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スペースXの最新ロケットが打ち上げ成功!その全貌に迫ります

2018年3月11日

 

先日、ニュースでスペースXの最新ロケットが

打ち上げに成功したという報道がありました。

スペースXの最新ロケットはアメリカで打ち上げられたものなんですが、

打ち上げに成功したときの周りの人たちの興奮ぶりがすごかったですね。

今回はそのスペースXの最新ロケットについて迫ってみましょう。

(画:ファルコンヘビー wikipedia)

 

宇宙を漂う奇妙な赤い車

(画:テスラ・ロードスター wikipedia)

 

今年20018年、日本時間2月7日未明に、

アメリカスペースX社製ロケットである

「ファルコンヘビー」が、フロリダ州の有名なケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

 

このロケットは、かなり変わった挑戦をしています。

それは、アメリカのテスラ社の電気自動車である赤い

「テスラ・ロードスター」がロケットに搭載されているということです。

 

「一体なんのために?」と思われる方も多いでしょう。

 

この車が地球〜火星の公転軌道に向かって、

なんと「半永久的」に太陽の周りを周り続け、

その模様をこの車に置かれているカメラが捉えることになるんだそうです。

 

先日さっそくその映像を映したニュースがありましたが、みなさんご覧に

なられたでしょうか?なんとも奇妙な映像でしたね。

 

この「ファルコンヘビー」の打ち上げに関して、

宇宙政策に詳しいアメリカのジョージワシントン大学のジョン・ログスドン氏は、

「サターンV(人類を月に送り出したロケット)の初テストがあった1967年以来で、

最も大きな意味のある試験飛行」と話しています。

 

ファルコンヘビーとは?

(画:ファルコンヘビー wikipedia)

 

ファルコンヘビーは、スペースX社のロケット「ファルコン9」の発展系です。

高さ70.0 m 、全幅 12.2 m 、 打ち上げ時の重量1,417,810 kgで、

ファルコン9の本体にロケットブースターを左右に2本追加した機体となっています。

 

ファルコン9は2010年6月に打ち上げられた中型クラスの商業用打ち上げロケットでした。

低コスト化が徹底されているのが特徴で、

名前は「スターウォーズ」の「ミレニアム・ファルコン号」からつけられています。

 

画像で見ると、ファルコンヘビーはかなり大きなロケットということが一目でわかりますよね。

 

打ち上げ能力はアポロ計画に使われたサターンVの半分ほどに匹敵し、

ペイロード(ロケットに打上げられる宇宙機や、

それらに搭載可能なさまざまな器具・物品の質量)は低軌道・54400kg、静止トランスファ軌道・22200kg、

火星軌道・13600kg にも上り、「超大型重量貨物打ち上げ機」に分類されています。

 

真ん中にある本体の第二段目は、

真空中の動作のために改設計した1基のマーリン・エンジンで駆動します。

スペースX社は、メイン部分の1段目と2段目について、

開発を進めることで将来は再使用が可能になるだろうと述べています。

 

第1段目と第2段目を繋いでいる段間部は、炭素繊維・アルミニウム・コア複合材を使用していて、

段間の分離は再使用できる丸軸つかみ締め金具「コレット」と、

圧縮空気により動作するガス押し機で行われます。

 

タンクの溶接部は摩擦攪拌接合を用いており、これは現在では最も信頼性が高い、

最高クラス強度の溶接法です。第2段目のタンクは第1段目のタンクをそのまま長手方向に縮めたもので、

ほとんど同じ工具・材料・製作技法で製造されているため、ロケット製造のコスト低減につながっています。

 

 

当初は失敗する可能性もあった

 

「ファルコンヘビー」の打ち上げは、実は失敗する可能性もありました。

 

打ち上げ前にスペースX社のイーロン・マスクさんは、こ

のロケットが打ち上げ時に爆発すれば、

これまで多くのスペースシャトルを打ち上げてきた発射台まで巻き込むことになり、

歴史的な遺産が破壊される上、

NASAもリスクを危惧することで宇宙飛行に関しても長期間滞ることになると話していました。

 

打ち上げ時に爆発しなかった場合でも、失敗する要因はあります。

ロケットが音速になると、3連になったロケットブースターが、

予期しないかたちで振動し、その衝撃波が重なると、

ロケットに大きな損害を与えることもあり得るからです。

 

赤いスポーツカー「テスラ・ロードスター」が、

地球付近を離脱できない場合も考えられていました。

このスポーツカーを目標の軌道に乗せるためには、ロケットの上段が6時間、

「バン・アレン帯」という場所を飛び続けなければならないからです。

この「バン・アレン帯」には地球の磁場により太陽から出されている高エネルギーの放射線があり、

ロケットがそれに耐えられるかが問題となっていました。

 

多くの不測の事態から、マスク氏が打ち上げについて

「身がすくむほどの恐怖」と語っていたのも納得できるでしょう。

ただ、5日の会見でマスク氏は「いつもなら打ち上げの前日はストレスで大変なんですが、

今回はそうではなく、ミッション成功のための可能性を最大限に高めるため、

できることをすべてやったという自信があります」と述べていました。

 

結果、「ファルコンヘビー」は無事に宇宙へと打ち上げられることになりました。

 

 

ファルコンヘビーのどこが画期的なのか

(画:着陸する2機のサイドブースター wikipedia)

 

さて、この「ファルコンヘビー」は上記のジョン・ログスドン氏の発言にもあるように、

サターンV並みに宇宙開発にとって重要な打ち上げとなるそうです。

 

その理由とはまず、このファルコンヘビーの再利用でコスト削減が可能となり、

民間企業の宇宙進出が進むとされているからです。

 

