、

地球よりやや小さい直径、20 - 40の軌道傾斜角度、

近日点が80天文単位から以遠で、近日点近くの明るさは14等〜18等という予測です。

 

この予想から、2009年の秋から東京大学の「木曾観測所」・ハワイ諸島の「パンスターズ1」で探査計画が始動しました。

 

2016年の1月20日には、カリフォルニア工科大学の研究者が太陽系外縁天体の6個の軌道から、

「地球の質量の約10倍の質量がある天体が、

海王星から20倍以上という軌道を10,000年から20,000年かけて太陽を公転している」とする研究を発表しました。

 

これを研究者たちは「Planet Nine(プラネットナイン)」と呼んでいます。

 

「Planet Nine」が実在すれば、その影響で太陽系惑星の軌道面・垂直な軌道を持った太陽系外縁天体が予測され、

このような軌道の太陽系外縁天体は同大学のチームで4つ発見されています。

 

軌道上もっとも遠くにある場合、

これらの観測にはケックI/ケックII望遠鏡・すばる望遠鏡等の、

世界最大の望遠鏡が必要となります。

 

もうすぐプラネットナインが明らかになる?

 

アメリカ・ニューメキシコ州立大学の研究者によれば、

このプラネットナインは、かつての「自由浮遊惑星」が

太陽系に捕われて存在しているのかもしれないと語ります。

 

自由浮遊惑星というのは、重力に縛られずに銀河を公転している惑星です。

 

自由浮遊惑星・浮遊惑星という星は大量に存在している可能性があって、

太陽系付近でも観測されています。

これが恒星の数を上回るとも予測されていて、

銀河のダークマターの一部を説明できるかもしれないそうです。

 

自由浮遊惑星が大量に存在すれば、

この惑星も自由浮遊惑星だった可能性が高いとしています。

 

シミュレーションでは、太陽系に遭遇した60%の自由浮遊惑星はそこからはじき出されますが、

その内約10%は太陽系の惑星を最低1つは持って行くそうです。

 

そして、残りの約40%の自由浮遊惑星は太陽系の重力に捕捉され留まるそうです。

 

専門家は、謎のプラネットナインは2019年までに明らかになるとしています。

 

多くの研究チームが、最新の望遠鏡での観測を続けているため、

そう遠くないうちに結論が出されるということです。

 

惑星Xについての低予算SF映画もある

 

謎の惑星「惑星X」についてでした。

最近提唱されたプラネットナインについても気になりますね。

 

機会があれば今後紹介してみましょう。

 

ちなみに、「惑星Xから来た男」という、1951年の映画もありました。

 

これはアメリカの低予算のSF映画だったそうです。

B級映画が好きな人なら一度は見てみたい映画ですね!

 

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