今月の宇宙ニュースとしては、やはりこの話題を取り上げないわけにはいかないでしょう。今年3月7日、JAXAのロケット「H3」が打ち上げられましたが、失敗し破壊されました。
これは大きなニュースになりましたね。宇宙開発の関係者は、今回の失敗は「まさか」という驚きだったそうです。では、今回の打ち上げ失敗はなにが原因だったんでしょうか?
次期主力となるロケット
宇宙開発機構・JAXAの「H3ロケット」が今月打ち上げられましたが、これが失敗に終わったことがニュースになりました。ではまず、ここでH3ロケットについておさらいしてみましょう。
H3ロケットは、JAXAと日本の宇宙ロケットの大半を製造している三菱重工業が2014年から開発している次期主力ロケットです。このロケットで日本の宇宙開発の自立性と国際的な競争力の向上を目指しています。世界で使われるロケットとなるため、信頼性と柔軟性、低価格の3つを特徴にしています。
設計・製造では民間企業の三菱重工が深くかかわっており、これがコスト削減につながっています。これらの積極的なコストカットによって、打ち上げ費は前の世代の「H-IIA」ロケットの半額である約50億円を目指しています。2段式液体燃料ロケットで、全長最大63メートル、重さ575トンというサイズです。
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ロケット打ち上げの歓喜から一転
では今回の打ち上げ失敗の経緯についてみていきましょう。H3ロケットは当初、2020年に打ち上げが予定されていましたが、エンジンの開発が遅れて今年まで延期されていました。
今年2023年2月17日にいよいよ打ち上げというその直前に、電気信号が乱れて誤作動があったために中止となりました。その後誤作動の対策をし、3月7日10時37分、種子島宇宙センターから国産のH3ロケットの試作機1号機が打ち上げられました。
離陸した後、ロケットブースター分離・第1段エンジン燃焼停止・第1〜第2段の分離と、ここまでは計画通りでした。しかし、後に燃焼する予定だった第2段エンジンが点火しませんでした。
そのため、ロケットが予定された軌道に入る計算ができなくなり、燃料が積まれた機体が危険であるとし、JAXAは打ち上げしてから約14分後に指令破壊信号を送り、破壊された機体がフィリピン東方沖の海上に落下したとされています。
打ち上げ失敗は電気系統が原因!?
H3ロケットの打ち上げは何が原因だったのでしょうか。ニュースなどの情報によれば、ロケットの打ち上げ後、電気・コンピューター系自動制御の異常が発見されたそうです。日本のロケット打ち上げはエンジンやノズルなどの機械トラブルによってこれまで失敗していましたが、この電源系統による失敗は今回が初になるそうです。
第2段エンジンの「LE-5B-3」は、液体水素・液体酸素を燃焼してガス噴射しますが、改良されて5代目となるこのエンジンは極めて高い信頼性があるために、関係者は今回の失敗を驚いているそうです。商業的にみると、今回の失敗は日本の宇宙ビジネスに大きなダメージとなってしまったようです。
三菱重工の株価も失敗をうけて、当日は下落しています。発射直後には5186円まで株価が上昇しましたが、ロケットが破壊されたという情報が入ると4934円まで下落しました。このダメージを最小限にするために、次回のロケット打ち上げが待たれます。
JAXA「H3ロケット」の続報を待ちましょう
今月に行われたJAXAの「H3ロケット」の打ち上げが失敗した件についてでした。どうやら失敗した原因は電気系統だったとされていますが、これは日本のロケットで初めてのことだったんですね。
会見で失敗を批判した記者にホリエモン氏が怒ったというニュースもありましたね。自身もロケットの打ち上げに関わっているので、いろいろと内情を知っているからなのでしょう。何事も失敗はつきもの、「失敗は成功のもと」ということで、次回の打ち上げに期待しましょう。
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