スペースX社は今までこのロケットの再利用を目標にして

宇宙開拓を進めてきたといった経歴があります。

 

通常、ロケット大多数は複数の段に分かれていて、

その力によって人工衛星・乗員カプセル等を宇宙に運んでいて、

この各段は燃料が切れ次第本体から切り離され地球に落下します。

多くの場合がこの各段を再利用することが今までできませんでした。

 

スペースX社は今まで多くの宇宙飛行で初となることを成功させてきましたが、

そのひとつがロケットの段を回収&再利用することです。

 

こうすることで、宇宙飛行についてのコストダウンを進めることができることになります。

たしかに、一度のフライトしか使えない飛行機があったらコストが高すぎですよね。

 

ファルコンヘビーは、「ファルコン9ロケット」を3基あわせたロケットといえるでしょう。

スペースX社では、3基のすべての第1段目を回収しようとしています、

これが計画どおりにいくと、左右2基のブースターは分かれて着陸地点に戻ってきます。

この左右のブースターも、以前打ち上げられた「ファルコン9」を再利用したものです。

 

中央にあるロケットの第1段目も、同社のドローン船に着陸する予定になります。

 

スペースX社は他社よりも低コストでロケットを宇宙に打ち上げています、

 

ファルコンヘビー打ち上げの最低コストは9000万ドルとされていますが、

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の「デルタIVヘビー」というロケットでは、

積載量がファルコンヘビーの半分ほどである上に、

打ち上げでは最低でも3億5000万ドルというコストになります。

 

この初テストが行われる前から、いくつかの会社がスペースX社と契約を結んでいます。

 

これからは、サウジアラビア通信衛星「アラブサット6a」、

インマルサット社やビアサット社という民間企業衛星が同ロケットで打ち上げられる予定となっています。

また、スペースX社はアメリカ空軍と1億6000万ドルで契約を結び、

「超精密原子時計」「地球の大気を観測する衛星網」等の、

多くの衛星を打ち上げる予定にもなっています。

 

 

 

それでもファルコンヘビーはただの「中間地点」

(画:ファルコン9 v1.1 wikipedia)

 

スペースX社は、「ファルコン9」ロケットを活用し多くの衛星を打ち上げようとしています。

 

「スペースX社では、ファルコンヘビーは持続した製品ラインというより、ただの中間地点にすぎない」

とログスドン氏は語ります。

 

次に来るのは、「ビッグ・ファルコン・ロケット」で、

これはファルコンヘビーよりも30%以上も多い積載物を、地球の低軌道上に運ぶ巨大ロケットです。

この「ビッグ・ファルコン・ロケット」は、月・火星の有人宇宙飛行という、

イーロン・マスク氏が掲げた壮大な計画の中心でもあります。

スペースX社のイーロン・マスク氏は、以前火星移住計画で話題となった人物ですね。

 

技術系ニュースサイトでは、

このロケットが完成するまでファルコンヘビーは太陽系の奥に科学計測装置を運ぶ絶好のロケットと評しています。

ファルコンヘビーなどのロケットは、

打ち上げ1回で10億〜30億ドルのコストが必要とされている

NASAが開発中の大型ロケット「SLS」を超えるものになる可能性も考えられています。

 

このファルコンヘビーの打ち上げ成功により、

スペースX社は宇宙開発・商業化の先駆者になるとされています。

数々の企業がスペースX社の後を追うことになるのかもしれません。

 

あの「Amazon」のCEO、ジェフ・ベゾス氏のロケット会社であるブルーオリジン社も、

2020年まで軌道投入機「ニューグレン」をファルコン9と競わせるつもりだそうです。

 

「小型トラック〜大型トレーラーまで、宇宙に向かう輸送手段があるのはすばらしいことです。

宇宙でも人間が活発に活動できるようになるかもしれません。

しかし、これらのロケットはただのトラックでしかなく、

最終的な製品ではないのです」とログスドン氏は話しています。

 

 

最近起きたハプニングも

 

しかし、ファルコンヘビー打ち上げの大成功もつかの間、近頃ハプニングが起こっています。

 

あのYouTubeでなんと史上2番目に多い、

世界で320万人が生視聴した大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げでしたが、

ブースター3基の左右の2基は無事に地上へと帰還しましたが、

コア1基は海の藻屑と消えてしまったそうです。

 

スペースX社のイーロン・マスク氏の説明では、

着艦を完全とするためにはロケットエンジンの3基を再点火する必要があったのですが、

1基だけしか再点火できず、時速482kmで91m離れた海上に落ちたとのこと。

 

その衝撃で「砕けたコアの破片があられのように飛び、

それにより2基のエンジンもダメージになってしまった」と報告しています。

 

しかし、それでも打ち上げはほぼ大成功となりました。

 

NASAケネディ宇宙センターでは打ち上げ成功の後に「おおおおおお!!!」というほどの大歓声があがりました。

あれはすごかったですね!

いかにこの打ち上げが重要なことなのかがわかりますよね。

 

赤いロードスターはイーロン・マスク氏のツイートにり、

火星付近の準惑星「セレス」の軌道にシフトしたということが明らかになりました。

バンアレン帯を6時間滑空した後の、地球磁場の放射線にも無事クリアしたうえでの成功となります。

 

 

スペースX社の動向に目が離せません

 

ファルコンヘビーについてでした。

スペースX社というのは宇宙開発の先駆企業という感じですね。

常に「なにかやってくれる」という感じの企業なんでしょう。

これからもファルコンヘビーとスペースX社の動向に注目していきましょう。

 

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