人間を再び月へ送るという、非常に楽しみなミッションが「アルテミス計画」です。先日は打ち上げの予定が遅れているというニュースがありました。
ここでは、そのアルテミス計画について、打ち上げするロケットの詳細や最新情報などをご紹介しましょう。
ロケットの各部位を紹介
NASAが主導し、世界各国の宇宙機関も参加している「アルテミス計画」は、アポロ計画以来の「月に人間を送り込む」という非常に野心的なミッションです。では、その月へ向かうロケットはどのようなものなのでしょうか。
大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」に「宇宙船オリオン」が搭載
アルテミス計画では大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」に「宇宙船オリオン」が搭載されます。SLSはエンジンが4基、固体燃料のブースター2基という構成で打ち上げられます。このシステムは、将来は火星飛行などにも使われる予定です。
SLSについて、ここで先端の上部から下部に向かって紹介していきましょう。まず、先端は打ち上げ脱出システムとなっており、万が一のときには乗員が乗っている部分を切り離してくれます。
その下の乗員が乗る部分は「クルーモジュール」と呼ばれ、最初の無人飛行ではテストのためにマネキンが置かれるそうです。その下に位置する「サービスモジュール」とは、クルーモジュールに電気や水を提供する部分で、宇宙船を制御するスラスターも含まれます。
この「クルーモジュール」「サービスモジュール」から宇宙船のオリオンが主に構成されています。さらに下の「極低温推進ステージ」は、これより下段が切り離されたあとで、これより上の「クルーモジュール」「サービスモジュール」を月に押し出すという役目を担っています。
下段の、左右に固体ロケットブースターが設置されている中央部分はコアステージといって、エンジンのための燃料が約270万リットルも入っています。左右にある固体ロケットブースターはこの大型ロケットを打ち上げるときの、推力75%を受け持っています。
一番下にあるのが「RS25エンジン」で、4基で合計160万ポンド以上もの推力を出します。このSLSが打ち上げられると、すぐにコアステージのエンジンが止まり、上部から切り離されます。このSLSは、初期推力4400トンと、NASA史上でもっとも推力があるロケットになるそうです。
宇宙船オリオンの説明
宇宙船オリオンはさらに2時間して、極低温推進ステージが切り離されます。サービスモジュールから展開されるソーラーウィングは、約7メートル・1万5000個という太陽電池で太陽からエネルギーを作ります。
ちなみに、オリオンに置かれるというマネキン、気になりますよね(笑)
なんと、このマネキンには名前がついているそうです。船長の席に置かれるのは「ムー二キン・カンポス船長」という名前で、これはアポロ13号に参加していたエンジニアにちなんでいるそうです。
ほかの2体には「ヘルガ」「ゾハル」という名前で、放射線検出器が取り付けられているそうです。
打ち上げはどうなった?
アルテミス計画の最新情報です。先月9月27日、NASAはケネディ宇宙センターから打ち上げる予定だったロケットを組み立て棟に戻しました。この日、巨大なハリケーン「イアン」がフロリダに進んでいたためです。
イアンについてはアメリカで大きな被害をもたらしたことがニュースにも取り上げられていました。これで3度目の打ち上げ延期となります。次回の打ち上げについて、11月半ばごろになる可能性が高いとNASAでは発表しています。ただ、早くいけば10月中になるかもしれないともしています。
意外にもマネキンには名前があった!
アポロ計画以来の宇宙飛行士の月面着陸計画、「アルテミス計画」のロケットの詳細についてでした。無人飛行で実験のために置かれることになるマネキンに、名前がついているとはおどろきでしたね(笑)