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カプセル型宇宙船「スターライナー」がミッションに失敗。地球へ帰還

2019年12月25日

スターライナー wikipedia

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今年2019年12月20日、アメリカのボーイング社が開発した「CST-100 スターライナー」という有人宇宙船が宇宙へ打ち上げられましたが、不具合によって国際宇宙ステーションへのドッキングができず、アメリカのニューメキシコ州にある試験場に帰還することになりました。今回はこのニュースについてです。

 

CST-100 スターライナーとは?

スターライナー wikipedia

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CST-100 スターライナーとは、アメリカのボーイング社が開発したカプセル型の有人宇宙船です。これは、NASAが行っている「商業乗員輸送開発計画」、CCDevの下に開発され、国際宇宙ステーションに人員を輸送する役割を持っている宇宙船です。

 

NASAはボーイング社にスターライナーの基礎設計の料金として1800万ドルを払い、2011年のCCDev-2契約では9300万ドルという契約を受注しました。寸法は未発表ですが、外観がカプセル形なのが特徴で、低軌道輸送に限定した使用のために、地球外軌道に飛行できるような装置はもっていません。

 

スターライナーは最大で7人を乗せる事が可能で、低軌道仕様の生命維持装置が小型のために室内空間は広くなりました。軌道上には最大で210日間滞在できて、最大で10回再使用できるとされています。当面はアトラスVで打上げですが、それ以外にも「デルタIV」「ファルコン9」など、様々なロケットに適合するように設計されています。

 

国際宇宙ステーションにドッキング失敗の原因は?

 

2019年12月20日、スターライナーがフロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地からアトラスVに搭載されて打ち上げられました。しかし、ロケットから分離までは成功しましたが、エンジン噴射の時刻が予定と違ってしまったため、推進剤を使いすぎてしまい、国際宇宙ステーションにドッキングすることができなくなり、地球に帰還することになりました。

 

その原因になったのは「ミッション経過時間タイマー」という時計です。エンジン噴射をする時間が決まっていて、このタイマーの経過時間をもとにしてスタートする予定でしたが、このタイマーの時間がズレていたために、計画とは違う時間にエンジン噴射をスタートしてしまったようです。

 

ちなみに、地上からエンジン噴射を開始することもできましたが、スターライナーのアンテナの関係で通信ができなかったそうです。この詳細な原因解明は、現在も続けられています。今回は初の無人飛行テストということで、NASAのブライデンスタイン長官は記者会見で「飛行士が乗っていれば起こらなかった問題」と述べています。

 

スターライナーは、国際宇宙ステーションにドッキングするという目標は達成できませんでしたが、軌道上での姿勢制御・太陽電池パネルからの充電といった目標は達成しているそうです。この後、スターライナーはニューメキシコ州・ホワイトサンズミサイル試験場にパラシュートで直接帰還します。

 

スターライナーは予定では21日に国際宇宙ステーションにドッキングし、28日には地球へ帰還する予定でした。この失敗のため、2020年に計画されていた有人飛行は大きく遅れるかもしれません。アメリカは、2011年にスペースシャトルが役目を終えた以来、国際宇宙ステーションの人員輸送をロシア宇宙船に頼ってきました。

 

NASAはアメリカの有人宇宙飛行を復活させるため、開発を民間企業のボーイング社と宇宙ベンチャーで成功した企業の先駆けであるスペースXに委託していて、スペースX社の「クルードラゴン」は2019年3月に無人飛行を成功させましたが、その後地上での試験中に爆発事故が起こり、開発が遅れている状況です。

 

宇宙のミッションはわずかなズレも許されない

 

アメリカのボーイング社が開発したカプセル型有人宇宙船「CST-100 スターライナー」が、国際宇宙ステーションにドッキングできずに帰還した最新のニュースについてでした。このように、宇宙でのミッションはわずかなズレでも失敗してしまうんですね。NASAが言うように、有人であれば失敗しなかったというのも、あるかもしれません。

 

 

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