探査機

JAXAとESAの「ベピ・コロンボ」の役割は?7年かけて水星を目指す!





ベピ・コロンボ

 

10月20日、日本とヨーロッパが共同で進めている水星探査プロジェクトによる探査機「みお」が打ち上げられ、世界で話題となりました。

なんと、「みお」は7年もかけて水星を目指すそうです。今回はこの水星探査プロジェクトや探査機「みお」についてご紹介します。

プロジェクト「ベピ・コロンボ」とは

 

日本のJAXA、宇宙航空研究開発機構と、ヨーロッパのESA、欧州宇宙機関が共同で進めているプロジェクトが「ベピ・コロンボ」です。

 

この名前は、水星の自転・公転の共鳴を発見したイタリアの天文学者ジュゼッペ・コロンボからつけられています。

その探査機である「みお」は今年2018年10月20日、日本時間で午前10時45分に、南米フランス領ギアナにある宇宙センターから打ち上げられました。

 

ベピ・コロンボは当初、2010年にアリアン5ロケットで「水星磁気圏探査機 (MMO)」「水星表面探査機 (MPO)」「水星着陸機 (MSE)」の3機で打ち上げることを計画していましたが、計画が見直され水星着陸機はキャンセルされました。

 

予算の問題でロケットもギアナ宇宙センターで打ち上げるロシアのソユーズロケットを使う方針でしたが、その後ベピ・コロンボは重さが増加したためにアリアン5による打ち上げに変更しました。

 

「みお」はヨーロッパの探査機「MPO」と合体したまま、共に7年の歳月をかけて約90億キロというとんでもない距離を旅して、謎に包まれている惑星の水星に向かいます。

 

開発費の総額は日本のJAXAは約160億円、ヨーロッパのESAは1千億円以上という、大きなプロジェクトです。

 

責任者を務めるJAXAのプロジェクトサイエンティスト村上豪氏は「ほっとしているがまだスタート地点なので、今後に向けて準備する。太陽風がどのような影響を惑星に与えるかを調べたい」と語りました。

 

この2機は今から7年後の2025年12月に水星にたどり着き、その後約1年にわたり、「みお」は高高度で磁場・大気を観測、「MPO」は低高度から磁場や地形・地表の成分を調査する予定です。

 

水星という惑星は後損の通り太陽に最も近い惑星で、地球〜太陽の約3分の1という距離を周回しています。

 

昼は表面温度が約430度になりますが、夜は零下約170度という極端な温度差を持つ惑星です。水星に磁場はありますが、詳細は不明のため今回の調査が計画されています。

 

地球から比較的近いのになぜ7年?

 

水星は、これまで宇宙計画の主な対象にはならなかった惑星です。

 

太陽に近く自転がとても遅いので、上記のように温度差が極めて激しく。水星をテラフォーミングして極付近に住むという可能性が議論されたものの、それは遠い未来のことであり、あの火星・金星のテラフォーミング計画より実現性が低いとされています。ということで、

 

水星観測をしたマリナー10号より以前では、水星は太陽の軌道離心率の大きな軌道を周回しているものとされていました。しかしマリナー10号は、これらの推測と矛盾したデータを提供しました。

 

水星を研究のミッションが少ない理由は、探査機が水星に近づくことが非常に難しいためです。

 

太陽から近いということは、地球からも他の惑星よりは近いので、探査もほかの遠い惑星よりは比較的やりやすいのかも?と素人目には感じますよね?

 

しかしこれはまったく間違いなのです。

 

なぜかというと、当然水星に行くには太陽にも近づかなければならないので、太陽の重力で探査機がスピードを上げてしまうことや、水星の重力は小さいので、近づくだけだと周回軌道に乗れずに通り過ぎてしまうなどの原因があるからです。

 

水星に着くための「減速エネルギー」というものがとても大きく、また、水星の周回軌道は太陽付近のため不安定となっていて、軌道を維持するためのエネルギーも必要です。太陽の熱も当然高いため、荷電粒子・放射線・熱などの対策も重要になります。

 

さらに、水星は大気がほとんどないため、着陸する探査機は、「空力ブレーキ」や「パラシュート」を使うことができず、着陸ミッションではさらに燃料が必要になるということもあります。

 

ほかの惑星に比べて地球から近い距離にある水星なのに、なぜ7年もの歳月が必要になるのでしょうか。

 

地球〜水星の距離は最接近では約0.5天文単位で、最も遠いときは約1.5天文単位であり、地球から木星までの距離は最短でも約4天文単位ということからみても、それほど遠い距離ではないですよね。

 

なぜ到着まで7年もかかるのかといえば、要因は「スイングバイをする回数の多さ」にあります。

 

探査機のスイングバイでは惑星に近づくためにタイミングを待つ必要があり、太陽を何周もすることもあるからです。

 

つまり、地球から距離が遠いので7年かかるわけではなくて、スイングバイの待ち時間のために7年という期間が必要になるのです。

 

 

21年という期間の末に打ち上げられた「みお」

 

日本で水星探査が計画されたのが1997年なので、21年という期間を経て「みお」は水星へ行くことになります。

 

JAXAの探査機プロジェクトで開発期間が10年以上というのも最長で、開発に携わった人たちの想いが注がれていることがわかるでしょう。

 

また、宇宙科学研究所として初の大規模国際ミッションで、地球の磁気圏探査などの日本が得意とする観測技術が多く盛り込まれています。メイドインジャパンの技術力を証明するため、関係者の強い意気込みが「みお」に込められています。

 

「みお」という名前は公募からつけられた、河川・海で船の航跡という意味です。

 

探査機の道のりを示し、航海安全の祈りも込められています。古くから船の航行の目印になる標識は澪標(みおつくし)といわれていて、和歌で「身を尽くし」という掛詞であることから、努力・挑戦をするプロジェクトメンバーを表しているのでしょう。

 

 

7年後の世界を想像できますか?

 

水星探査プロジェクトの「ベピ・コロンボ」と、日本の水星探査機「みお」についてでした。

7年という歳月をかけて水星に向かうのがすごいですね。

 

今この瞬間も、宇宙では「みお」が水星に向かっているということを考えると、不思議な感じがしますね。

 

今から7年後、世界はどうなっているんでしょうか?

写真引用元:ベピ・コロンボ wikipedia

 




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気になる宇宙分野:宇宙全般ですが、特に太陽系外の宇宙に興味があります。

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