広告 冥王星

冥王星の魅力とは?ついに明らかになった冥王星の姿

2018年4月5日





 

冥王星は2006年まで「太陽系第9惑星」とされていた天体ですが、

議論の末に現在は準惑星に分類されています。

 

冥王星を探査する目的で2006年に打ち上げられたのが「ニューホライズンズ」探査機ですが、

この探査機が近頃、謎に包まれていた冥王星のデータを送信しています。

 

今回はこの地球からかなり遠い準惑星、

冥王星の雑学や魅力について説明してみましょう。

(画:冥王星 wikipedia)

ついに明らかになった冥王星の姿

 

冥王星は地球から非常に遠いので、地上から肉眼で見ることはできません。

 

冥王星の特徴としては、その大きさが「非常に小さい」ということです。

 

太陽系のすべての惑星より小さく、

大きさは直径約2,274kmでこれは地球の約0.18倍ほどの小ささです。

質量も少なく、月の0.2倍以下となっています。

 

対して衛星のカロンは冥王星と比較して直径が半分以上という大きさなので、

二重天体とされることもあるほどです。

 

冥王星探査が目的で打ち上げられた「ニューホライズンズ」は、

打ち上げから約9年後の2015年の7月、

ついに冥王星に接近して冥王星とその衛星カロンの撮影に成功しました。

 

ニューホライズンズから送られてきた冥王星の画像は意外にもかわいらしいもので、

ハートやくじら、果てはディズニーのキャラクターが映っているといわれ話題となりました。

 

これは、冥府の王からその名をつけられて、

「破壊的」「死〜再生」という呼び名もあった

冥王星の闇の帝王というイメージが薄れていった瞬間でした。

 

ニューホライズンズ計画で主任研究員を務めるアラン・スターン氏も

「私たちが今まで考えていた冥王星のイメージが、

煙のようにして消えてしまうでしょう」と語っています。

 

冥王星が発見されたいきさつ

 

冥王星というのはもちろん、これまで謎に包まれていたミステリアスな天体でした。

しかし、そのミステリアスさも冥王星の魅力だったといえるでしょう。

 

冥王星を探査するニューホライズンズが2006年に打ち上げられていますが、

この年に冥王星は多くの議論の末に太陽系の惑星から外され「準惑星」とされています。

 

また、冥王星は、長らくアメリカ人にとっての「誇り」であった惑星でした。

それはなぜかというと、惑星のなかで唯一、

冥王星だけがアメリカ人が発見したものだったからです。

 

冥王星が見つかるのは、天王星・海王星が発見されるまでさかのぼります。

 

天王星の運動が乱れていたことで海王星が発見されましたが、

海王星の引力だけでも説明できない乱れがあったため、

別の惑星を探すプロジェクトが各地の天文台であったのです。

 

その中でも、火星の観測で有名になったパーシヴァル・ローウェルが創立した「ローウェル天文台」は、

火星観測のほかにも冥王星を発見するという重要な仕事しています。

 

1905年から開始されたこのプロジェクトの最中、

ローウェルは1916年に亡くなりますが、

ローウェル天文台ではその後も彼の意思を次いで懸命に別の惑星を探し続けました。

 

1929年に、ローウェル天文台の天文台長であった

ヴェスト・スライファーがアメリカ人の天文学者で当時24歳のクライド・トンボーにこの仕事を預け、

ついに1930年にトンボーが第9惑星を発見しました。

 

当時の最新技術であった「天体写真」を使って、

空の同じ場所の写真を数週間という間隔で2枚撮影し、

その画像で動いている天体を見つけるという方法でした。

 

撮影した膨大な数の写真を根気よく精査し、

トンボーが1930年の2月18日、同じ年の1月23日・1月29日に撮影した写真の間で、

動いているような天体を見つけました。

 

ローウェル天文台でさらに決定的な写真を得る努力してから、

この発見の知らせをハーバード大学天文台へ電報として送りました。

後に、冥王星の姿をとらえた写真は1915年の3月19日にまで遡り見つかっています。

 

このようなことから、一般に冥王星が発見されたのは1930年の2月18日となっていますが、

小惑星センターに登録されている一覧では発見日が1930年の1月23日となっています。

 

発見された冥王星は明るさが15等でとても暗く、

その軌道も他の惑星が集る黄道面から17度も傾いていました。

 

発見まで時間がかかったのは、当初はもう少しだけ明るいと考えられ、

黄道面付近を探していたからです。

 

冥王星の軌道は、他の惑星の軌道よりだ円形につぶれており、

太陽に最接近しているときは44億4千万km、

最も遠いときが73億9千万kmというほど、極端に変化しています。

 

冥王星が太陽に最接近中のときには、海王星よりも太陽に近いという現象が起こります。

 

しかし、そんな冥王星も準惑星に「格下げ」されてしまったということで、

がっかりしているアメリカ人も多いのではないでしょうか。

実際、アメリカにおいて冥王星が惑星から除外されることに反対する声は、

国外より多いものがありました。

 

