現在、日本のJAXAの探査機「はやぶさ2」が調査している小惑星が「リュウグウ」です。
これは、海外でも「Ryugu」と表記されています。
これまでまったく姿がわからなかった小惑星なんですが、
今年6月末、ついに「はやぶさ2」が「リュウグウ」に到着したことで、
その全貌が明らかになりました。
どんな姿なのでしょうか?ワクワクしますね。
(画像引用元:リュウグウの軌道 wikipedia)
小惑星「Ryugu」(リュウグウ)について
「はやぶさ2」が調査する小惑星「リュウグウ」とはどのような惑星なんでしょうか。
「リュウグウ」は地球に近づく軌道を持った小惑星のひとつで、
大きさは「はやぶさ」が調査した「イトカワ」の535mの約2倍ほどのの900m程とされています。
ちなみに、東京タワーが333mですから、
「リュウグウ」は東京タワーの約3倍弱ということになります。
「はやぶさ」が調査した「イトカワ」は岩石質のS型小惑星でしたが、
「リュウグウ」は炭素のような有機物や水が含まれているC型小惑星だということがポイントです。
このような性質を持つため、「リュウグウ」は「はやぶさ2」の調査対象となりました。
これまで望遠鏡や天文衛星で観測されてきたことから、
「リュウグウ」は自転周期が地球の3倍の速さの約7.6時間ということや、
黒っぽい色の天体ということが分かっていました。
これらの情報が、「はやぶさ2」の探査の方式、機器の設計や調整にも影響を与えています。
「リュウグウ」は1999年の5月10日、
リンカーン研究所にある自動観測プログラム「LINEAR」が発見した、
アポロ群の地球近傍小惑星(ちきゅうきんぼうしょうわくせい)です。
地球近傍小惑星とは、地球に近づく軌道を持っている天体のなかの小惑星です。
「リュウグウ」は、外国でも「Ryugu」表記の名前です。
これは、日本人に馴染みのある名前ですね。
この名前を聞くと、ほとんどの人が浦島太郎の「竜宮城」を思い浮かべるでしょう。
実はこの名前はそこからとられているのです。
浦島太郎が竜宮城から玉手箱を持ち帰ることを、
「はやぶさ2」がこの惑星からサンプルを持ち帰ることとかけていたり、水が含まれた岩石が予想され、
水を連想させる惑星であること、神話由来の名前が望ましいとされているなどから、
「リュウグウ」と言う名前になりました。
「リュウグウ」は、「はやぶさ2」が到着するまで姿がわからない小惑星でした。
その角度や小ささが原因で、太陽系の天体なのに姿がわからなかったのです。
そのため、リュウグウがどんな形なのかを想像するコンテストまであったほどです。
姿がわからない小惑星に向かうというのは、
ネットで知り合った異性に会いに行くという、現代の恋愛に近いものがありますね。
今年6月21日、ついに「はやぶさ2」が「リュウグウ」の姿を撮影、
ついに明らかになったその姿は、まるで「そろばんの玉」のように角ばっているものでした!
