NASA 火星

NASAの探査機「パーサヴィアランス」が火星に無事に到着

2021年3月21日

パーサヴィアランス wikipedia

パーサヴィアランス wikipedia

 

 

先日、NASAの火星探査機「Perseverance(パーサヴィアランス)」が、無事に火星に到着したことがニュースになりましたね。NASAの職員たちが大喜びしている姿がニュースで報道されていたので、ご存じの方も多いでしょう。今回はこのNASAの火星探査機「パーサヴィアランス」と、本機が火星に到着するまでを紹介します。

 

パーサヴィアランスとは?

 

「Perseverance(パーサヴィアランス)」は、NASAの火星探査機です。「マーズ2020」という、NASAによる火星探査プログラムによるミッションで、火星を探査するために作られました。ちなみに、「Perseverance」とは、英語の「忍耐」という意味だそうです。

 

パーサヴィアランスには、4つの目標があります。

 

それは

「火星に生命がいた証拠の探索」「火星にいた可能性がある微生物の痕跡を岩石から探す」

「火星の土のサンプルを回収し、将来的に地球に持ち帰る」「火星の大気から今後の人間のために酸素を作り出す」

 

というものです。コスト・リスクを最小にするため、先代の「ローバー」「キュリオシティ」の設計から再デザインされています。長距離移動システムにより火星地表を5km〜20km移動することが可能です。キュリオシティから改善された点は、厚く丈夫なアルミ製ウィール(タイヤのようなもの)になったことです。

 

上記にあるように、火星の岩石からサンプルを採取するためドリルアセンブリーが搭載されました。手先のドリルアセンブリー(タレット)と組み合わせサンプル採取や分析を行います。タレットが採取したサンプルは、ローバー内にある複雑なシステム(ACA)に渡され、サンプルをチューブに詰め、検査・密封・格納、最終的に火星地表に落とされます。

 

これを、将来的にいずれかの段階で地球に持ち帰るわけですね。また、火星の大気の二酸化炭素から酸素を作るため、「MOXIE(Mars Oxygen ISRU Experiment)」という装置を搭載しています。この技術実証で、将来的な有人火星探査で宇宙飛行士たちの活動のためのライフサポートシステム・輸送システム等の向上が期待されます。

 

ローバーは「MEDA (Mars Environmental Dynamics Analyzer)」という、火星の天気・大気のダストを調べる装置があり、これで火星の1日の気候、季節の変化を調べ、これが将来の有人探査において「火星の天気予報」になることが期待されています。

 

さらに、本機には火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が搭載されています。これは小型のヘリコプターで、ローバー腹部のシールドに格納されています。火星に着いたらローバーから出され、30日間という飛行試験がなされ、最低5回の飛行が予定されています。

 

3分以内のフライトで、高度は3m〜10mまで。横方向は600mまで飛ぶ可能性があります。飛行は自動制御で、ローバー後部あるヘリコプター用通信ユニットと通信します。この飛行が成功すれば、人類初という「他惑星での動力飛行」が実現します。

 

2021年2月19日、無事に火星に着陸

 

NASAが数十億ドル、日本円で数千億円という費用を投じて開発し、2020年7月30日に打ち上げられたパーサヴィアランスは、以降7カ月間、火星に向けて宇宙を飛行していました。そして今年2021年2月19日、約5億kmという旅の末に、火星に無事着陸しました。

 

パーサヴィアランスは火星の大気圏に非常に早いスピードで突入すると、減速しつつ自律的な着陸動作を行って、ジェゼロ・クレーター内7.7km×6.6kmという着陸楕円の中に着陸しました!

 

パーシビアランスが火星に着陸した信号と最初に火星で撮影した写真が、上空を周回している火星探査機の「マーズ・リコネッサンス・オービター」から地球に送られると、これを受け取ったNASAの「ジェット推進研究所」の関係者たちは全員大いに喜びました。

 

 

恐怖の7分!

 

このパーサヴィアランスのミッションで最も厳しかったことは、火星大気圏の突入して降下、そして火星の地表への着陸でした。関係者はこれを「恐怖の7分」と呼んでいたそうです。パーサヴィアランスは、火星への飛行の終盤、時速なんと2万kmというスピードで飛んでいたそうです!

 

これでは、やはり速すぎて火星に着陸はできないですよね。火星の大気圏に入ったパーサヴィアランスは、空気抵抗によって時速1500km程に減速、さらにそこからパラシュートを開きます。しかしそれでも火星の大気が薄すぎるので、時速300km程度。

 

そこからさらに減速、無事火星に着陸させるため、一連の厳しい操作を開始させました。耐熱シールドを捨て安全な着陸する場所を見つけ、「スカイクレーン」という装置を使って着陸に挑みました。

 

「スカイクレーン」というのは、逆噴射ロケットで探査車を降ろす装置です。

 

降下速度が時速25km程までになると、地表20mほどのところで、3つのケーブルを使いパーシビアランスを吊り下ろしました。ケーブルが切断され、スカイクレーンはそこから飛び去って、探査の邪魔にならないところに向かって墜落しました。NASAは2021年2月23日、パーサヴィアランスが火星に着陸した様子を「自撮り」した動画を公開しました。

 

火星に探査機が着陸した動画が公開されたのは今回が初めてです。動画は最初に、高度約11kmでパラシュートを開く場面から開始されます。その後、パーサヴィアランス下部にあるカメラが撮影した耐熱シールド分離の瞬間と、火星の地表が徐々近づいていき、最後にスカイクレーンがエンジン噴射でパーサヴィアランスを降している様子、着陸後にスカイクレーンが離脱する様子などが映っています。

 

自分もこの動画を見てみましたが、火星の地表が迫ってくるシーンで「おおー、これが火星かー!」と思いました(笑)

 

これは、宇宙ファンは見逃せない、非常に貴重な動画ですね。

 

 

この動画は必見!

 

NASAの火星探査機「パーサヴィアランス」が無事に火星に着陸したニュースについてでした。火星までの約5億kmを約半年間でというのがすごいですよねえ。終盤では時速なんと2万kmにもなっていたというから、ちょっと想像できない速さですね(笑)

 

また、火星に着陸する動画が公開されているので、これは宇宙ファンならぜひ見たほうがよいでしょう。ところで、この「パーサヴィアランス」に先行する形で、今月2月、別の国の2つの探査機が火星周回軌道に投入されていたのをご存じでしょうか。次回以降に、この2つの火星探査機について詳しく説明しましょう。

 

 

-NASA, 火星
-