宇宙雑学

【宇宙放射線】放射線と放射能の違いは?太陽フレアとの関係ある?

2018年12月26日

放射線 f

 

宇宙には宇宙放射線があるとされています。

このため、やはり宇宙に行くと被曝量がどれほどのものになるのか気になりますよね?

 

ところで、そもそも「放射線」と「放射能」の違いはなんなのでしょうか?

今回はそのあたりも含めて宇宙に存在している宇宙放射線についてみていきましょう。
 

「放射線」と「放射能」の違いは?

 

宇宙には「放射線」があるといわれていますが、そもそもこれは「放射能」とどういった違いがあるのでしょうか。

まず放射能とは「放射性物質が放射線を放出する能力」という意味なのです。これはあまり知られていませんよね?

 

放射能の「能」というのは「能力」の意味だったんですね。

放射線というのは粒子・電磁波からできています。

 

これは光・電波の一種ですが、放射能がある放射性物質の放射線とはなんなのでしょうか。

原子核の陽子と中性子のバランスが崩れていて、原子核が不安定な状態が放射性物質です。

 

これが一定の割合で「放射性崩壊」を起こします。

地球上のたいていの物質は放射線を放出しない「安定同位体」という物質です。

 

これは、放射性物質だったものが崩壊し尽くしている残りカスと考られます。

例えば、原子力発電所の核燃料、原子力電池等にも使われるプルトニウムは、地球には本来ほとんど存在していない物質でした。

 

太陽系誕生以前の超新星爆発によって生成された プルトニウム244はわずかな量ですが現在も残っています。これは、プルトニウム244の半減期が8千万年間と長いためです。

 

ただ、天然のプルトニウムの同位体は本当に微量だけしかありません。これはあくまでウランが宇宙線等によって発生する「中性子線」を吸った結果生じただけで、地球の誕生時にプルトニウムがあったとしてもウランより半減期が短いので、現代まで存在していることは普通ならできないとされています。

 

こういった物質は原子炉・粒子加速器という装置で核反応を起こし、原子核をコントロールすることで作り出す事ができます。

 

このような人間の技術が宇宙・星の歴史を探る事を可能にし、新しい技術・産業として恩恵をもたらしたという面もありますが、反面事故による放射能の生物への影響という面も忘れてはならないでしょう。

 

宇宙放射線とは?

 

宇宙放射線は宇宙線とも呼ばれる、宇宙空間に飛んでいる高エネルギー放射線です。

 

オーストリアの物理学者ビクター・フランツ・ヘスは、1911年〜1912年に気球を使った放射線計測実験を行い、宇宙から飛来している放射線を発見しました。

彼はこの発見からノーベル物理学賞を受賞しています。

 

宇宙放射線の主成分は陽子で、ほかにはアルファ粒子・リチウム・ベリリウム・ホウ素・鉄等の原子核が含まれています。これは、地球にも常時飛来しています。

宇宙放射線には「太陽宇宙線」や「銀河宇宙線」などがあります。

 

ほとんどが銀河系内を起源にした「銀河宇宙線」で、超新星残骸等によって加速されているとされています。

これらは「銀河磁場」で銀河に長い時間閉じ込められていたため、銀河内物質と衝突して破砕、他の原子核に変わることがあります。

 

地球の大気に高エネルギー宇宙線が入った場合、「空気シャワー現象」というものが起きて、二次粒子が発生します。短い寿命のものは崩壊しますが、安定した粒子は地上に降りてきます。

 

このとき大気中に入射した宇宙線は「一次宇宙線」、ここから発生した粒子は「二次宇宙線」と呼ばれます。一次宇宙線のほとんどは陽子のよな荷電粒子で、二次宇宙線は地上の高度ではほとんどがμ粒子です。

 

実は地球にも降り注いでいます

地球 f

 

宇宙から地球に降り注いでいる放射線の量は、資料によって違いますが、年間ほぼ300μSvとされています

高度が高いほど放射線は「空気」という遮蔽物が減り、1,500mごとの高さで約2倍になるとされています。

 

国際線の飛行機は長時間の高高度飛行をするために国内線のそれよりも比較的に強い放射を受けます。飛行高度は普通は1万m程のため、ここから計算すると地上の約100倍の放射線量被曝があることになります。

 

東京からニューヨークの往復飛行では、0.11〜0.16 mSvの放射線を受けるとされています。成田からニューヨーク間の航空機乗務員に被ばく線量計を装着して実測すると、年間800時間から900時間の搭乗で被ばく線量は年間で約3 mSvになるというデータがあります。

 

太陽フレアでは放射線が大変なことに

 

では、宇宙に長期滞在する宇宙飛行士はどれくらいの放射線を受けることになるのでしょうか。

地球磁気圏の高度400kmほど上空に周回している国際宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士の被曝線量は1日1mSv程度となります。

 

この数字は地球磁気圏外の空間でも同様です。

 

宇宙飛行士ワレリー・ポリャコフは、1994年の1月8日に「ソユーズTM-18」で打ち上げられて「ミールLD-4」に437.7日の間滞在して、単一のミッションで最長となる宇宙滞在時間を記録しました。

 

この間の被曝線量は400mSv以上と推定されています。

 

太陽フレアが起きると多くのX線・ガンマ線・高エネルギー荷電粒子が作られ、フレアに伴って太陽コロナの物質が惑星間の空間に放出されます。

 

地球磁気圏外、例えば月面や火星などの有人飛行時では、太陽フレアの時のX線・ガンマ線で被曝すると、致死量を超えることがあるとも言われています。

 

 

宇宙に進出する上で解決しなければならない課題

 

宇宙放射線についてでした。太陽フレア時の地球磁気圏外飛行では命に関わるほどの被爆があるかもしれないというのが問題ですね。

このあたりも、やはり人間が宇宙に出て行くときの大きな課題のひとつでしょう。

 

 

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