宇宙雑学

スペースシップツーとはどんな宇宙船?悲劇の歴史を乗り越えた民間宇宙飛行サービス

2019年2月3日

スペースシップツー / wikipedia 引用

スペースシップツー
/ wikipedia 引用

 

最近は民間の宇宙開発企業スペースXなどが注目を集めていて、にわかに宇宙開発華やかりし時代となってきました。

そんななかで、あのヴァージン・キャデラック社も宇宙開発に参入し、「スペースシップツー」というスペースプレーンを開発中です。

「スペース シップ ツー」とは、どういったものなのでしょうか?

 

民間人の宇宙飛行サービスのために

 

 

「スペースシップツー」とは、現在開発中の宇宙旅行者のためのスペースプレーンです。

 

普通の宇宙ロケットといえばスペースXの「ファルコン ヘビー」のような形状を思い浮かべますが、「スペース シップ ツー」はスペースプレーンのため、通常の飛行機のような形状をしています。

 

カリフォルニア州モハーヴェのモハーヴェ宇宙港にある航空機と宇宙機のメーカー「スケールド・コンポジッツ」と、型破りな社長でおなじみのリチャード・ブランソンのヴァージン・グループによる共同ベンチャーである「スペースシップ・カンパニー」によって、「Tier 1b」というプログラムのひとつとして開発されています。

 

機体は

 

翼幅・8.23 m、

全長・18.29 m、

尾翼高・4.57 m

 

という大きさになっています。

 

2004年に創立された宇宙航空会社「ヴァージン・ギャラクティック」は、民間人の宇宙飛行サービスを実現するため、このスペース シップ ツーを5機ほど運用する予定だといわれています。

 

2013年8月にヴァージン・ギャラクティックが明かした情報では、すでに625人が予約をしているそうです。

世界最初の搭乗者100人は「ファウンダー」といわれて、実は日本人もいるそうです。

その日本人の名前は平松庚三・稲波紀明らの3人です。

 

このファウンダー以外でも山崎大地らが同宇宙飛行をする予定となっています。このプランの日本の公式代理店は「クラブツーリズム」です。

 

「スペースシップワン」があった!

 

「スペース シップ ツー」というからには、その前に「スペース シップ ワン」があったということになりますね。

「スペース シップ ワン」は、世界で初の民間宇宙船としてマイクロソフトの創立者のひとりであったポール・アレンが出資してスケールド・コンポジッツが実施した「Tier One」プログラムのひとつとして開発されました。

 

「スペースシップツー」では、その技術を一部しています。

スペースシップツーは、6人の乗客に2人のパイロット、総勢8名を乗せることができます。

 

飛行軌道遠地点は高度約110 kmほどの熱圏内です。これは前機スペースシップワンの目標高度であったカーマン・ラインより10km高いものです。

高度約110 kmということで、一般的に宇宙と考えられている領域を飛行することになります。スペースシップツーの乗客は短い時間ですが、窓から地球の姿や宇宙空間を眺めたり、いわゆる無重力状態で宙に浮くなどの体験を味わえるでしょう。

 

スペースシップツーは、母機「ホワイトナイトツー」から、高度15,200mで発射されて、ハイブリッドロケットによって4,200 km/hという速度になります。

 

飛行機のような形状をしていますが、スペ−スプレーンなので、高度15,200mから母機から発射された後ロケットエンジンを噴射、すぐ急上昇するようにして目標の高度約110 kmまで上空に向かい、その後急降下するようにして地上へ降りるという行程になっています。

 

 

スペースシップツーの飛行試験の歴史

 

スペース シップ ツーの飛行試験の歴史をみていきましょう。

スペース シップ ツーは、2006年に最初に公開され、2007年のロケットエンジンの試験では3人の技術者が犠牲になるという悲劇がありました。

 

2010年の10月、最初の有人飛行が行われ、2011年5月には大気圏再突入モード飛行を行いました。

2013年4月には初のロケットエンジン噴射での飛行試験を行い、16秒の噴射でマッハ1.2を記録、高度16.7kmに到達しました。

 

飛行試験中のスペースシップツー(2010年) / wikipedia 引用

飛行試験中のスペースシップツー(2010年) / wikipedia 引用

 

当初はスペースシップワンと同じハイブリッドロケットエンジンを使っていましたが、このロケットにスペースシップワンも使用していた「HTPB推進剤」を使うと燃焼振動が生じて高度80kmまでしか行けないとされていました。

 

そのため、ロケットエンジンを並行開発ぢていた「ポリイミドベース」の推進剤を使ったハイブリッドロケットに変更しました。

2014年の10月には、カルフォルニアの砂漠で飛行試験中に墜落事故が起こり、パイロットの一人が死亡しました。

 

 

墜落したスペースシップツー(2010年) / wikipedia 引用

墜落したスペースシップツー(2010年) / wikipedia 引用

 

国家運輸安全委員会 (NTSB) の調査ではパイロットの操作ミスではないかとされましたが、後に「訓練不足でフェザー・システムを早い段階で起動したため」と発表しています。

 

報告でフェザーシステムのロックが早期解除される可能性とその危険性について十分に考慮されていなかったことや、完璧な操縦がすこしでもできなければ死につながってしまうという、設計意識のミスが指摘されました。

 

2016年2月には、スペースシップツーの2号機VSSユニティが公開。

この「VSSユニティ」は、先日亡くなったかのスティーヴン・ホーキング博士によって命名されています。

そして2018年12月、初の有人宇宙飛行を成功させています。

 

 

宇宙旅行の気になるお値段は?

 

ヴァージン・ギャラクティックは、スペースシップツーでの宇宙旅行がいつスタートするかについて具体的に明らかにしていませんが、試験が順調に進めば、なんと早くも今年2019年から始まるのではないかとされています。

 

そこで、もっとも気になるのが値段ですよね。

スペースシップツーの宇宙旅行では、1人あたり25万ドル、日本円にすると約2671万円という値段になるそうです。

 

これはつまり、サラリーマンが頑張って購入するマイホームほどの価格ですね!

ということで、すでにお金を持っている俳優・スポーツ選手等が購入していて、世界一周旅行やクルーザーなどと並んで、新しい大金持ちのステータスになるかもしれません。

 

 

地球や宇宙空間を体験できます

 

ヴァージン・ギャラクティックのスペースプレーン、「スペースシップツー」についてでした。

スペースシップツーは本格的に宇宙に行くわけではありませんが、それでも地球の姿や宇宙空間が見えるという体験ができるのが魅力ですね。

しかし、マイホームほどの値段で、というのが問題ですが。

 

今のところ実現しても普通の人にはまだまだできそうもない宇宙旅行ですが、企業が多く参入して競争し、低コスト化と安全性が高まっていくかもしれません。

こうなっていくと、そう遠くない間に、まさに海外に行くように気軽に宇宙に行けるようになるかもしれませんね。

 

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