銀河

地球から4.3億光年先に生まれたばかりの「赤ちゃん銀河」を発見

2020年8月31日

銀河系 f

 

先日、日本の国立天文台等の国際研究チームが、宇宙で生まれたばかりという「赤ちゃん銀河」を発見したそうです!

生まれたばかりの「赤ちゃん銀河」とは、いったどういった銀河なんでしょうか?

 

銀河ってなに?

銀河を見上げる人

 

銀河とは、恒星・コンパクト星・ガス状星間物質・宇宙塵のほか、正体がよく分かっていない暗黒物質「ダークマター」などが重力により拘束された、巨大な天体のことをいいます。宇宙に詳しくない人が思い浮かべるのは、「宇宙の特定の範囲」というイメージですよね。

 

小さめな「矮小銀河」から巨大な銀河まであり、これら星々が恒星系や星団などを作って、その間に星間物質・宇宙塵が集まった星間雲や宇宙線があり、大半の銀河の質量の約90%は暗黒物質・ダークマターです。観測結果では、ほとんどの銀河の中心には超大質量のブラックホールがあるとされています。

 

これは、いくつかの銀河にある「活動銀河」の根源的動力とされ、私たちの太陽系がある銀河系もこれに当たると考えられています。現時点の人間が観測できる銀河は2000億個はあるとされていましたが、2016年では少なくても2兆個はあるという研究報告があります。

 

今回の「赤ちゃん銀河」はどのように発見された?

 


 

今年2020年8月1日、日本の国立天文台などの研究チームが、人工知能を使って観測したデータを解析したところ、4.3億年前の宇宙で年齢約1000万年という「赤ちゃん銀河」を発見したそうです。

 

100億年以上前の太古の宇宙では赤ちゃん銀河はいくつも発見されていますが、今回のように宇宙年齢で最近である時期の赤ちゃん銀河は珍しいため、これが宇宙の進化についての解明に役立つのではとされています。この赤ちゃん銀河は「HSC J1631+4426」という名前がつけられました。

 

地球から夏の星座である「ヘルクレス座」方向に4.3億光年先の宇宙にあって、太陽系が属している天の川銀河の約1千分の1である1000万年歳くらいとされています。ここでは星がたくさん生まれていますが、質量は天の川銀河の約10万分の1で、これは星団と同じレベルだそうです。

 

この赤ちゃん銀河は、どういった方法で発見したのでしょうか。

 

国立天文台・大内正己教授や元東京大大学院の小島崇史博士らがいる同国際研究チームは、ハワイの「すばる望遠鏡」の4000万個もの大規模な観測データを、機械学習という人工知能・AIの手法によって解析、生まれたばかりの銀河を探しました。

 

研究チームはすばる望遠鏡の観測データを、理論で推定される特徴をコンピューターに覚えさせてこれを分類させるという手法により、約4000万天体の中から赤ちゃん銀河候補を27に絞り込みました。

 

このうちで有望な4つをさらに詳細に観測、酸素含有率を調べると、この「HSC J1631+4426」の酸素含有率は太陽の1.6%ほどで、普通の銀河では最も少ないことが明らかになりました。宇宙が誕生した時は、水素等の軽い元素しかありませんでしたが、星が生まれたりすることで酸素のような重い元素ができます。

 

そのため、酸素量は銀河の歳を調べるキーになります。また、「HSC J1631+4426」の大半の星が、誕生してから1000万年程しかたっていないことも分かりました。宇宙は約138億年前に生まれて次に星が生まれ、次に星の大集団である「銀河」が形作られたとされており、私たちの太陽系が属している「天の川銀河」もその1つです。

 

ただし、宇宙は現在「加速膨張」が優勢で、銀河の形成が滞る傾向とされています。今回の「赤ちゃん銀河」は比較的最近生まれたものなので、研究チームは「最後の世代の銀河を見ているのかもしれない」と語っています。

 

 

1000万歳でも「赤ちゃん」

 

地球から4.3億光年先の宇宙に見つかった、年齢約1000万年という「赤ちゃん銀河」についてでした。

「赤ちゃん」の銀河でも年齢1000万歳というから、やはり宇宙のスケールは違いますねえ。

 

 

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