探査機

カッシーニ探査機の間近に迫った注目のラストミッション!

2017年9月5日

 

カッシーニという探査機があります。これはアメリカとヨーロッパが共同で行っている土星探査のための探査機です。このカッシーニは、間近にせまった9月9日〜15日、ラストミッション「Grand Finale」を行い、20年間に及ぶ長旅を終了させます。今回はそんなカッシーニ探索機について、概要や成果、注目の最後のミッションなどについて紹介します。

(画;土星に接近するカッシーニの想像図 wikipedia)

 

カッシーニ探査機の概要

 

カッシーニとは、アメリカのNASAとヨーロッパのESAが開発した、土星の探査機です。カッシーニという名前は、17世紀イタリアの天文学者で、土星の衛星を4つ発見したり、惑星観測で功績を残したジョヴァンニ・カッシーニからつけられています。カッシーニにはさらに惑星探査機である「ホイヘンス・プローブ」が積まれていて、これによって大気の成分・気温・気圧・風速などを観測しています。土星探査「カッシーニ・ホイヘンス・ミッション」には、アメリカとヨーロッパ、18カ国の科学者が約260人が参画しています。カッシーニは高さが6.8 m、幅が約4 m、重さは5.8 t、動力は原子力電池が3基というスペックで、CCD撮像カメラ・可視光線/赤外線マッピング分光計・宇宙塵分析器・電波/プラズマ波測定器・プラズマ分光計などのたくさんの機器が搭載されています。

 

総費用は約34億ドルという、史上最大の予算で作られた土星探査機となっています。ここで注目したいのは、動力が太陽電池ではなく、事故が起こった場合に放射能汚染が起きる可能性がある原子力電池を使用していることです。そのため、打ち上げ時にはメディアなどでも関心が集まりました。NASAによると、土星の近くは太陽光が弱いため、プルトニウムを電力にしなければならなかったと説明しています。

 

カッシーニの上げた成果

 

土星探査機であるカッシーニは、1997年の10月15日に打ち上げられて、2004年の7月1日に土星に到着しました。カッシーニの上げた成果についてですが、土星のリングについての観測を行い、土星のリングは実は数ミリ〜数メートルほどの岩石や氷の粒の集合体であり、それらの波模様等の構造を観測したり、土星のリングと衛星が相互に作用しているということを確認しました。さらに、土星の衛星も多く発見して、その様子も観測しています。たとえば、衛星タイタンが地球に似て雨・川・湖・海がある衛星であることを発見したり、衛星エンケラドゥスから氷の粒水蒸気が間欠泉のようにして吹き出す様子も観測しています。他には、太陽系最大の火山とされる火星のオリンポス山に匹敵するような、巨大な屋根がある衛星イアペトゥスなども発見しています。

 

いよいよ間近に迫った「Grand Finale」

 

さて、20年前の1997年に打ち上げられ、2004年に土星に到着したカッシーニは、今年2017年に最後の探査を実施します。最後の探査は「Grand Finale」というミッション名で、5回にわたる観測を今年の4月22日〜9月15日まで、土星の構成について新しい情報を得ることを目的として行っています。まず最初に、土星の雲の上部1600キロをかすめ、大気の上層部分のガスを採取しました。以降は、これまで見てきたように多くの成果を上げています。ESAでカッシーニ計画の科学者であるアルトベッリ氏は、土星は太陽から吸収するより以上のエネルギーを発散し、重力エネルギーをいくらか失っているので、上層部にある水素・ヘリウムの構成を計測できれば、土星内部における全体の構成を知るための手がかりになると語っています。

 

カッシーニは大気に触れることによって推進力が落ちるので、高度の維持のためにエンジンを使うかもしれないとされています。しかし、担当科学者は接触の影響への対応については可能で、予定されている5回の接触において、より深く大気に触れられる可能性があると考えています。カッシーニはミッションを終えると、最後は土星の大気圏に突入する予定となっています。

 

そのひとつ前、いよいよ間近に迫った9月9日から行われる接近観測では、軌道変更のため衛星タイタンをかすめることになりますが、管制チームではこのタイタンへの接近について「お別れのキス」と呼ぶことにしたそうです。真の「Grand Finale」が9月15日です。この日、カッシーニは持っている7つのセンサーをフル稼働させ、リアルタイムに地球へデータ送信をしながら土星に突入します。大気密度はラストの5回で経験した際の約2倍になると考えられています。アンテナを地球に向けるためのスラスターが姿勢維持できなくなった時に、地球と交信を途絶して、その役割を終えます。機体は落下を続け、重力崩壊しながら燃え尽きることになるそうです。その時、NASA・ESA・イタリア宇宙局が20年という歳月に渡ってサポートしてきた長旅が終わることになります。

 

ニュースなどにも注目してみましょう

 

史上最大の予算で作られた、土星探査機カッシーニについてご紹介しました。今年最後の任務を終えるカッシーニは、燃料が尽きて土星に突入しますが、その最後の瞬間まで地球に映像を送り続けます。9月9日〜15日といえばもうすぐなので、ニュースなどにも注目ですね!最後に、ここでちょっとしたカッシーニの豆知識を紹介します。カッシーニには、世界81の国の市民61万人のサインが記録してあるディスクがつめ込まれているそうです。これは土星旅行の夢としてNASAが集めたサインで、なんとこの中にはカッシーニの子孫の方のサインもあるそうです。なんとも夢のある話ですね。

画像引用元:wikipedia カッシーニ探査機

 

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