宇宙雑学

古来から深い文化を持つ星座の歴史

2020年8月31日

星座を天体観測 f

 

地球から行う宇宙の観測といえば、やはり「星座」が思い浮かびますよね。この星座、普通の人はどんなイメージでしょうか?

 

あまり見る機会がないけど、一応知っているという感じかもしれません。プラネタリウムなど、ロマンティックなイメージもありますね。星座というものは、人間が古来から持っていた文化なんです。ここで、星座の深い歴史を説明してみましょう。

 

星座とは?

星座早見盤 秋の四辺形 f

 

星座とは、天球の恒星群の位置を示す区分けです。昔は、複数の星を地上から見える配置で連想するような動物や人、神様や物に至るまで、さまざまな名前で呼んでいました。古来、多くの地域や時代ごとに。たくさんのグループ化・星座名が使われていました。

 

しかし、星座ってほんとうに意味があるのかな?と思った人はいまぜんか?

 

実は、天文学的に言うと星の見かけ上の並びにはほとんど意味がないようです。意味があるのは、「プレアデス(すばる)」等の散開星団(恒星の集団。同時に生まれた複数の星が近い位置にある状態。銀河星団ともいう)です。それ以外には星座の見かけの配置はお互いに関連があって並んでいるのではなく、実は地球からの距離も違い、地球の位置からは偶然に同じ方向に見えているだけなのです。

 

ただ、星座の物語によって天体観測や宇宙に興味を持つようになったという人が多く、今も昔も天文学入門として親しまれています。星座以外には、ある星の並びにつけられる非公式な呼び名である「アステリズム」というものがあります。

 

北斗七星 f

 

そのなかでもっとも有名なのがあの「北斗七星」です。北斗七星はおおぐま座にあり、くまのしっぽ部分の7個の星がひしゃく状になることからつけられています。

 

星座はいつ誕生した?

 

星座といえば、大昔から世界で文化となっていたのは有名ですね。太古の古代エジプト遺跡で、星座と見られる図が見つかっています。この星座は一年360日として、10日の区画にする指標として使われていたようですが、今でも研究が続けられています。これが、記録に残る人類最古の星座ということです。

 

この星座を見立てる風習がメソポタミア文明に伝わりましたが、メソポタミア文明は独立して別の星座を作っていたという説もあるようです。最初の星座はあの有名な「黄道十二星座」です。これは、メソポタミア文明前から羊飼いが設定したという説があります。

 

黄道十二星座には「ヒツジ」「ヤギ」「ウシ」などがすべて含まれていたためというのが間接的証拠になるわけですが、実はこれは誤りだと言われていて、ほんとうのところ、星座の起源については紀元前5世紀ごろとされています。

 

メソポタミア文明に伝来した黄道十二星座は、後の西洋占星術の基礎になります。

 

メソポタミアの黄道十二星座を含めた66の星座リストは、メソポタミアの神に基づいたエンリルの道・アヌの道・エアの道に分けれています。これらが古代エジプト〜古代ギリシアに伝わって、ギリシア人たちも自らの神話体系に取り入れたり、新しいオリジナルの星座を考案しました。ギリシア人の星座には、すべて神話がついています。

 

古代ギリシアで星座の言及が確認される最も古い記録は紀元前9世紀の二大叙事詩「イーリアス」と「オデュッセイア」で、ここでおおぐま座やうしかい座、オリオン座が言及されています。

 

 

大天文学者ヒッパルコス

 

現代にも伝わる49星座を設定した人物は、紀元前2世紀のトルコ・ニケア生まれの大天文学者であるヒッパルコスです。彼は、目で見えるすべての星1080を「星表」にし、星の明るさについても分類しました。肉眼で見える最も明るい星が1等星、最も暗い星が6等星として、星の明るさを6段階に分けました。現在ではさらに分類がされているものの、これは、今の人間も使っているあの星の明るさの分類方法ですね!

 

 

古代星座の集大成を完成させたプトレマイオス

 

紀元後2世紀、古代星座を総括したのが、ギリシアの天文学者であるプトレマイオス・クラウジオスです。プトレマイオスの書いた「天文学大全」は、それまでの天文学の一大カタログです。以来、16世紀になるまでプトレマイオスの星座は1500年の間使われていました。

 

 

大航海時代〜現在の星座

 

時代が近世になると、望遠鏡の発明もあり、暗い星が見つかったり、それまで観測されていなかった明るい星がなく目立たない空白の部分も観測されるようになりました。また、大航海時代によって低緯度地方や南半球に西洋人が行くようになると、北半球ではみられなかった星が見えるようになりました。

 

航海のためには星の位置を知ることが必要だったんですね!

 

こうして、16世紀の後半から約300年間は、新しい星座をつくる動きが活発になりました。20世紀になると、天文学の総本山である「国際天文学連合」が、増えすぎた星座で無理なこじつけなどのものを廃止し、1931年に88の星座を定めています。

 

また、このとき各星座の名前・エリアが厳密に決まったので、太陽系外のすべての天体は、必ず1つの星座に属することになりました。古今東西、星座は広大な宇宙の「道しるべ」として利用されています。

 

 

たまには天体観測もいかがですか?

 

星座の奥深い歴史についてでした。こうしてみると、やはり大昔から人間は星を見てきたんですねえ。そこにはかなりディープな文化があるので、こういったところから宇宙に興味を持つといいかもしれませんね。最近のプラネタリウムはいろいろなエンターテイメント的な工夫を凝らしているらしいので、行ってみるのも楽しいでしょう。

 

また、肉眼で見える星座もあるので、やはりここから試してみるのが一番お手ごろですね(笑)

 

 

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