宇宙への探査や宇宙開発がニュースになって話題になる時代ですが、人間以前に宇宙に初めて行った動物をご存知でしょうか?
ここでは、宇宙に行った動物たちについてみていきましょう。
最初に宇宙に行ったのはあの「ハエ」
人類初の有人宇宙飛行は、1961年にソ連のボストーク1号に乗り込んだユーリイ・ガガーリンが達成しました。しかし、それ以前にはまず動物が宇宙に打ち上げられています。宇宙に行った動物はソ連の犬「ライカ」が有名ですが、実はライカ以前にも、宇宙に行った動物・生物がいます。
この動物たちは、有人宇宙飛行の準備として使われたわけではなく、最初は宇宙で生物が生きていられるかを試すというだけのものでした。最初に宇宙に行った生物は、犬ではなくなんと「ハエ」だったそうです!
1947年にアメリカはドイツのV2ロケットを宇宙に打ち上げられましたが、この中に「ミバエ」を入れていて、これが宇宙に初めて行った生物だったとされています。ミバエとはハエ目ミバエ科 に属しているハエの総称で、日本を含めた全世界に4000以上の種類が存在しているハエです。
このハエが打ち上げられた目的は、宇宙空間のような高高度での宇宙線被曝について調査することでした。ミバエは宇宙に打ち上げられた後、健康なまま生きて帰還しています。次に動物を打ち上げたのもアメリカでした。
1949年の6月に、これもV2ロケットでアカゲザルの「アルバート2世」というサルが打ち上げられました。しかし、「アルバート2世」はパラシュートがうまく機能せずに地面に落下して死亡したそうです。この後もアメリカは50年代〜60年代にサルやネズミを宇宙に打ち上げています。
初めて地球軌道を周回した犬の「ライカ」の前にも、ソビエトは「ツィガン」と「デジク」という犬を弾道飛行で打ち上げています。ガガーリンが有人宇宙飛行を達成した1年前の1960年には、ソビエトのスプートニクで「ベルカ」と「ストレルカ」という犬が打ち上げられ、生きて生還しています。
こう見ると、アメリカはサル、ソビエトは犬という感じですね。初めて宇宙から生還したサルは、1958年5月に打ち上げられた「エーブル」と「ベーカー」です。この2匹は約9分間無重力状態と38Gに耐えて生還し、身体も健康な状態だったそうです。
1961年にはチンパンジーの「ハム」がアメリカのレッドストーンロケットで打ち上げられ、船内で作業を行う実験を成功させ、宇宙で作業を行った初めての動物になりました。「ハム」は地球に帰るとワシントンのノースカロライナ動物園で17年間生きて、その骨はスミソニアン博物館に保存されたそうです。
アメリカとソビエト以外の他の国では、1961年にフランスがラットを弾丸飛行で打ち上げて、1963年にはネコの「フェリセット」を打ち上げ、無事に生きて地球に帰りました。これが宇宙に行った初めてのネコです。
中国では1964年・1965年にマウス・ラット、1966年にイヌを弾道飛行で打ち上げています。
日本では観測フリーフライヤ「SFU」で初めてイモリを宇宙に送りましたが、その前にもジャーナリストの秋山豊寛氏が、1990年12月にミール宇宙ステーションへニホンアマガエルを連れて行って実験をしています。
ついにゴキブリまで宇宙に
また、近年では2007年にあのゴキブリも妊娠状態のまま宇宙に行って地球に帰り、その後子供を生んだそうです。
この同じ衛星フォトン3に乗り込んでいた、非常に苛酷な環境でも生存できるので最強の生物といわれる「クマムシ」が、生の宇宙空間に10日間放置され、「宇宙空間に直接出て生き残った初の生物」になりました。
クマムシは地球に帰還してから復活し、普通のクマムシと同じように繁殖したそうです。
宇宙に行って無事に生還した動物も多い
宇宙に行った動物達についてでした。こうしてみると実にたくさんの動物が宇宙に行っているんですね。
ライカはかわいそうな話でしたが、それ以外では多くの動物が生還しているというのもポイントです。初めて宇宙に行った生物があのハエだったというのがおどろきでした。宇宙に行った動物達は、人間の宇宙飛行の道すじを作ったといえるでしょう。