宇宙に行った地球の生物は人間以外にもいろいろいましたが、このほどNASAが深宇宙に生物を打ち上げるという計画を発表しました。深宇宙に行く生物…どうなるんでしょうね?
今回はこのNASAが深宇宙に生物を打ち上げるという計画について説明します。
生物を深宇宙に打ち上げる計画
NASAはこのほど、2020年に小型宇宙船の「バイオセンチネル(BioSentinel)」で生物を深宇宙に打ち上げるということを発表しました。この「バイオセンチネル」は、ブリーフケースくらいの宇宙船で酵母菌を搭載しています。
これを太陽を回る軌道に乗せて、地球磁気圏の外での放射性についての影響を調べようという計画です。このバイオセンチネルは、「アルテミス1」というミッションで打ち上げられる13のキューブサットの中の1個です。
ミッションは9ヶ月から12ヶ月にわたりデータを集め、DNAの修復できる通常の酵母菌とそうでない突然変異型酵母菌を観察。同様の実験がISS・国際宇宙ステーションでも行われます。
このアルテミス1は、次世代ロケットの「SLS」により実施されます。また、2023年に予定の「アルテミス2」では、「オリオン」宇宙船を使った有人での月周辺飛行ミッションも予定されています。
宇宙に行った生物のおさらい
これまでにも、人間を含めて宇宙に行った生物はたくさんいました。意外にも、宇宙に初めて打ち上げられた生物はあの「ハエ」だったそうです。1947年の2月20日に、生物の宇宙線の影響を調べるためにハエを乗せたV2ロケットがアメリカのホワイトサンズ性能試験場から打ち上げられました。
このハエは無事宇宙から地球に健康体のまま帰還しています。その後、1949年6月にアメリカはアルバート2世というサルも打ち上げましたが、地球に戻るときにパラシュートが故障して残念ながら死亡してしまいました。
人間以外の宇宙に打ち上げられた動物としてもっとも有名なのがやはり「ライカ」でしょう。犬の「ライカ」は1957年11月3日にソ連が打ち上げた「スプートニク2号」に搭乗し、軌道を周回した初めての動物になりました。
アルテミス1計画とは?
では、この「アルテミス1」という計画はどういったものなんでしょうか?今年2019年の5月14日、NASAは「ふたたび有人での月面着陸を2024年までに成功させる」という、アルテミス計画をツイッターで発表しました。
このアルテミス計画では、男女の2人が月面に送られて、これが実現すれば「女性宇宙飛行士として人類初の月面着陸」という記録も達成されます。NASAはアルテミス計画のために、連邦議会に追加予算を申請しています。
この「アルテミス」という言葉は聞いたことがあるでしょう。「アルテミス」とは、ギリシャ神話に出てくる狩猟・貞潔を司る月の女神です。
芸術や芸能の神であるアポロンと双子で、アポロンといえばもちろん1960年代のNASAのアポロ計画の名前にもなっていますね。ここから、人類史上で初の女性の月着陸という計画のためにこのアルテミスという名前がついたのです。
このアルテミス計画を成功させるためには、目標の2024年までに月面に着陸できる宇宙船の設計・製作、新たな宇宙服の制作、関連したプログラム作成等が必要になります。
さらに、NASAは「スペース・ロンチ・システム(SLS)」という新打ち上げシステムを作り、2022年までにこの「SLS」とオリオン(有人ミッション用宇宙船)を使って月周回軌道で有人飛行をする計画です。
このSLSが、アルテミス計画でも使われます。
NASAは2019年3月、連邦議会に210億ドル、日本円で約2兆3000億円の予算を申請しましたが、月に人間を2014年までに送るために、2020年度の予算で新たに16億ドル、日本円で約1800億円の追加予算を申請しました。
内部関係者では、2024年までに月面に人間を送るためには「1年で60億ドル(約6600億円)〜80億ドル(約8800億円)が必要になる」と考えられています。
ツイッターが大好きなトランプ大統領も、2019年の5月14日に「再び我々が宇宙に大手を振って戻るため、NASAの16億ドルの追加予算を許可した」とツイートしています。
どんな生物が深宇宙に行くのでしょうか
NASAの深宇宙に生物を打ち上げるという計画についてでした。月面有人飛行の「アルテミス1」計画の宇宙船のひとつということで、詳細はまだ判明していませんが、深宇宙に生物を向かわせて、その後どうするのか気になりますよね。
また、深宇宙に行くのはどの生物になるのでしょうか。このへんもまだわかってないので、続報を待ちましょう。