円錐を2つあわせたひし形のような形は、とてもユニークです。
ちなみに、初代「はやぶさ」が調査した小惑星「イトカワ」も、
まるで「ソラマメ」のような奇妙な形をしていました。
表面は月のクレーターのようなデコボコが見え大きな出っ張りなどもある、
起状がある天体ということが判明されました。
岩の塊は「ボルダー」と言われるもので、リュウグウには100mほどのボルダーもあるようです。
直径900mの天体に多くのボルダーがあるのは珍しいこととされています。
小さい天体になぜ大きいボルダーが多くあるのが珍しいのかは、「重力」があるからです。
小さい天体では重力が弱いのですが、何らかがリュウグウにぶつかり岩塊ができたとしても、
地表にはとどまずに飛び出るからです。
これらは落ちてきたものかそれとも内部から突き出たものかは現在のところ不明です。
いくつかの種類がある場合は、ボルダーの形成方法も変わってきます。
衝突によってできたものなら、この惑星に岩石質主体のS型の岩があるかもしれません。
地球からリュウグウまでの距離について
はやぶさ2は、目的地のリュウグウを調査し地球に帰還するミッションです。
その距離は片道2年半、往復にして約52億キロという途方もないものです。
ただ、リュウグウは地球の近くを周回する小惑星です。
では、リュウグウに着くまでになぜこんなに時間がかかるのでしょうか。
リュウグウは地球に接近する小惑星で、
地球からリュウグウまでは約3億キロという距離があると言われています。
これだと、計算が合いませんよね?なぜなんでしょうか。
これは、リュウグウは公転が不安定な楕円軌道のため、
その軌道が地球からもっとも離れた地点のことを言っているだけだからです。
リュウグウは、地球〜火星の軌道を、約1年と3ヶ月で公転しています。
あまりに小さい惑星なので、「引力」を利用できないために時間がかかります。
月や火星等は引力が強く、これらに向かう探査機の場合、
その引力を利用することで近づくことができるのです。
このため、リュウグウへはちょっとずつ近づいてランデブーしなければならないからです。
はやぶさ2を、ベストタイミングでリュウグウにランデブーさせるには、
2年半の時間が必要ということです。
しかも、リュウグウは小さい小天体で、ここにランデブーさせるのはかなりの技術が必要になります。
直径約900メートルというリュウグウにはやぶさ2が到着するということは、
「日本からブラジルの長さ6センチくらいの的に当てる」ほどの精度が必要なんだそうです。
これは当然、緻密すぎる計算が必要になるでしょう。
リュウグウを調査する意味
「リュウグウ」を探査することは、いったいどんな意義があるのでしょうか。
まず、「地球に起こる脅威の対策」という面があります。
「プラネタリーディフェンス」という、地球に小惑星が衝突することを避ける点で意義があると、
はやぶさ2のミッションマネジャー吉川真氏は語ります。
たとえば、今から約6500万年前、地球に小惑星が衝突したことで恐竜が絶滅したとも言われています。
地球に小惑星が落ちてくれば、大変な被害が起きることも考えられるでしょう。
小惑星の性質を知れば、50年先の軌道がわかり、
衝突する前にイアパクターという構造物をぶつけることで、その軌道を変えることができるため、
「リュウグウ」を調べることはこういったことでも意義があることです。
吉川氏は、リュウグウの組成・密度・構造を調べ、
炭素系物質が主成分であるC型小惑星がもし地球に接近している場合、
どのようなインパクターを衝突さればいいのかについての知見が得られるとしています。
「リュウグウ」のような地球接近型のC型小惑星は少ないので、貴重なデータとなるでしょう。
現在、はやぶさ2はリュウグウにたどり着きましたが、
これから滞在する1年半のスケジュールはぎっしりと詰まっています。
約2ヶ月は詳細な観測で地形・重力・物質の分布を調査し、立体模型を作ります。
そのデータによって着陸地を3つ選びます。
ローパーを切り離し、リュウグウ表面60mという位置まで接近、
タッチダウンしてサンプルを採取します。
衝突体の爆発でクレーターを作ることはこれまでやったことがないチャレンジとなります。
また、炭素や水が含まれているC型小惑星を調査することで、
人間を含めた地球の生命の起源についても新しい知見が得られる可能性もあるそうです。
有機物が含まれた隕石が地球に衝突することで、
生命の誕生に大きな影響を与えたという説も成立するでしょう。
リュウグウには未知な部分がたくさんあります
はやぶさ2が現在調査を行っている小惑星「Ryugu」リュウグウについてでした。
リュウグウを調べることは、惑星が地球に衝突するということは映画などでもありましたが、
それへの対策になるかもしれないということと、
生命の起源についてなにか新しい発見があるかもしれないということですね。
遠い宇宙ではやぶさ2がリュウグウを探査している姿を思い浮かべると楽しいですね。