日本政府は今年2020年に「宇宙作戦隊」という部隊を自衛隊に新設する方針だそうです。
今回はこの「宇宙作戦隊」について紹介してみましょう。
今年中に新設されるという「宇宙作戦隊」とは?
日本政府はこのたび、近年安全保障の重要性が高まる「宇宙分野」の能力向上のために、自衛隊にの中に「宇宙作戦隊」を新設するという方針を発表しました。宇宙作戦隊は、他の国の人工衛星の電波などで自衛隊の問題となるのを防ぐため、常時宇宙を監視することが任務になります。
米国・中国・ロシア等は、人工衛星を使用した情報収集・通信かく乱等、宇宙での活動のための研究を進めています。このような各国の流れの中、日本政府も2019年12月の「防衛計画の大綱」において宇宙・サイバー空間を新たな領域として重視し、宇宙での優位性確保のための能力を向上すると明記しています。
このたび新設させる宇宙作戦隊は、東京都府中市の「航空自衛隊府中基地」に約70人で発足させるそうです。これを将来的に100人にして、国の人工衛星の脅威となるような他国の人工衛星・スペースデブリの動き等を監視していきます。宇宙空間に置く予定の新しい光学望遠鏡の開発や、アメリカが近頃発足させるという「宇宙軍」の指導教官を招いたりして、能力の向上を図るそうです。
当面は上記のような監視の任務が予定されていますが、日本政府が2020年代に「妨害衛星」の打ち上げを考えているとも言われていて、宇宙における抑止力の強化に携わることも予想されています。政府はこれを中国・ロシアの軍事衛星からの攻撃に備えての「防御用」だと主張しいますが、妨害衛星を実際に運用されることになれば、日本は宇宙での攻撃能力を事実上備えることになるので、これが論争になると予想されます。
「妨害衛星」とは?
「妨害衛星」とは、宇宙で他の国の軍事衛星を無力化することができる衛星ですが、新設される宇宙作戦隊がこの妨害衛星を運用することになるかもしれないようです。日本がこの妨害衛星を検討している名分は、中国とロシアにあります。この両国は「キラー衛星」、衛星攻撃衛星を開発しており、この脅威に対抗する必要があるということです。中国では、「ロボットアーム」搭載のキラー衛星の実用化を目指しています。日本が導入を計画している妨害衛星は、事実上キラー衛星に近いと予想されています。宇宙航空研究開発機構の衛星のアーム技術など、日本の技術力を生かすべきだと日本政府関係者は話したそうです。これに伴って、政府が維持してきた「専守防衛」という原則を宇宙空間で破るのではという懸念が出ています。
先立ってアメリカに設立された「アメリカ宇宙軍」
この宇宙作戦隊は、やはり先日発表された「アメリカ宇宙軍」の存在が大きいのではないでしょうか。「アメリカ宇宙軍」はアメリカの統合軍の一つで、元は1985年から設立されていたものが、2002年にアメリカ戦略軍に整理統合されていました。これが2018年に、アメリカ戦略軍下の副統合軍として再編成するため、2019年国防権限法が裁可されますが、同年12月にトランプ大統領が「アメリカ宇宙軍をフル規格として再編成する」と修正。
2019年の3月には「AFSPC」司令官ジョン・ウイリアム・レイモンド空軍大将が、宇宙軍司令官に指名され、2019年の8月29日にアメリカ宇宙軍が再発足されました。アメリカで独立した「軍」としての新設は、1947年に「空軍」を創設してから72年ぶり。
陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊と並び「第6の軍」となるので、いかにトランプ大統領が力を入れているかが分かでしょう。発足式でトランプ大統領は、「宇宙は新しい戦闘領域であり、アメリカが宇宙空間を主導していく」といつものように語りました。
今回の件は、よくあるように「アメリカがやっているので日本もやらないと」というのもあるのかもしれません。実際、中国の宇宙進出にはアメリカも焦っている感があり、日米は宇宙での活動について連携(?)していくと報道されています。
宇宙でも国の防衛をする時代でしょうか
日本政府が今年202年に自衛隊に新設するという「宇宙作戦隊」についてでした。今回はちょっと夢のない話になってしまいましたが、現実の世界で起こっていることなので、やはりこのようなニュースについても随時知っておきたいですね。