火星

火星の表面温度は?大気はどうなっているの?

2018年2月4日

 

我々人間にもっとも馴染みがある太陽系の惑星といえば、やはり「火星」ですよね?

では、火星の表面温度や大気はどのようになっているのでしょうか?

今回はそのあたりについてご説明してみましょう。

(画:火星 wikipedia

 

火星の表面温度は?

 

火星は主に岩石・金属等の難揮発性物質からできている地球型惑星です。

表面がすこし赤く見えるので、英語では「Red Planet」とも呼ばれています。

火星の表面温度を知る前に、地表についてすこし学んでみましょう。

 

火星の地表は硬い岩石でできています。火星がうっすらと赤く見えるのは、

表面に水が無くて、酸化鉄、つまり「赤さび」が地表に大量に含まれているからです。

地球のほぼ半分ほどの直径で、質量は地球のほぼ10分の1であり、

火星の地表の重力は地球の40%くらいです。

 

火星の表面積は地球の陸地の面積である約1.5億km2とほとんど等しくなっています。

 

自転の周期は地球と非常に似ていて、

火星での1日は「24時間39分35.244秒」というからおどろきですね。

 

また、地球のように太陽に対し自転軸を傾けて公転しているため、

火星には「季節」があるのが特徴です。

 

火星の表面温度についてですが、火星の軌道は楕円形のため、

その結果として、太陽直下の温度が、「近日点」と」遠日点」で約30度も変わり、

これが火星の気候にも影響を与えています。

 

火星の表面温度は平均-55℃です。

しかし、太陽が当たる表面の赤道近くでは20℃ほどになり、

極付近は-153℃まで下がるといった、非常に広い温度差があります。

温度は地球と比べればだいぶ低くて、

生き物が生活するにはちょっと無理があるような環境ですね。

 

太陽系の八惑星の平均温度は?

 

太陽系には八個の惑星があります。

よく言われる「水・金・地・火・木・土・天・海」というように、

太陽から近い順に水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星という惑星が存在しています。

 

ではこの八惑星の平均気温はどうなっているんでしょうか?

気温が低い順に紹介してみましょう。

 

まず、太陽系惑星のなかで最も平均気温が低いのが天王星です。

太陽系惑星の中で海王星の次に太陽から遠いこの惑星が最も平均気温が低く、

なんと「-244℃」というからおどろきですね。

この平均気温の低さの原因としては「惑星の核」があり、

これが太陽からの熱よりもかなり多くの熱を出しているからです。

しかも天王星の核の温度は4,737℃であり、これが表面温度の低さの原因にもなっています。

 

2番目に平均温度が低い惑星は、太陽系惑星の中でも最も太陽から遠い「海王星」です。

天王星と同じようにこの惑星の外見は見るも美しい水色なので、いかにも寒そうです。

 

太陽系で一番外側を回っている惑星なので、

当然その距離だけに平均気温が低く、大気の上部は-218℃という温度です。

中心の核の温度は7,000℃のために、天王星よりちょっと暖かい惑星になっています。

 

3番目に低い温度の惑星は輪っかでおなじみの土星です。

平均温度が-178℃という、「冷たいガス玉」となっています。

また、軸に傾きがあり、北半球・南半球で違う温度となり季節も持っています。

 

大気の温度は低いのですが、中央は熱くなり、核部分は11,700℃となっています。

 

次は木星です。固い地表がないので正確には表面温度ではないのですが、

木星の大気の上の温度は-145℃と測定されました。

 

木星の次に温度が低い惑星は、先ほど説明した火星です。

上記の説明のように、火星の表面温度の平均は-55℃となっています。

 

次は我等が地球です。

太陽から3番目に近い惑星の地球の平均表面温度は-7.2℃なんですが、

複数の要因によって変化があります。

 

ここからは平均気温がマイナスを通り越して急激に高くなります。

 

水星は太陽から最も近い惑星であり、地球の7倍も太陽から光と熱を受けています。

昼になると表面温度はなんど465℃まで高くなるそうです。

しかし太陽の外側を向いてる夜の場所では、夜明け前に温度が-184°Cとなります。

 

太陽系惑星の中で最も平均気温が高いのは金星です。

太陽から2番目に近い惑星で、非常に厚い大気を持ち、二酸化炭素の強い温室効果のため、

表面温度は昼・夜問わず470℃にもなっています。

 

 

火星の大気はどうなっているの?

