土星

土星の環からダイヤモンドの雨が降っている?





カッシーニによる土星の撮影 (2004年3月27日)wikipedia

カッシーニによる土星の撮影 (2004年3月27日)wikipedia

 

このたび、2017年末に任務を終えたNASAの探査機「カッシーニ」が、最後の発見をしました。

それは「土星の環から雨が降っている」という事実です。

あの土星の環から雨?というのは普通の人にとっては奇妙な話ですね。いったいどういうことなんでしょう。

 

 

以前から観測されていた土星の環の雨

2011年に惑星規模で発生した嵐の帯 wikipedia

2011年に惑星規模で発生した嵐の帯 wikipedia

 

土星の環からなにかの物質が土星の大気に降ること自体は、天文学者などの関係者にとっては意外なことではないそうです。

理論的な面でも観測上においても、これは数十年前から示唆されていたそうです。

 

土星の環から雨が降っていることは、以前にも観測されていました。

1980年代に土星観測をした探査機の「ボイジャー」は、土星の環から惑星本体に水が降り注いでいる兆候を見つけました。

 

2013年、イギリスのレスター大学院生であるJames O’Donoghueさんたちの研究により、再びその模様が確認されました。

土星の環から土星表面に向かって広範囲に水が降っている様子を捉えたのです。

 

これにより、電荷を持つ水によって土星の大気が中和される等、この雨が土星の環境に大きい影響をもたらしていることが判明しています。

土星のプロトン化水素分子から放射されている、近赤外線分布をハワイ島マウナケア山頂の天文台群にあるケック天文台から観測すると、土星の環に対応しているかのような縞模様が見られました。

 

電荷を帯びている水の粒子が、磁場の影響によって土星の上空にある電離層に降り注いで、暗い影として見えているのです。

 

このような影の部分は、緯度25度〜55度の付近で30%〜40%まで及んでいます。これは1980年代のボイジャーの観測よりもはるかに大きな範囲で、そのため土星の環が土星上空の電離層に大きな影響を与えていることが明らかになりました。

 

 

カッシーニが最後に観測した貴重なデータ

 

土星には、電子の密度が非常に低い部分があるということが昔からの謎でしたが、NASAの探査機「カッシーニ」がこの模様を詳しく調査しました。

カッシーニは、土星の「環」から、1秒間重さ数千キロという氷・有機分子が土星の大気に降り注いでいるということを発見しました。

 

2017年末、任務を終えたカッシーニは、最後に土星〜その環の間をなんと22回もくぐり抜けて、環から降っている雨を採集しました。

あのおなじみの土星の環から雨が降っている?というのはなんとも不思議な感じがしますね。

 

その雨の組成・降雨のペースを調査することは、土星について知る上でもとても重要になるでしょう。

土星の環の成り立ち・年代という昔からの謎の解明に近づいたことにもなります。

 

2018年10月の「サイエンス」誌に、土星の環の雨について、3つの論文が載りました。これはいずれもカッシーニの「グランドフィナーレ」から構想されています

 

カッシーニが最後に土星と環の間を22回通り抜けた速度はなんと時速約11万キロ!

これはすごいですね!

 

そのため、カッシーニの観測機器が想定した速度を上回り、データ解釈は困難をきわめました。

カッシーニが測定したのは、土星の重力・磁場・環の質量などで、環から降っている破片も採集しました。

 

別々の成分を調べる3つの観測機器は粒子を分析すると、科学者が驚く結果になりました。

土星の環から土星に降る雨(複合有機化合物)はケイ酸塩・メタン・アンモニア・一酸化炭素・窒素・二酸化炭素からできていることが明らかになりました。

 

このうち有機物組成は、土星の衛星「エンケラドゥス」「タイタン」で見つかったものとは違っていて、そのため土星系には有機分子の蓄積が最低でも3カ所存在するということです。

この雨の大部分は火星の赤道沿いに降り、大きな電荷の粒子は土星の磁力線に沿いながら南半球に降っていきます。

 

土星の環のほとんどは氷ですが、科学者たちが考えていたほど、土星に降る雨には氷が含まれていませんでした。

この件についてNASAでは、あるシナリオで説明可能としています。

 

それは、土星の内側の環「D環」の内部に、これまで検出していなかった放射帯があって、環の氷から水を剥ぎ取っているという考えです。このシナリオに従うことで、土星の近くで見つかる粒子は、ケイ酸塩・有機物等の物質ということになります。

 

土星はダイヤモンドの雨が降っている?

探査機カッシーニが2007年に撮影した土星の環 wikipedia

探査機カッシーニが2007年に撮影した土星の環 wikipedia

 

さらに、土星はダイヤモンドの雨が降っているらしいのです。

アメリカ天文学会・惑星科学部会で、天文学者たちは「土星・木星は、ダイヤモンドが大く存在している惑星である」と発表しました。

 

土星・木星は巨大な惑星ですが、大気中にはたくさんの「カーボン」が結晶体で含まれていて、メタン・黒鉛のカーボンは雷・嵐によってかなりのダイヤモンドに変化するそうです。

 

雨となったダイヤモンドは、土星や木星の海に降り注ぐのだとか。

 

天王星・冥王星にも宝石の原石があるとされていて、この4惑星は同じガスが主成分でダイヤモンドができる条件が整っているようですが、ダイヤができる場所は内部の深い場所なので、現在は宇宙船からの観測ができないそうです。

 

ダイヤモンドの雨は危ない

 

土星の環から降っている雨についてでした。地球の普通の感覚からすると、「土星の環から土星本体に向かって降っている?」というのが感じがして不思議なんですが、科学者の間ではかなり前から知られていたんですね。

 

この雨が土星の大気にも影響を与えているということで、興味深いですね。

ダイヤモンドの雨というのもロマンチックで宝石好きな女性なら喜んでしまうかもしれませんが、実際には危ないですよね(笑)

 

参考出典:

土星の環から「雨」が降っていた、予想外の事実も

土星の環から「有機化合物の雨」 探査機の最終周回から判明

土星の環からふりそそぐ雨

 




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気になる宇宙分野:宇宙全般ですが、特に太陽系外の宇宙に興味があります。

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