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土星の衛星タイタンに生命の可能性!?2017年8月30日時点のタイタンまとめ

2017年8月30日

 

土星には「タイタン」という衛星があります。特徴的な「タイタン」という名前は、もちろん有名なギリシャ神話の巨人ティーターンからきています。2014年のデータによれば、このタイタンにの「リゲイア海」にシアン化ビニルという分子が大量に発見されました。これが生命が存在する可能性があるという議論の元となっています。今回はこの、土星の衛星タイタンの生命の可能性について紹介してみましょう。

 

土星の衛星「タイタン」の概要について

(wikipedia/惑星探査機カッシーニによって撮影されたタイタン)

 

タイタンは土星の第6惑星で、土星最大の、直径約5150kmの衛星です。これは彗星よりも大きく、木星の衛星「ガニメデ」の次大きいもので、なんと小型の望遠鏡でも土星付近にあることを確認できてしまいます。タイタンは、濃い大気と雲が特徴で、表面の気圧は地球よりも1.5倍であり、大気の大部分は窒素となっています。これは、タイタンの重力が大きいために、その重力で窒素分子を引き止めているからとされています。タイタンの大気は97%が窒素ですが、後の2%メタンです。タイタンでは「液体メタン」の雨が降っていて、メタン・エタンの川・湖があることがカッシーニ探査によって確認されています。さらに、タイタンは地形や気象が地球に似ていると言われています。

 

細胞膜を形成できるかもしれないシアン化ビニルが100億トン

(wikipedia/タイタンの内部構造)

 

生命の存在に欠かせないものといえば「水」とされていますが、タイタンは地球よりも太陽光線が届きにくく、そのために冷たいので地表には水が存在していません。ただし、分厚い大気には炭素化合物がたくさん含まれていて、メタン・エタンの川や湖が水の代用になって生命がいるかもしれないという説がありました。タイタンでは冬になると毒がある分子の雨が降り、ある条件下ではこの分子が集合して、細胞膜のような構造を形成する可能性があると考えられているのです。この毒のある分子というのがシアン化ビニルというもので、大気圏の上部で作られています。学術誌によると、タイタンのオレンジ色の「もや」の中にシアン化ビニルができて、氷のようなタイタンの表面に降っているかもしれないとのことです。

 

液体メタンの中で機能できる細胞膜の仮説は、2015年の2月にモデル化されています。炭素・水素・窒素を含んだ小さな分子で構成されて、炭素・水素・酸素・リン脂質からできている地球の細胞膜と同様じ安定性・柔軟性があります。この細胞膜を「azotosome(アゾトソーム)」と呼び、基本的材料として考えられているのがアクリロニトリル、つまりシアン化ビニルなのです。タイタンのリゲイア海に、なんとシアン化ビニルが100億トンも含まれているといわれています。このシアン化ビニルが自己組織化するのかはわかっていないものの、細胞膜のようなものを形成できると仮定したとき、湖のような場所では、生命の条件が達成できるかもしれないという考えができます。2014年の2月〜5月のあいだにタイタンを観測したデータの中から、シアン化ビニルが存在しているという証拠、原子だけでない完全な分子構造が見つかっています。

 

タイタンの大気圏内、高度200キロの高さでシアン化ビニルが発見されています。太陽光などが大気中の窒素・メタンにぶつかって、それを破壊するときにシアン化ビニルができるそうです。大気圏でできたシアン化ビニルがタイタンの全体に降り注いで、表面に留まったり化学反応を起こし長いポリマーの鎖を作ったり、または湖に落ちて水中で自己組織化するかもしれないといった可能性が考えられています。

 

もう一度タイタンに探査機を送らなければ

(wikipedia/カッシーニが観測した液体の湖が点在するタイタンの地表)

 

もしもタイタンに生命が存在していたとしたら、それは炭化水素をうまく循環するために最適化している構造になっているだろうと考えられています。炭化水素の湖というのは、太陽系のどこを探してもないもので、つまりタイタンの湖を研究することは、既存のものではない新しい生物学が必要なのです。現在のところ、タイタンの湖について理解する実験が始まったばかりで、もう一回タイタンに探査機を送るまでは、本当に何が起こっているのかを理解することはできないとされています。

 

リゲイア海にあるシアン化ビニルの量だけを考えれば、なんと360億匹ものダイオウイカができる分になるので、今回の発見はタイタンに新しい探査機を送るきっかけにもなるかもしれません。科学者達は、タイタンの大気の組織は、初期の地球の大気と比べて、水蒸気がないという重要な違いがあるものの、それ以外は似ていると考えていて、これもタイタンの生命の可能性を論じる点となるでしょう。地球以外の宇宙にある生物の可能性は、わくわくできて本当に興味深いものがありますよね。

画像引用元:wikipedia タイタン

 

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