宇宙雑学

【宇宙開発競争初期のお話】きっかけはやはり戦争!?

2019年7月4日

スペースX / 引用元 公式サイト

スペースX / 引用元 公式サイト

 

現在ではアメリカの「スペースX」など、民間企業が宇宙開発をするようになっていますが、一昔前は完全に国が主導だったんですね。ということで、ここでは宇宙開発の歴史のなかでも、初期の初期についてみていきましょう。

 

初めはバカにされていたロケット開発

 

ロケットは昔から科学者たちを魅了していましたが、中国ではなんと11世紀からロケットを兵器にしていたそうです。

 

ロバート・ゴダードと彼が開発した最初の液体燃料ロケット wikipedia

ロバート・ゴダードと彼が開発した最初の液体燃料ロケット / 引用元wikipedia

 

19世紀末にはロシアのコンスタンチン・ツィオルコフスキーが初めて液体燃料ロケットの理論化、1926年にアメリカのロバート・ゴダードが液体燃料ロケットを初めて打ち上げましたが、これらは当初多くのところで嘲笑されていました。

 

それが変わったのが、やはり第二次世界大戦でした。1920年代の半ばごろ、ドイツの科学者たちは液体推進燃料で高空・遠距離にまで届くロケットを開発していきます。

 

1932年にはドイツの共和国国防軍が長距離砲ロケットに大きな関心を持つようになり、ロケット科学者のヴェルナー・フォン・ブラウンは苦心の末に第二次大戦でドイツが使うことになる長距離砲撃兵器を完成させました。

 

人類初の宇宙空間に打ち上がった物体は、1942年に打ち上げられたドイツの「A-4ロケット」です。翌年1943年、ドイツはこれをを報復兵器2号「V-2」という名前で大量に生産。

 

射程距離300kmのV-2を数千発も連合国側に打ち込み、多く損害と犠牲者を出しました。

 

第二次大戦が終わりごろになると、ソビエト・イギリス・アメリカの間で、バルト海沿岸にあったドイツのロケット開発施設の研究者と技術の奪い合いが起こりました。このため、多くのドイツ人科学者(ほとんどがナチス党員)がアメリカに移送されます。ドイツ人科学者たちはアメリカでドイツ製のロケットを、アメリカの科学研究・軍事研究等の目的で使うための研究をすることになります。

 

一方、ロシア赤軍はフォン・ブラウン等の研究者が去ったペーネミュンデを占領。多くのV-2実機と研究者を捕らえ、ソ連国内でロケット開発をさせました。しかし、その後のソ連ではドイツの技術を使うことなく、独自の技術研究でロケットを開発していきます。

 

アメリカ 米国 f

 

ソ連とアメリカの冷戦時代になると、宇宙開発はこの戦いでもっとも象徴的な分野になりました。なぜなら、衛星技術はスパイ利用に、宇宙飛行は軍事的潜在能力を世界に広めることが可能だからです。

 

このころは、宇宙旅行のためのロケットが核兵器を乗せるものになったり、大陸間弾道ミサイルになる可能性もありました。このころの宇宙開発には、平和的科学の研究と、軍事的な成果という二つの目的があったのです。当時普通の人にはわからないことでしたが、この分野の技術的に可能という部分に力を入れて投資していたソ連は、アメリカに対して密かに先行していました。

 

世界で初めて打ち上げられたロシアの人工衛星「スプートニク1号」

 

そして1957年10月、ついにソ連は2段式A型ロケットにより世界で初めて人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げました。

 

「スプートニク1号」は地球軌道に入り、このニュースに世界中が驚いてアメリカは衛星の打ち上げを急ぎましたが、この1ヵ月後にソ連は犬の「ライカ」を乗せたスプートニク2号を打ち上げて、その6ヵ月後に重さ1.3tというスプートニク3号を軌道にのせ、実際にアメリカに対して一歩リードしました。

 

ソ連にリードされたアメリカは、海軍の「バンガードロケット」で人工衛星の打ち上げをするものの失敗。アイゼンハワー大統領はフォン・ブラウンのチームに命じ、1958年1月にジュピターCロケットで14kgの人工衛星「エクスプローラ1号」の打ち上げを成功させました。

 

このようにソ連に続いてアメリカも負けじと宇宙に進出、ここから米ソ両国で激しい宇宙開発競争開始されていきます。宇宙開発はアメリカとソ連の競争が中心として展開しましたが、これを支えていたのは上記のドイツの「V2ロケット」を開発したドイツの技術者たちでした。

 

V2開発で電気部分の主任だったグレルトップは、ソ連のセルゲイ・コロリョフにその技術を伝え、ここからスプートニクが誕生しました。V2の中心人物フォン・ブラウンは、上記のようにアメリカの「エクスプローラ1号」の打ち上げに加わっています。アメリカとソ連の国家の威信をかけた宇宙開発競争は、1957年〜1969年という12年間にわたり続いていきました。

 

 

今では民間企業も参加しているホットな分野

 

宇宙開発競争の初期の時代についてでした。やはり、宇宙開発の初期の時代でも、ロケット技術などのために戦争が大きく関わっていましたね。冷戦において宇宙開発競争がアメリカとソ連の両国が主導で行われましたが、今では民間企業もこの分野に入ってきている時代です。

 

 

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