宇宙飛行士

宇宙服が「ロストテクノロジー」?なぜ?

2019年9月1日

宇宙服 f

 

宇宙服とはもちろん宇宙飛行士が着ている服のことです。

突然ですがこの宇宙服、なんと、今では失われた技術という意味の「ロストテクノロジー」に近いという服だということをご存知でしたか?

 

そのため、価格はなんと1着10億円!このご時勢に「ロストテクノロジー」?という感じがすごいしますよね!しかも、これからメイン産業にもなっていくような、宇宙の分野でというのがさらに不思議です。

 

どういうことなんでしょうか。

今回はこの宇宙服の謎について迫ってみました。

 

NASAで宇宙服が不足している!?

宇宙服 f

 

現在は宇宙開発華やかりし時代という感じで、民間のベンチャー企業も次々にこの分野に参入しているような時代となっています。無人で宇宙に行くなら問題ないのですが、人間が宇宙に行くとなると言えば当然「宇宙服」が必要になります。

 

しかし現在、あのNASAでもこの宇宙服が足りないという事態らしいのです。現在NASAにある宇宙服はなんと11着だけなんだそうで、当然大量に不足しているのです。その宇宙服もすでに40年以上も昔にできたもので、残り15年の寿命なんだそうです。当然、これでは不足しますね。

 

もとは18着だったものの、そのうち7着はこれまでの事故で無くなってしまいました。

 

なぜ宇宙服を作れない?

 

では、当然「作ればいいじゃない」と思いますよね?

 

しかし、NASAは宇宙服を開発するためにこれまで10年2億ドルを費やしたものの、成果はそんなになかったそうです。これほどの投資でも、 EMU(船外活動ユニット)に換わるような将来的な探査任務EVA(船外活動)を使う宇宙服の開発には、さらに時間がかかるそうです。

 

こう聞けば、普通なら「この現代になぜ?」となるでしょう。宇宙服といえばこれからの宇宙開発でもますます重要になるような服ですよね?宇宙服はなぜ作れないのでしょうか。

 

前回もご紹介しましたが、宇宙服というのはものすごい手間がかかっています。空気がない宇宙で、服の空気を外に逃さないように、特殊な布を何層にもして作ります。

 

アメリカなら7〜8層、日本なら約14層という具合です。また、体温を外に出さないようにする仕組みと冷却する仕組みという、相反する機能を持たせます。宇宙服で宇宙飛行士の体温を調整することが大事で、宇宙空間は低温ですが、宇宙服に体温を逃がすような部位がなく太陽の光もはげしいため、宇宙空間での活動時は温度が上昇することになるので、主に冷却する仕組みが必要です。

 

さらに、生命維持システムも必要になります。このように、作るのが非常に大変な宇宙服ですが、最大の問題はこの宇宙服作りの技術の継承がよくできていなかったということです。そのため、これが驚愕の事実なんですが、なんとNASAではおばさんが手縫いで作っているそうなんです!

 

あの最先端というイメージがあるNASAで?

という感じがしませんか?

 

しかし、これが事実なんです。薄い布を何層にも重ねるため、機械ではなく手縫いをしなければならないからです。このような技術が継承されていないということですが、作業的なものは継承されているんでしょう。しかし、肝心の技術面が難しいということなんですね。

 

また、「予算不足」というものもあります。宇宙服は生命維持システムも含めて1着約10億円ですが、製造にも1億以上の費用が必要です。また、宇宙服のパーツにもサイズがあり、これを1つ交換するにも約220万円もかかるというから、相当なお金がかかります。

 

NASAでは、これ以上この問題を深刻化させないため、NASAの有人探査計画では次世代宇宙服を設計・生産・テストするための計画が必要とされています。また、現在のお古の使いまわしを修繕しながら使コストと、新型の宇宙服を開発実用化するというコストを比較したほうがいいという提案もあります。

 

宇宙服はおばさんが手縫いで作っていた!

 

驚愕の宇宙服事情についてでした。なんと、宇宙服はおばさんの手縫いで作られるんですね。

これを知っていた人はほとんどいなかったのではないでしょうか?

 

参考記事:見た目に美しい宇宙服の実現をめざして

 

 

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