宇宙雑学

SFではお馴染みの「パンスペルミア説」って一体どんな説!?

2017年12月11日

 

地球以外の宇宙に生命がいるかどうかについては、現在も調査や観測が行われています。

地球に似た惑星も発見されているので興味深いのですが、

そもそも地球の生命は本当に地球で誕生したのでしょうか。

 

この定義に一石を投じるのが「パンスペルミア説」です。

ここで、この説はどのような内容なのかをみていきましょう。

 

パンスペルミア説の概要や歴史について

(画:パンスペルミア説 wikipedia)

 

「パンスペルミア説」というのは、

地球の生命は宇宙から飛来した他の天体の微生物であったという仮説のひとつです。

 

このようなお話はSFなどではお馴染みなんですが、

実際のところはどうなのでしょうか。

 

この説は1903年、ノーベル化学賞を受賞したスウェーデンの科学者、

スヴァンテ・アレニウスが提唱しました。

アレニウスが1908年に出版した自らの本のなかで、

隕石に付着していないパンスペルミア自体が、

恒星の光の圧力で宇宙空間を移動できるという説を「光パンスペルミア」と呼んでいます。

 

地球の位置に届く太陽の光の圧力は5マイクロパスカルですが、

このわずかな値でも宇宙空間に浮かんでいるごく小さな物体なら移動が可能としています。

 

太陽放射に一番影響を受ける球体は直径160nmであるという推算値も示し、

自説の裏づけにしています。

 

これに対して隕石についた生命の種子という説には、

「弾丸パンスペルミア」や「岩石パンスペルミア」という呼び名があります。

 

1981年にはフランシス・クリックとレスリー・オーゲルが、

高度な宇宙生物が生命の種を地球に送り込んだとする説を提唱しました。

 

地球ができる以前の知的生命体が、

意図的に「種まき」をしたとする説を「意図的パンスペルミア」と呼びます。

これはもちろん、まるでSFのお話のようにも聞こえるでしょう。

 

しかし、クリックは生物学的根拠も提示しました。

地球上の生物では「モリブデン」というが

クロム族元素の1つが必須微量元素であり重要な役割を持っていますが、

「クロム」「ニッケル」は重要ではありません。

 

ところが、地球の組成は「クロム」「ニッケル」が多く、

「モリブデン」はわずかにしか存在していません。

 

これが、「モリブデン」が

豊富な星で生命が生まれた名残だという主張をしたのです。

 

もうひとつの論拠として、

地球の生物たちの遺伝暗号が非常に共通したものになっているのは、

「たったひとつの種」から地球の全ての生物に

変わっていったのではないかということを提唱しています。

 

現在、パンスペルミア説を検証する日本の共同チームが、

「たんぽぽ計画」というプロジェクトを進めています。

 

これは2015年5月から実施されていて、

国際宇宙ステーションの「きぼう実験棟」の船外に置かれたエアロゲルという

超低密度シリカゲルで宇宙空間を漂っている微小隕石・粒子を捕らえ、

そこには生命の種となるような有機化合物があるか、

微生物が惑星間移動に耐えられるかといった問題を検証する実験が行われています。

 

なんと、彗星に生命の種子が発見されていた!

 

そして2016年、なんと地球の生命は水星から運ばれたということが

ほとんど確定的になるかもしれない発見がありました。

 

5月27日のサイエンス誌に発表されたのは、

「彗星からすべての生命の種子となる基本要素が発見された」という事実です。

 

これを発見したのは「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」を探査していた

ESA(欧州宇宙機関)の無人彗星探査機[ロゼッタ]です。

 

関連記事:欧州宇宙機関ってどんなところ?ヨーロッパ版NASAの「ESA」の歴史を解説

 

宇宙観測史で初となる「彗星の直接調査」という重大任務で

探査機ロゼッタが2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道に到達。

 

11月に無人着陸機フィラエを投入、初めて人類の機器が彗星に降り立ちました。

その後無人着陸機フィラエのトラブルなどがありましたが、

ロゼッタは彗星のデータを着々と送っていきます。

 

このなかには、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」には

強烈な悪臭があることのデータも含まれていたそうです。

 

そしてついに、この彗星が大量の酸素に包まれたいたこと、

大気からアミノ酸・リン等の豊富な有機化合物が検出されたという、

非常に重要な発見をしたのです。

 

さらに、地球の生命が宇宙からきたことの説の最後の砦、

DNA機能を実行させる「RNA」が宇宙空間で形成された可能性を、

フランスの科学者グループが証明しました。

 

しかし、これは生命の基本的な物質が彗星に発見されただけであり、

それがパンスペルミア説の完全な証拠になるというわけにはなりません。

生命の素材は見つかったものの、

それらを組み立てるものがなんなのかは判明していないからです。

 

ただ、ロゼッタの主任研究員の女性、

キャサリン・アルトゥエッグ博士は、彗星に生命の種子があることが判明して、

宇宙で生命が存在している場所は地球だけではないことも判明したので、

古代の宇宙や地球で起きたようなことは、

宇宙のどこにでも起きている可能性があるとしています。

 

 

「生命は火星から来た説」を支持する研究者も急増中

 

生命は宇宙から運ばれてきたという「パンスペルミア説」についてでした。

最近では、火星から地球に生命の種子が運ばれてきたという説を支持している研究者も

急増しているそうです。

 

まるでSFのストーリーのような話でワクワクしてきますが、

もしかしたらもしかすると、これが本当の説になるかもしれません!?

 

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