火星

地球に落ちてきた「火星隕石」はなんと生命の化石だった?

2019年6月5日

火星隕石 wikipedia 引用

火星隕石 wikipedia 引用

 

みなさんは、「火星隕石」というものをご存知でしょうか?これはつまり、地球に落ちてきた火星起源の物質ということです。隕石はもちろん有名ですが、火星から落ちてきた隕石があったということはあまり知られていないですよね。

 

さらに、この火星の隕石に生命の化石が付着していたかもしれないという話まであるのです!

今回はこの「火星隕石」や、そこにあった生命の化石について説明してみます。

 

最近多く認定されている「火星隕石」

火星隕石 wikipedia 引用

火星隕石 wikipedia 引用

 

隕石というのは惑星間の空間に存在していた固体物質が、地球等の惑星に落下してきたものです。ほとんどの場合、隕石といえば地球に落ちてきた宇宙の物質のことを指しています。これまでに地球で発見された隕石は数万個とされていますが、この内172個が火星起源だとされています。

 

そして、その多くが2000年代以降に認定されています。ということで、これまではあまり知られていなかったわけですね。

今まで地球に落ちてきた隕石は、起源を火星軌道〜木星軌道に多くある小惑星だと考えられていました。

 

それが、「エイコンドライト」いう隕石の中に、形成された年代が約45億年付近である多くの隕石より新しいとされ、玄武岩のような地球にもある鉱物・組織を持つ隕石が見つかりました。これで、月・火星に巨大隕石が落ちたとき、その表面の岩が宇宙空間に飛ばされ、この一部が地球に落ちてきたのではと考えられたのです。

 

「本当に火星のような遠い星から来たの?」と思う人もいるでしょう。しかし、これには科学的な証拠があり、そうとしか考えられないようです。

火星が起源の隕石は、S N C隕石(スニック)といいます。これは、「シャーゴッタイト」という186年にインドに落ちた隕石「ナクライト」という1911年にエジプトに落ちた隕石「シャシナイト」という1815年のフランスに落で見つけられた隕石の略です。

 

隕石が火星から来た証拠は?

火星隕石 wikipedia 引用

火星隕石 wikipedia 引用

 

これらの隕石が火星から来た証拠はあるのでしょうか。

 

それは、

「これらの隕石の生成年代が13億年ごろであること」

「宇宙空間であまり宇宙線を受けていないこと」

「地球に似た重力で作られた組織を持っていること」

 

などがあります。

 

これらの隕石には磁鉄鉱等の酸化した鉱物が含まれていて、大気がある環境の物質だったことが判明し、条件を満たす地が火星として挙げられましたが、それでも詳細はわかりませんでした。

 

1979年の南極で発見された「E E T 7 9 0 0 1」という隕石が、SNC隕石のシャーゴッタイトに分類され、その鉱物の中の希ガスを分析し、火星大気成分を分析した結果と一致しました。これにより、SNC隕石が火星から落ちてきた隕石であることが判明しました。

 

ただ、45億年前の年代でありながら、火星隕石という例外があります。それが、これから紹介する謎の多い「ALH84001」です。

 

 

火星隕石の中に生命の化石が!?

ALH84001 火星隕石 wikipedia 引用

ALH84001 火星隕石 wikipedia 引用

 

「ALH84001」の正式名称は「アラン・ヒルズ84001」といい、南極で発見された火星から落ちてきたとされる隕石です。

1984年12月に南極隕石探査プログラムの調査チームにより、南極横断山脈東端のアラン・ヒルズで発見されました。

 

ALH84001は約36億年前に火星の溶岩からできた岩石であると推定され、1300万年前〜1600万年ごろに火星に小惑星が衝突し、表面の破片が宇宙に飛び散り、1000万年以上も宇宙を漂流した後の、約1万3000年前に地球に落ちてきたされています。

 

なんともすごい話ですが、こんなことが推定できてしまうというのもすごいですね。この時期は、各種の放射年代測定を使って推定されました。そしてさらに、この隕石にはまるでSFのような話があります。

 

ALH84001に含まれる鎖状構造(電子顕微鏡画像)火星隕石 wikipedia 引用

ALH84001に含まれる鎖状構造(電子顕微鏡画像)火星隕石 wikipedia 引用

 

1996年にNASAのデイヴィッド・マッケイ博士が「火星古代生命の探索・火星隕石ALH84001の生物活動の名残りの可能性」という論文を発表し、このALH84001には生命の化石が含まれているとしました。この火星隕石ALH84001から奇妙な構造が見つかり、これが「バクテリアの化石」であったというのです。

 

電子顕微鏡の観察から、ALH84001に鎖状の構造をもつ、生物形態の残骸のようなものが含まれていることが見つかりました。直径は20nm〜100nmで、極小細菌の一つではないかと推定されています。

 

また、ALH84001の炭酸塩は生命が生存できる温度でつくられる、ALH84001の有機物は炭素13が少量しかないため、生化学反応の痕跡になる、磁性粒子はバクテリアが由来ということも、この説の証拠として挙げられました。

 

しかし、これについては現在まで多くの議論が行われ、確実に生物の化石であると断定されてはいません。

 

2000年代からの最近の実験により、無生物的プロセスでもALH84001と同じの構造ができることがわかりましたが、生物の痕跡だと考える研究チームは、実験の結果でALH84001のすべてを説明できないと、自説を主張しています。

 

このALH84001が、生命についての貴重な視点を提供したとする研究者もいます。

 

「我々は生命の本質や定義を言い表すことができず、生物と無生物の違いも詳しく理解していません。このような定義がなければ、火星の生命を定義することも難しいわけです」

 

この論争は、火星のサンプルが地球届けられるまで続くかもしれません。

 

 

好奇心をそそられる「火星隕石」でした

 

火星から地球に落ちてきた「火星隕石」と、その中の「ALH84001」に生命の化石が発見された話についてでした。まるでSFのストーリーのようでおどろきますが、これがあまり知られていないというのも変な話ですよね。

 

現在まで議論が行われていて、確実に地球外生命の化石であると認められたわけではないのですが、やはりこういった話は好奇心をそそられます!

 

 

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