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「MMX」とは?JAXAが計画しているという火星衛星探査計画MMX

パーサヴィアランス wikipedia

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火星を探査するミッションといえば、先日火星探査機「パーサヴィアランス」が火星に無事に着陸し、表面の画像を地球に送信したというニュースもありました。では、ほかにはどんな火星探査計画があるんでしょうか。

 

火星衛星探査計画 (MMX、Martian Moons eXploration) wikipedia

火星衛星探査計画 (MMX、Martian Moons eXploration) wikipedia

 

実は日本のJAXAも火星探査を計画していて、それは「火星衛星探査計画」、英語に略して「MMX」というものです。今回はこの火星衛星探査計画「MMX」について紹介します。

 

火星衛星探査計画とは?

 

火星探査といえば先日も火星探査機「パーシビアランス」を無事火星に着陸させたNASAがおなじみですが、日本のJAXAも火星探査の計画をたてています。

 

その名は「火星衛星探査計画」、英語では「Martian Moons eXploration」ということになり、これを略して「MMX」とも呼ばれます。火星衛星探査計画は日本の宇宙航空研究開発機構JAXAが主導している、数か国による国際共同深宇宙探査計画です。

 

2024年に打ち上げを予定していて、打ち上げには日本の「H3ロケット」を使い、総開発費は464億円となるそうです。H3ロケットはJAXAと三菱重工が開発している使い捨ての液体燃料ロケットです。

 

 

火星衛星探査計画にはどんな目的がある?

 

JAXAが主導する火星衛星探査計画にはどのような目的があるのでしょうか。まず学術的な目的です。火星の衛星は、小惑星が火星の引力につかまってできた「捕獲説」と、巨大な隕石が火星に落ちたことで、破片が飛び散り、その集合によってできたとされる「巨大衝突説」という、2つの起源説があります。

 

火星衛星探査計画は、この火星の衛星の起源を明らかにすることが目的となっています。これにより、火星や地球型惑星が形成する過程に新しい見解を得ることを目指します。また、火星の衛星などの火星圏の進化についての情報も得ることも目的です。

 

人類初となる、火星圏からのサンプルリターンというのも、目的のひとつです。さらに工学についても、宇宙探査技術の獲得、火星圏に向かうための技術の獲得、火星に滞在するための技術や物質をサンプリングするための技術、通信技術などの獲得も目指します。

 

 

火星衛星探査計画の予定

 

ここで火星衛星探査計画の予定を紹介します。2024年9月にH3ロケットを打上げて、それからほぼ一年後の翌年2025年8月に火星の周回軌道に投入します。それから調査を開始して、約5年後の2029年9月に地球へ帰還するという計画です。

 

探査機は火星周回軌道に入ったのち、フォボスを周回するQSOに移って、搭載されている機器でフォボスのリモート観測をします。のちに、1回か2回、探査機の「脚」で着陸、フォボスの表層の砂「レゴリス」を採取する予定です。

 

このサンプリングで10g以上のサンプル採集をすることを目指しています。これは、ロボットアームにコアラー機構を合わせて行います。ニューマティックサンプラーも搭載され、サンプル取得をします。サンプルを取得した後、地球帰還の前に同じく火星の衛星「ダイモス」をフライバイ観測する計画もあります。

 

 

サンプルには微生物の死骸もある!?

 

MMXのサンプル採集はフォボスの地表深さ10cm程から、質量で10g程と計画されていて、このなかに、微生物の「死骸」が見つかる可能性もあるとされています。今回の計画は、世界に先駆け火星のサンプルを得ることができる千載一遇の機会だそうです。

 

小惑星探査機「はやぶさ2」のサンプルは、無機化学・有機化学・ガス分析を行ないましたが、MMXでも同じくこの分析を行い、衛星の起源や水・有機物の輸送の過程も調べます。火星生命の痕跡については、JAXAは微小の火星粒子から生命の痕跡を得るために分析技術の開発を進めています。

 

生命体は多くの有機分子でできていて、なかでも特徴的なものを「バイオマーカー」といいます。これらを構成している元素の同位体比は、非生物的にできたものとは違うことが知られています。さらに、火星には非生物的にできたとされる有機物もあります、これらも火星の化学進化を理解するとき重要な知見になります。

 

生命の痕跡、化学進化の歴史をもつのは水質変性鉱物のため、まず有機物濃集があるか光学的な手法等で調べます。有機物濃集部があれば、化学組成・空間分布・安定同位体比など、局所分析して詳細に調べていきます。

 

火星の粒子に含まれている有機物の情報は、火星生命の存在だけでなく、火星のハビタビリティ(生命居住可能性)を知る上で重要なポイントになります。火星圏からサンプルリターンをする予定のMMXは、火星生命探査のフロンティアといえます。得られた科学的成果は、後への重要な橋渡しになるので、MMXは火星生命探査で重要なプロジェクトといえるでしょう。

 

 

ほかの国も国際協力しています

宇宙服 f

 

火星衛星探査計画はJAXAが主導する計画ですが、ほかの国も参加しています。それらは

 

NASA・アメリカ

DLR・ドイツ

CNES・フランス

ESA・ヨーロッパ

 

などです。これはそうそうたるという感じですね。これらの国の機関は国際協力という形でこの計画に物資を提供しています。

 

 

火星で生命の痕跡もみつかるかも?

 

日本のJAXAが主導する火星衛星探査計画、「MMX」についてでした。2024年9月打上げ予定ということで、かなり迫ってきましたね、火星の衛星を探査することで、火星圏の新しい知見を獲得するというプロジェクトということです。

 

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