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探査機の「はやぶさ2」が小惑星に弾丸を打ち込む?

2019年5月5日

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

小惑星探査機「はやぶさ2」 wikipedia

 

先日、日本のJAXAの「はやぶさ 2」が小惑星リュウグウに到達したことがニュースとなりました。はやぶさ2の最大の目的が、このリュウグウのサンプルリターンです。

 

そのために、「リュウグウに弾丸を撃ち込む」という方法でサンプルを回収するそうです。そしてつい先日、はやぶさがリュウグウに弾丸を撃ち込むことに成功したという報告がありました!

 

普通は「惑星に弾丸?」という感じですよね?いったいどのようなことなんでしょうか。ここで詳しく見ていきましょう。

 

衝突装置の「SCI」とは?

H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ wikipedia

H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ wikipedia

 

2014年12月に種子島宇宙センターの発射場から「H-IIAロケット26号機」で打ち上がった「はやぶさ2」が、2019年2月に小惑星「リュウグウ」の着陸に成功しました。

 

「リュウグウ」は地球から2億8千万kmという距離にある地球近傍小惑星で、はやぶさ2はこのリュウグウのわずか数メートルの位置に着陸させるという、前人未到の挑戦に成功しました。

 

はやぶさ「2」というくらいなので、当然ながら初代の「はやぶさ」という探査機もありました。初代「はやぶさ」は、小惑星イトカワに到着・調査して、地球重力圏外天体のサンプルリターンに成功しました。はやぶさ2の目的も、リュウグウのサンプルを地球に持ち帰ることです。

 

その方法として、「弾丸をリュウグウに撃ち込む」というものがあります。「はやぶさ2」が初代「はやぶさ」と大きく違う点が、この弾丸のような衝突装置です。これは、小惑星の表面だけでなく、小惑星内の砂礫採取をする衝突装置の「SCI(Small Carry-on Impactor) 」です。

 

SCIには「成形炸薬」が内蔵されていて、探査機の本体から切り離されて探査機が小惑星に避難するまでの約40分後に爆発します。重さ2kgの純銅製衝突体を、爆圧で変形させながら目標の天体に打ち込んで、「クレーター」を作ります。このクレーターとその周辺のサンプルを採取して、小惑星内部を調べることができます。

 

SCIの質量は18kgで、この爆薬は4.7kgということです。発射時にちぎれることで弾丸として約2kgになります。この弾丸を打ち込むとき、爆薬は探査機を完全に破壊するほどの威力があるため、本体は安全な場所に退避します。

 

また、この様子を収めるために「DCAM3」という分離カメラを装備しています。

 

生命誕生の手がかりになるかも?

宇宙と生命 f

 

しかし、地球からはるか彼方の小惑星でこのような作業をするというから大変ですね。このミッションを成功させるためには、衝突体を上手に分離させる必要があり、ここがもっとも難しいとされています。

 

なぜ、このようなアクロバティックな方法でリュウグウにアナを開けなければならないのかというと、リュウグウの表面がいろいろな影響によって汚染されている可能性があるためです。そこで、内部の地下にある純粋な物質が観察できれば、宇宙についての知識がさらに得られると考えられています。

 

リュウグウは地球に似ているために水や有機物もあるかもしれないとされているので、生命が誕生した謎についての手がかりが見つかるかもしれません。

 

 

弾丸を打ち込むのは一発勝負

 

さらに、この弾丸を打ち込むのは一発勝負なので、失敗したらそれまでという大変なものでした。しかし、探査機「はやぶさ2」は今年4月5日、「リュウグウ」に弾丸を打ち込むことに成功しました。これはもちろん世界初で、地下にある物質の採取に向け前進しました。

 

5日午前にはやぶさ2はリュウグウの高度約500メートルに降下し、弾丸を撃つ衝突装置を分離させ、退避した後に装置を爆発させ銅製の弾丸を発射、リュウグウの地表に衝突させました。

 

上記の「DCAM3」が様子を撮影していて、この様子からJAXAは成功したと判断していますが、クレーターができたかは不明で、近く上空から観測するそうです。

 

プロジェクトマネージャの津田雄一さんは「探査の新手法を確立し、興奮している。これ以上はない成功」と話しました。リュウグウの退避も成功して、機体も無事でした。近く衝突した付近に着地して、クレーターによってできた地下の物質を目指します。

 

はやぶさ2は今年の末にリュウグウから離れ、来年の末に地球にもどってくる予定となっています。今年2月の着地によってはやぶさ2が採取した物質や、初代のはやぶさが持ち帰った微粒子は地表にあったもののために、宇宙線等を浴びてかたちが変質していました。一方今回の地下の物質は、約46億年前という、初期の太陽系の状態のままであり、採取が成功すれば貴重な試料になるでしょう。

 

 

クレーターはできたでしょうか?

 

はやぶさ2がリュウグウに弾丸を撃ち込むことに成功したことについてでした。クレーターがあるかどうか近頃判明するということで、続報を待ちましょう!

 

 

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