探査機

ニューホライズンズの今はどうなっているの?

2018年3月21日

 

2006年の打ち上げから12年、

探査機「ニューホライズンズ(New Horizons)」は冥王星を通過後、

次の探査目標である太陽系外縁天体「2014 MU69」に向かっています。

 

ニューホライズンズとは?

 

ニューホライズンズはアメリカ航空宇宙局(NASA)によって

2006年1月に打ち上げられた無人探査機です。

冥王星をはじめとする太陽系外縁天体の探査を目的としています。

史上初めて冥王星や太陽系外縁天体を探査するということで「新しい地平」

という英単語が名前の由来となっています。

太陽系探査の新しい地平を開くという期待が込められているようです。

打ち上げに掛かった費用は約7億ドル(日本円で約800億円)です。

これはロケット製造費、施設利用費、装置開発費と人件費を含んでいます。

本体の質量は465Kg(推進剤77Kg含む)です。

探査機というと、太陽電池パネルを翼のように広げた姿が思い浮かびますが、

ニューホライズンズは太陽から離れた所で活動するため、

電力原としては原子力電池を使用しています。

原子力電池は高温となる放射性物質と低温となる宇宙空間の温度差を利用して発電しています。

ニューホライズンズには赤外線・紫外線分光計、多色カメラ、

高解像度望遠カメラ、宇宙塵(じん)検出器など7種類の機器が搭載されています。

 

太陽系外縁天体

 

海王星の軌道より外側にある天体をまとめて太陽系外縁天体といいます。

冥王星は太陽系外縁天体の一つに数えられます。

アイルランドの天文学者ケネス・エッジワースと

アメリカの天文学者ジェラルド・カイパーが冥王星軌道の外側に氷でできた

小さい天体が多く存在すると予測しました。

このような天体がある領域を「エッジワース・カイパーベルト」と呼びます。

また、オランダの天文学者ヤン・オールトは太陽から約1光年の所を小惑星や氷、

ちりが球状に取り囲んでいると提唱しました。

これをオールトの雲と言いますが、観測では実証されていません。

エッジワース・カイパーベルトは短期周期の彗星の起源、

オールトの雲は長期周期の彗星の起源とされています。

 

冥王星

 

私が小学生の頃、太陽系の惑星を覚えるのに「水金地火木土天冥海」と唱えていました。

冥王星の軌道は細長い楕円になっているので、

当時は冥王星の方が海王星より太陽の近くに位置していました。

冥王星が1930に発見されたときには軌道が

かなりゆがんだ楕円形で他の惑星と公転面がそろっていないことが分かっていましたが、

惑星として認識されました。

しかし、冥王星は実際には月より小さいことが分かり、

その軌道の近くに次々と新しい天体(太陽系外縁天体)が発見されました。

冥王星より大きな太陽系外縁天体(エリス)が

発見されるに至って惑星の定義が見直されることになりました。

2006年ニューホライズンの打ち上げと同じ年に、

冥王星は惑星の仲間から外され、「準惑星」に分類されました。

 

探査でわかったこと

 

ニューホライズンが撮影した冥王星の画像の中で最も興味深いのはハートマークの形をした領域です。

この領域は冥王星の発見者の名前にちなんで「トンボー領域」と名付けられました。

トンボー領域にはクレータが見つからず、

これは火山などの地質活動によってクレータの跡が消されたためと考えられています。

ただ、火山などの地質活動には強力な熱源が必要になります。

その熱がどこから来ているのかまだわかっていません。

太陽系には木星の衛星イオなど火山をもつ天体がありますがそれらは近くに巨大な天体があり

(イオの場合は木星)その引力が地質活動のエネルギー源となっています。

しかし、冥王星の近くにはそのような巨大な天体はありません。

ニューホライズンズは現在、

次のターゲットであるカイパーベルト天体(暫定的に2014 MU69と呼ばれている)

に向かって飛行しながら、

冥王星の観測データを地球に送信し続けています。

こうしたデータによって冥王星の姿がさらに明らかになるかもしれません。

(画:ニューホライズンズ wikipedia)

 

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