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NASAの「インサイト」ってどんな探査機?火星の地震観測などのミッションを紹介

2018年12月22日

インサイト(想像図) wikipedia

画 :インサイト(想像図) wikipedia

 

先月11月に火星に到着したのがNASAの探査機「インサイト」です。

インサイトはどのような火星の探査を行うのでしょうか?

 

インサイトとは?

インサイトの観測イメージ wikipedia

画 : インサイトの観測イメージ wikipedia

 

「インサイト」は、アメリカ航空宇宙局・NASAの火星探査機です。今年2018年の5月5日に打ち上げられて、11月26日に火星の「エリシウム平原」に着陸したことがニュースになりました。

 

インサイトは、火星初期の地質学的な進化を探るために、火星の地表面に地震計・熱伝達プローブを備えている「ランダー」を降ろすミッションがあります。このミッションによって、水星・金星・地球・火星・月等、地球型惑星の新しい知識を得ることが期待されています。

 

特徴的なのが、2008年に火星に着陸してその探査に成功した「フェニックス」の技術を使うことで、コスト/リスクを低くしていることです。

 

「インサイト」という名前は直訳の「洞察力」や「見識」という意味ではなく、

 

実は、

Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport

という言葉の略語なのです。

 

約8億2800万ドル、日本円にすると約940億円を費やしたミッションの主な目的は、

 

・火星の温度を測定

・火星の中心部の鉄の核のサイズの測定

・火星の地震観測

 

という3つで、NASAの科学者はこれを「火星の検診」と語っています。

 

時速約2万キロから時速約8キロまで減速

 

2018年の5月5日にカリフォルニアから打ち上げられたインサイトは、7カ月の宇宙旅行の末、11月26日に火星に着陸しました。

 

その内最も困難だったのが、火星に着陸するまでの最後の数分間です。

なぜなら、時速約2万キロから時速約8キロまでという膨大なスピードの減速を、わずか7分で行わなければならないからです。

 

インサイトはパラシュート・スラスターを使い減速を行い、探査機の「脚」も衝撃を吸収しました。

 

そして火星のエリシウム平原に無事着陸しましたが、ここは火星の赤道付近で平原というだけに比較的に平坦な場所です。

そのため、このインサイトのチームではこの平原を「火星で最大の駐車場」と呼んでいます。

 

ここに着陸したインサイトは、これから搭載された科学測定器を数カ月点検してから探査の準備を開始、運用は約2年が予定されています。

 

長さ約6メートルのインサイトは、普通の探査車と違い動き回るわけではなく無人研究所という役割になります。

 

これまでの火星探査機は、火星の表面の調査が主なミッションでした。

関係者は、今回のミッションで岩石系惑星の起源を明らかにする手がかりが得られるかもしれないと語ります。

 

「無人研究所」のインサイトには、データ収集に使う観測機器をたくさん搭載しています。

 

NASAによれば、これらの機器を火星の表面に慎重に設置していくということです。

 

最大約5メートルの地中の深さまで、「The Heat Flow and Physical Properties Probe」と呼ばれる温度測定のための探針を入れますが、この作業に約2カ月もかかるそうです。これは、予定された深さを目指して、2万回から3万回という打ち込み作業をするからです。

 

この熱探針は、火星地下の温度を測り、火星誕生時の温度を研究する手がかりになります。

 

これまでの探査機の計測器でもっとも長く、火星内部から地表に逃げていく熱を測り、熱の発生源、内部成分を知ることができます。

 

「Rotation and Interior Structure Experiment」という測定器は、火星の北極点の「極運動」の度合いを調べます。データから、火星中心部にある鉄の核のサイズや、ほかにどのようなな成分があるのかを調べる手がかりになります。

 

 

火星にも地震がある?

 

主な目的の3つめ「火星の地震観測」というのが気になりますよね。

 

地震は地球だけにある現象なんでしょうか?

 

火星には火星の地震「火震」があるのではないかとされていますが、この火震、地球の地震より謎が多いようです。

 

地球の地震はプレートの地殻が移動することで起きますが、火震は火山活動や火星地殻にできるヒビや隕石というような、地球と違う種類の地殻の活動から発生すると考えられています。

 

そこで、NASAの科学者はインサイトで数十回の火震を観測することを目論んでいます。

 

NASAでは1970年代の後半に探査機バイキングで一度だけ火震の観測をしていますが、その観測機器は探査機上部にあったため、風で揺れることが多くありました。これでは、やはり正確な測定はむずかしいでしょう。

 

インサイトでは約2メートルのロボットアームを使い、火震探知機や熱探針を火星の表面に置きます。

 

火星の脈を測るドーム型の地震計は地表に置かれ、火震や隕石の衝突などの振動を検知します。風・温度・気圧・磁場を知らべるセンサーもあり、これで砂嵐等の火星の現象によって起きる振動と区別して調べることができます。

 

振動は、地層の密度・成分に影響されるので、地震計が測定する振動は多くの情報があります。

 

データから火星の内部を構成している物質や地下の火山活動、水の存在についても調べられるかもしれません。

 

 

インサイトが火星を探査

 

今年11月に火星に着陸したNASAの探査機「インサイト」についてでした。

こうしている間にも、遠い火星でインサイトが火星を調べているんですね。

夜空に肉眼で見えるオレンジ色の火星見ながら、「インサイトがあそこにいる!」と考えると面白いです。

 

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