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【はやぶさ2の技術】小惑星のわずか3メートルの位置に到着!

2019年5月6日

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

 

JAXAの「はやぶさ2」が先日小惑星リュウグウに到達したということが話題になりましたが、この到達する方法が前人未到の領域だったのです。

 

地球からリュウグウまでは2億8千万kmという距離にあり、このリュウグウのなんと地表わずか3メートルの地点に着地させるという、とんでもなく精密なミッションを成功させました!

 

今回は、この「はやぶさ2」の驚異的にな技術についてみていきましょう。

 

初代「はやぶさ」からの変更点

 

「はやぶさ2」とは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機です。これは同じ小惑星探査機「はやぶさ」の後継機で、初代の「はやぶさ」が小惑星の往復に挑戦した実験機だとすれば、「はやぶさ2」はその先の惑星の探査という成果を目指す実用機になるでしょう。

 

基本的な設計は「はやぶさ」とおなじですが、当然改良された部分もあります。初代「はやぶさ」の運行中に起きたトラブルの対策として多くの変更がありました。まずパラボナアンテナを高利得平面アンテナのスロットアレイアンテナに変更し、制御装置リアクションホイールなどが改良、イオンエンジンも推力を向上しました。

 

リュウグウ着陸への運用チームの検討

 

「はやぶさ2」の小惑星「リュウグウ」への着陸は、表面の岩塊が非常に多いので、安全な候補地を運用チームが入念に検討していました。高い精度の着陸を成功させるため、±50mの精度という、普通の場合は気にしない項目まで細かく検討して、着陸する地点・方法を探したのです。

 

まずリュウグウの形状モデルから、大要の角度・表面角度・地形のデコボコ等を評価した安全度のスコアを作成し、安全度が高い低緯度を「L」、中緯度を「M」として、いつくかの候補を選びました。

 

次に、リュウグウの画像から候補地点が平坦かデコボコしているかどうかなどを調べ、7ヶ所の候補を決めました。この7ヶ所の候補から、タッチダウンの条件である

 

・表面の角度が平均30度以内

・直径100mくらいの平坦な部分がある

・緯度が±30度程の範囲

・岩塊が高さ50cm以下

・表面温度が97℃以下

 

を検討しました。ここからさらに、候補の中の一番岩塊が少ない場所が選ばれました。そして、リュウグウの赤道部分「L08-B1」「L08-E1」という、2つの場所に絞られました。最終的に、着陸場所はリハーサルで試したターゲットのマーカーに近い、岩が少な目な「L08-E1」と決まりました。

 

この地点の中の目標着陸地点はなんと直径3mほどで、これは「はやぶさ2」の太陽電池パネルの幅の約半分の大きさというから、とんでもない挑戦ですね。

 

 

「ピンポイントタッチダウン」とは?

 

このような場所に正確に着陸するために、はやぶさ2では「ピンポイントタッチダウン」という誘導方法を使いました。「ピンポイントタッチダウン」とは、リュウグウの表面に投下したターゲットマーカーを、カメラ視野内に捕え続け、そのマーカーから距離を割り出して着陸するという方法です。

 

最初は降下中にターゲットマーカーを投げて、そのターゲットマーカーをカメラの中心にとらえながらマーカー真上に着陸させるという方法の予定でした。これは初代の「はやぶさ」と同じ誘導方法ですが、これだと誘導する精度がターゲットマーカーの投下した精度で決まるため、今回のように数mという誘導精度を可能にすることは難しいため、この「ピンポイントタッチダウン」が採用されました。

 

着陸する約50分前から着地した後約7分まで、機体姿勢を地形に合わせるため高利得アンテナは使えないため、探査機の状態・画像等は受信できません。ただ、探査機の速度が変化すると電波がドップラー効果によって変わるので、探査機が停止した様子はわかります。

 

タッチダウンした後、上昇して高利得アンテナを地球に向け、成否を確認しました。宇宙航空研究開発機構・JAXAは今年2月22日、「はやぶさ2」が地球から約3億キロメートルも離れた場所にある小惑星「リュウグウ」に、この日の午前7時29分に着陸したという発表をしました。

 

岩だらけのリュウグウの地表、半径わずかに3メートルという場所を狙い着地するという、極めて高精度の着陸を成功させ、日本の技術力を証明して小惑星探査において世界を驚かせました。

 

 

はやぶさ2に世界が驚いた

 

小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の半径3メートルに狙って着陸したという、脅威の技術力についてでした。

 

「はやぶさ2」の最大の目的はもちろんリュウグウのサンプルリターンですが、月・火星・その先の天体へ向かうための技術力を世界にアピールするという思惑もあるようです。約3億キロメートルという、はるか遠い小惑星に3メートルという非常に狭い場所にピンポイントで降りたという世界でも例を見ない実績は、当然強みになるでしょう。

 

あのNASAも「アメリカ版はやぶさ」と言われる小惑星探査機の「オシリス・レックス」を小惑星ベンヌ周辺に到着させました。あのNASAも、うかうかしてられないと思っているのかもしれませんね。

 

 

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