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木星の衛星「エウロパ」に間欠泉があるという新たな証拠が発見!

2018年6月12日

 

木星といえば衛星を多く持っているのが特徴ですが、

その内のひとつ「エウロパ」にNASAのガリレオ探査機が、

「間欠泉」のようなものを発見したということがニュースとなりました。

エウロパにある「間欠泉」とはどのようなものなのでしょうか。

(画:エウロパ wikipedia)

 

「エウロパ」とは木星の衛星

 

「エウロパ」とは、木星の第2衛星です。この衛星の名前は、

ギリシア神話に登場する、王女エウローペーのラテン語名からつけらています。

 

あのガリレオ・ガリレイが発見した衛星で非常に明るく、

双眼鏡で見ることができます。

 

エウロパの特徴は、「氷に覆われている」という点です。

月よりすこし小さいくらいの大きさの星の表面に3kmもの氷が覆っていて、

ひび割れが随所に見られます。

 

公転周期の関係で強い潮汐力の影響を受けていて、

その熱のために氷の層の下では数10〜数100kmもの間で

氷がとけたシャーベットのような海になっているとされています。

 

地球の海の深部にある「熱水噴出孔」もあるとされていて、

氷や水が存在するためにエウロパの生命の存在も語られています。

 

間欠泉とは?

 

エウロパは長い間「地球外生命体が存在している可能性の最もある星」とされてきました。

上記のように表面の氷の層の下にはシャーベットのような海があるとされ、

表面のどこかに間欠泉を発見すれば、その中に宇宙船が入ることで生命の足跡を探せるかもしれません。

 

「間欠泉」とは地球に見られることがある、

一定の周期で水蒸気・熱い湯を噴き出す温泉のことをいいます。

 

間欠泉がどのようにしてできるのかには、空洞説と垂直管説があります。

空洞説というのは地下水が地熱で温まり、これが水蒸気になって間欠泉になるという説です。

 

この説では大規模の間欠泉は証明できるものの、

小規模な間欠泉は証明が難しいという点があります。

 

垂直管説は、地面に垂直な管がある場所で地下水がたまって、

その水が地熱で温まり、

下層部が高温になって沸騰することで管を上昇していき、間欠泉ができるという説です。

これによって間欠泉の仕組みはどのようなものでも説明できるとされています。

 

アメリカのアイダホ州などのイエローストーンなどが代表的な間欠泉です。

この地区は北アメリカで最大の火山地帯で、

地球に残った数少ない人間が手をつけていない生態系であり、

数百もの箇所から間欠泉が見られ、観光スポットにもなっています。

 

 

エウロパの間欠泉を探す意味

 

間欠泉を探すことは、エウロパまで探査機を飛ばして着地させ、

さらに厚さが1.6キロもあるという氷に穴を作って入るよりは難易度が低いでしょう。

 

エウロパにある間欠泉は海ではない湖から出ている可能性もありますが、

2020年代の探査ミッションで間欠泉の水を得ることができれば、

エウロパの内部の調査をすることができるでしょう。

 

関係者は、エウロパの間欠泉は浅い水域から噴き出している可能性があり、

正確には海ではなくその近くにある水ということになると語っています。

 

 

20年前からエウロパに間欠泉が確認されていた!?

 

実は、2013年にハッブル宇宙望遠鏡がエウロパに間欠泉を発見していました。

しかしこれに科学者たちは疑問を持ちました。

間欠泉の確認するための観測をしても、発見することができなかったためです。

 

それでも、ハッブル宇宙望遠鏡は2016年〜2017年には間欠泉の画像を多く集め、

簡単に視認できるものがありました。

 

このため、科学者のチームは20年も前からガリレオ探査機が見つけていたものから

エウロパの間欠泉についてを考え直しました。

 

エウロパの重力は強く、ガリレオがこれまで間欠泉の状態を見つけたのは2回だけでした。

それが約20年前の1997年12月でした。

 

科学者が調査した数値では、エウロパへ再接近したガリレオでは、

磁力計・荷電粒子密度を測る数値が3分ほど急変していたということです。

 

間欠泉の水蒸気がエウロパの磁場を受けていたという、

これはその証拠ではないかということです。

 

また、間欠泉から外に出るときは荷電粒子密度も変化するため、

ガリレオはエウロパの赤道近くで、

幅が約1キロくらいの間欠泉を通り過ぎていたということになります。

 

チームはこれを裏付けるため、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた同等の大きさ・密度を持った間欠泉を

ガリレオが通り抜けたらどんなデータになるかというシミュレーションを行いました。

 

そのデータはガリレオの今回の観測とほとんど一致していました。

 

ひとつの証拠だけなら確実ではないものの、完全独立した観測の結果を合わせてみて、

同じことが示されていた場合、かなりの説得力をもつことになります。

 

ただしこれでも間欠泉の存在が完全に証明されたわけではなく、

今回のデータは証拠がひとつ増えたというものだそうです。

 

また、この観測結果から、エウロパには多くの間欠泉があるのではないかとされています。

偶然ひとつの間欠泉を通り過ぎるというのは出来すぎているからです。

 

チームは、探査機がエウロパの間欠泉を通り過ぎたときに

観測ができる機器を用意しているそうです。

 

エウロパの地下の海を調べられる!?

 

エウロパに間欠泉の存在を示す証拠が新たに発見されたニュースについてでした。

もしエウロパに間欠泉があれば、その地下にあるというシャーベットのような海の探査と、

そこ存在しているかもしれない生命の痕跡が発見されることの期待も高まるでしょう。

 

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