宇宙雑学

ロシアのソユーズFGの打ち上げ失敗と再開について

2019年10月17日

ソユーズFG wikipedia

ソユーズFG wikipedia

 

「ソユーズFG 」というのはロシアの宇宙ロケットですが、最近打ち上げに失敗し、その後また再開してミッションを成功させました。

今回はこのソユーズFGについてと、打ち上げ失敗&再開についてのお話です。

 

ソユーズFGとは?

ソユーズFG wikipedia

ソユーズFG wikipedia

 

「ソユーズFG」は、ロシアの有人宇宙ロケットです。2001年5月に初めて打ち上げられ、同国の使い捨て無人宇宙輸送機「プログレス補給船」を国際宇宙ステーションまで運びました。その後は、「ソユーズTMA有人宇宙船」を国際宇宙ステーション・ISSまで運ぶ目的として使われています。

 

ソユーズTMAというのは国際宇宙ステーションに人間を輸送するために、NASAから要請されて設計の変更があったソユーズ宇宙船で、人間の身長と体重の範囲を考慮されるなどの改良がありました。使い捨ての宇宙船として初の「グラスコックピット化」になっています。

 

見た目は前のシリーズの「ソユーズTM」と同じですが、大柄な宇宙飛行士も搭乗が可能になるくらいの広さの向上がありました。ソユーズFGはカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地から打ち上げられています。

 

今後の有人宇宙船は「ソユーズ2.1a」に

 

ソユーズの「FG」とは、ロシア語で「インジェクター・ヘッド」という意味の頭文字からつけられています。ソユーズFGは制御装置がアナログ方式で、これが能力を制限していましたが、その後「ソユーズ2ロケット」で新しくなり、有人打ち上げについてもこちらのソユーズ2に今後は移行していくようです。

 

ロシア f

 

ロシアの国営企業「ロスコスモス」の社長であるドミトリー・ロゴージン氏によると、ソユーズFGの有人宇宙船は2019年で終わり、2020年からは「ソユーズ2.1a」になるとを発表しました。

 

この理由としては、ソユーズFGには近頃関係悪化が言われているウクライナの部品があることや、ソユーズ2.1aのデジタル式飛行制御・補助ブースター出力等の性能があります。

 

2018年の10月にソユーズFGが打ち上げ失敗

 

2018年の10月、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地の「ガガーリン発射台」から打ち上げられたソユーズFGが打ち上げの失敗をしています。これには、「ソユーズMS-10宇宙船」が搭載されていました。

 

中に乗っていた宇宙飛行士が心配でしたが、ロケットは地上に着陸したので無事だったそうです。打ち上げからすぐにトラブルが発生し、普通の帰還時より急な角度の弾道降下モードにより、パラシュートを展開してジェスカスガン東の約20kmの地点に着陸。

 

救助チームはその地点で宇宙船に乗っていたロシアのアレクセイ・オヴチニン宇宙飛行士とアメリカのニック・ヘイグ宇宙飛行士を救助。その後のふたりはヘリでバイコヌール宇宙基地に戻って検査を受けました。

 

NASAはふたりの飛行士が家族と食事する様子などを写真で伝えています。ちなみに、ソユーズFGは2001年の打ち上げ開始以来、50機以上が打ち上げられましたが、失敗したのは今回で初めてだったそうです。

 

失敗により国際宇宙ステーションに支障が

 

ソユーズMS-10が着く予定だった国際宇宙ステーションには、3人の宇宙飛行士が滞在していました。3人は2018年6月から滞在していて、12月にくる予定だった宇宙飛行士2人と交代で地球に帰る予定になっていたのです。

 

この事故によってソユーズ打ち上げはしばらく中断され、ISSの運用にも大きない影響が出ました。ソユーズ宇宙船は215日間という運用期間ため、3人が乗ってきたものは2019年1月に期限になるので、これより前に帰らなければいけないからです。

 

これはおどろきですが、今現在の世界においても、国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送れるのはソユーズしかないんだそうです。アメリカでも後損の通り民間企業の宇宙船開発が進んでいますが、有人船についてはまだ発展途上のようです。

 

ただ、今回のような事のために国際宇宙ステーションは無人運用モードがあり、過去の打ち上げ失敗などで使用する可能性もありました。

 

その後、打ち上げ再開して成功しました

 

ロシアはその後、2018年12月3日にソユーズFGロケットによる有人打ち上げに成功しました。2018年10月11日にソユーズの有人打ち上げに失敗した「ロスコスモス社」は、11月4日にソユーズ2.1bを、11月7日にソユーズST-Bを無人で打ち上げ成功しました。

 

さらに、11月17日に打ち上げ失敗したロケットと同じ「ソユーズFG」の無人での打ち上げに成功、同機の安全を確認してのミッションを再開しました。

 

宇宙船にNASAのアン・マクレーン、ロシアのオレグ・コノネンコ、カナダのデビッド・サンジャックという3名の宇宙飛行士が搭乗し、約6時間後に国際宇宙ステーションに到着しました。

 

ISSに宇宙飛行士を送れるのは現在でもこの宇宙船だけ

 

ソユーズFGの打ち上げ失敗&再開についてでした。ということで、これまで国際宇宙ステーションにいた3名の宇宙飛行士の帰還は無事に行われたんですね。国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送れるのは、現在でもこのロシアの宇宙船だけというから、非常に重要な宇宙船ですよね。

 

 

-宇宙雑学
-