国際宇宙ステーション

ロシアのソユーズMS-10が打ち上げ失敗、今後の影響など

2018年11月2日

ロシアのソユーズMS-10 wikipedia

 

2018年10月11日に、ロシアの「ロスコスモス」という国営宇宙企業が「ソユーズMS-10」という宇宙船を打ち上げましたが、これが失敗したということがニュースとなりました。今回はこのソユーズロケットの打ち上げ失敗事故についてです。
 

ソユーズMS-10の乗組員は無事

 

ロシアの「ソユーズMS-10」は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から10月11日打ち上げられました。しかし途中でロケットに故障があり、宇宙船は離脱して緊急着陸しました。乗組員は2人でしたが、この2人に怪我はありませんでした。

 

ロケット打ち上げの失敗という事故があっても、その乗組員宇の命が無事だったことは、ソユーズロケットの安全性を示しているでしょう。

 

しかし、事故が起きた原因や背景を検証しない限り、安全性はいつか崩壊する可能性があります。

 

世界でもっとも多く打ち上げられているロケット

 

ソユーズは、旧ソ連が計画してOKB-1(宇宙関連モジュールの設計/製造会社)が開発した、使い捨て型のロケットです。

 

アメリカ議会図書館はこれを「A-2」と呼んでいました。

 

欧州宇宙機関の記事では、「世界でもっとも多く打ち上げられているロケット」とされています。

 

ソユーズロケットは「ソユーズ計画」で有人打ち上げで使われわり、国際宇宙ステーションへ無人貨物補給船の輸送や、スターセム(ヨーロッパとロシアの共同出資企業)などの商用的な打ち上げ等に利用されています。

 

燃料には液体酸素とRP-1が使われ、ソユーズU2は液体酸素やシンチンを使っていました。

 

ソユーズは中心に二段のロケット、その周囲に4基のロケットがあります。アメリカや日本では、周辺の4基は補助ロケットになりますが、ソユーズではこれを1段目としています。

 

 

ソユーズの安全性は高いのですが

 

「ソユーズMS-10」には、ロシアの宇宙飛行士のアレクセイ・オフチニン氏と、アメリカの宇宙飛行士のニック・ヘイグ氏の2人が乗っていましいた。ふたりは打ち上げ後に国際宇宙ステーション・ISSに行き、そこで約半年の滞在をする予定でした。

 

日本時間の10月11日の17時40分に、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上がったロケットは、燃料を使い終えた機体を分離させるときに、何らかの不具合が発生しました。

 

これを受け、宇宙船にある緊急脱出装置が起動、ソユーズはロケットから離脱し、乗っていたふたりはパラシュートを開げて降下、カザフスタンの草原地帯に無事着陸しました。

 

その後捜索救助隊が現場に急行して、ふたりの宇宙飛行士を救出しました。彼らに怪我はありませんでした。

 

ソユーズは、打ち上げのあらゆるタイミングでトラブルが起きても機能できる脱出装置があります。

 

過去にソユーズは1975年・1983年に打ち上げ事故を起こしましたが、これらでも脱出装置が機能し、宇宙飛行士は無事でした。このような実績や今回の事故でもわかるように、安全性は非常に高いものがあります。

 

事故の詳細・原因はまだ不明ですが、ロスコスモスの社長はこの事故を受け、原因究明に国家委員会を設けたと話しているます。

 

最近のロシアの宇宙開発では、ロケット打ち上げの失敗・衛星の故障などのトラブルが続いています。その理由は、ロシア連邦が誕生して以来という予算不足のための後継者不足、ノウハウ継承失敗、品質管理の低さという、技術力の低下ではないかともいわれています。

 

ロシアといえば有人宇宙飛行を世界で初めて行った国なので、これはすこしさびしいものがありますね。

 

しかし、その有人宇宙飛行だけは、人命に関わるほどの大きな事故はありませんでした。世界初の有人宇宙飛行の国・ロシアとしての誇りからなのか、有人ミッションの場合は念入りな製造・検査をしているのかもしれません。

 

それでも、太陽電池が開かない、ドッキングシステムが故障するなどの、重大な事故になるような不具合は何度かありました。

 

今回、有人ミッションで事故が起きてしまいました。ロシア宇宙技術のかげりが、有人宇宙飛行にも侵食し始めたとするむきもあります。

 

 

実は他の国にも影響が

 

今回のソユーズ事故は、他の国にも影響があります。

 

アメリカは現在、宇宙船を保有していないので、国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送るのには意外にもソユーズに依存している状態なんだそうです。

 

また、ヨーロッパや日本の宇宙飛行士も、アメリカが購入したソユーズの座席を使うため、依存状態なのです。

 

このため、ソユーズ打ち上げが再開しないと、新たい宇宙飛行士を国際宇宙ステーション運ぶことが出来ないのです。

 

さらに、今のISSには宇宙飛行士が3人滞在してますが、滞在期間も制限があるために、来年の2019年の1月に帰還しなければならないのです。それまでにソユーズ打ち上げが再開されなければ、無人で国際宇宙ステーションを運用しなければならなくなるのです。

 

 

また事故を起こさないように、このような事故の原因・背景を完全に洗い出して、後継者育成・厳しい品質管理という改善をしていってもらいたいですね。

 

 

あの「テトリス」にも出てくるソユーズ!

 

ロシアのソユーズ打ち上げ失敗事故についてでした。

ニュースでも話題になったのでご存知の方も多いでしょう。

 

ところで、あの「テトリス」で10万点以上になるとソユーズの発射アニメが見られるというのはご存知でしょうか?テトリスはロシア製ですからね!

 

写真引用元:ロシアのソユーズMS-10 wikipedia

 

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