冥王星の格下げについて、そこに至った経緯をすこし説明してみましょう。

 

2006年のチェコ・プラハで開かれた国際天文学連合総会において、

惑星の定義について科学的に明確にすることが決まりました。

それによれば惑星の定義は3つあります。

 

ひとつは「太陽の周りを周回していること」

もうひとつは「質量が十分にあって、その重力の影響で丸いもの」

最後は「その天体がある軌道周辺でずば抜けて大きく、同じような天体がない」

 

というものです。

 

今まで見てきたように冥王星で問題となるのは

最後の「その天体がある軌道周辺でずば抜けて大きく、

同じような天体がない」という定義です。

 

2003年、冥王星の付近に冥王星より大きい天体「エリス」が見つかっていて、

これで惑星の定義から冥王星は惑星に該当しなくなってしまいました。

冥王星は惑星から「準惑星」というカテゴリに分類されてしまいました。

 

これが、冥王星が惑星から準惑星に分類されることになった一連の流れです。

ちなみに、冥王星のように太陽系外にある天体を「太陽系外縁天体」と言います。

 

アメリカでは、アメリカ人が唯一発見した惑星であった冥王星に特別な愛着があった人が多く、

この除外前後にさまざまなジョークが作られています。

 

たとえば、「冥王星が惑星でないなら○○だって○○じゃない」といった、

これまでは当たり前とされていた物の分類についてのジョークのネタになりました。

 

さらに冥王星が準惑星になったとき、カリフォルニア州にあるディズニーランドの7人の小人たちは、

「プルートが8人目の「dwarf」として私たちに加わるなら歓迎する」という声明を発表しました。

 

メジャーリーグベースボールの公式サイトでは、

「9番打者だった冥王星がマイナーリーグ送りに」と報じています。

 

日本においても、2006年12月に住友生命保険が発表した「創作四字熟語」に、

「除名処分」をもじり「除冥処分」という創作が入選したという話がありました。

 

 

冥王星が「惑星」に返り咲く!?

 

科学的に冷静に見れば、太陽系の他の8つ惑星とこの星が違うことは明らかですが、

科学者の中では「準惑星というカテゴリもいらない」といった意見を言う人もいます。

 

そもそも太陽系の惑星についての定義を決めた時点で惑星とそれ以外の小天体に分類されたのですが、

小天体のうちで大きく球状なものを準惑星するという取り決めができました。

 

この準惑星というのも、冥王星を他の小天体と一緒にしないためにできたという側面もあるので、

球形については重要でないとする科学者は「そもそも準惑星という分類すら不要」としています。

 

そんな中、最近こんな話がでてきています。それはなんと、

「やっぱり冥王星を惑星に戻そう」という提案があることです。

 

もし惑星が9個あった時代の太陽系にノスタルジーを持っている人、

冥王星が「準惑星」に格下げしたことに納得がいかない人なら、

NASAのミッションである「ニュー・ホライズンズ」の天文学者がした提案は

朗報となるかもしれません。

 

アラン・スターンらの科学者チームは、月惑星科学会議において、

新しい惑星の定義の「PDF」を提案しようとしています。

もしもこれが通れば太陽系の惑星は総数で「110」に増え、

当然そこには冥王星も入ることになります。

 

この提案とはこうです。

 

惑星との定義は、「これまで核融合が起きずに、自己重力が十分あり、

軌道パラメータに関係なく三軸楕円体というような回転楕円体形状を持った亜恒星質量体」

ということです。

 

これはつまり、「恒星より小さい球状の天体」ということです。

この説では、冥王星や月、惑星の全ての衛星も惑星になります。

 

ニュー・ホライズンズの天文学者によれば、

この新定義は、2006年の惑星の定義が持っていた矛盾を解決することになります。

 

現在の惑星の定義に従うなら、太陽系外に惑星を見つけても、

それは太陽系外惑星ということになります。

 

スターンとその同僚たちは、惑星の定義を位置・大きさに縛るのは合理的でないと主張しているのです。

 

ニュー・ホライゾンズの科学者は、

惑星を定義するために重要な側面が入れられていないともしています。

 

それが「地質学的特徴」であり、惑星が大気・山・氷河をもつものなら、

冥王星もまたこれらを持っているからです。

 

この議論は長い時間が必要かもしれませんが、

意見の対立は研究に活気があるという証拠です。

これは、我々がより多くのことを知って、さらに理解することの手助けとなるでしょう。

 

 

分類はあまり意味がないのでは?

 

「元太陽系第9惑星」、冥王星の魅力についてでした。

 

冥府の王とも言われてなんか不気味な印象があった冥王星も、

ニューホライズンズから送られてきた映像によって変わってきているようです。

地球から遠いほど、この星にはどんなものなんだろう、

生命の可能性はあるだろうかなどという興味が出てきますよね。

それが、冥王星の最大の魅力ではないでしょうか?

 

現在においても論争がある「惑星」か「準惑星」なのかは人間の分類にすぎないので、

やはり冥王星がどんな星なのかを知りたくなるのは変わりませんね。

 

 




-冥王星
-