 

火星の大気はどのようになっているんでしょうか。

火星の大気はとても薄く、地表の大気圧は約750Paで、これは地球の1%程度の数値です。

ただ、大気の厚さである「スケールハイト」は約11kmです。

 

大気が希薄なので熱を保持しにくく、地表の表面温度は最高で約20℃です。

大気は二酸化炭素・95%、窒素・3%、アルゴン・1.6%で、

その他に酸素・水蒸気という成分で構成されています。

 

火星の大気の上は、太陽風の影響から宇宙空間に流出しています。

このために火星の大気圧・大気組成は長いスパンでは変化していく可能性があります。

 

2003年に地球からの望遠鏡による観測で大気にメタンが含まれている可能性が浮上し、

2004年3月のマーズ・エクスプレス探査機の調査では、大気中にメタンが確認されています。

観測されたメタンの量の平均値は、体積比にすると約11±4 ppbという数値です。

 

火星の大気は季節によって大きく変化しているといった面があります。

冬に数ヶ月間、極地方で夜が続けば、地表が非常に低温となり、

大気の全体25%が凝まり数メートルという二酸化炭素の氷の層をつくります。

極に日光が当たる季節ではその二酸化炭素の氷が昇華し、

極地方には400km/hもの強い風が吹き付けます。

 

これらの活動から大量の塵・水蒸気が運ばれて、地球に似た霜や大きな巻雲ができます。

 

火星が大気を失った理由

 

上記のように現在の火星の大気はとても希薄なのですが、

かつては分厚い大気層があったとされています。

火星が大気をほぼ失ってしまった理由に迫ってみましょう。

 

NASAによると、火星の大気が失われたのは、

「太陽系の初期に起きた激しい太陽風」が原因ということです。

NASAが2013年に打ち上げた火星探査機 MAVENでは、火星の観測を続けています。

目的は火星の大気の観測と太陽風の関系を調べることです。

 

観測データにより、太陽から噴き出したプラズマが、

火星に到達したときにイオンを吹き飛ばし、

太陽風が強まる時はイオンが消える量も増えることが判明しました。

 

では火星より太陽から近い地球の大気はなくならいのかというと、

地球には中心部に高温で動くコアがあり、このダイナモ効果で磁場が発生し、

これが地球に吹く太陽風から大気が吹き飛ぶのを防ぐ役割があるとされています。

 

火星も昔は磁場があって、ぶ厚い大気と海があったと考えられています。

この磁場がなくなったのは、コアの活動が弱まりダイナモ効果が薄れたことで、

磁場も弱くなってしまったという説があります。

 

磁場がない火星は今よりはるかに強い太陽風を浴び、

大気が宇宙空間に吹き飛ばされていきました。

 

これによって空気が薄くなり、地表の水が蒸発してしまったとされています。

ただし、最近では液体の水が存在していた根拠も発見されました。

 

火星には河川で削られたように見える谷や、水の存在がなければ作られない鉱物など、

水が過去に豊富に存在していた跡が発見されています。

数十億年前の火星では今よりもはるかに厚い大気があり、

河川・湖・海があるほど温暖だったのかもしれません。

 

最近でも、激しい太陽嵐が複数火星に衝突したときに大気の散逸が起こったことが判明しています。

調査の関係者は、太陽が若くてもっと活発だった数十億年前では、

火星の大気の散逸ははるかに大きかっただろうと考えています。

 

最近の調査で火星に氷が発見されました

 

火星の表面温度や大気についてでした。

火星も、昔は地球のように海が存在していたのかもしれませんね。

 

水が存在したということは、生命も存在していたのかもしれません。

最近は火星に氷があったという発見もされているし、このへんの調査の行方も見逃せません。

 

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