アメリカの民間会社・スペースXの宇宙船「クルードラゴン」については以前も紹介しましたが、ついに日本時間11月16日、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんら、4人が搭乗した「クルードラゴン」が打ち上げられ、近頃ニュースになりましたね。
そして、クルードラゴンが17日に国際宇宙ステーションに無事ドッキングに成功しました!
今回はこのニュースについてご紹介しましょう。
ついに「クルードラゴン」が本格運用開始!
日本時間11月16日、アメリカの民間会社スペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」が、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターから、同じくスペースXの大型ロケットである「ファルコン9」によって打ち上げられました。
打ち上げに当たっては、スペースXの名物社長であるイーロン・マスク氏がツイッターで、新型コロナウイルスの症状が出たので検査を受けているとつぶやき、接触者を追跡するというハプニングもありましたた。
これは14日夜に完了し、懸念されたことはないとわかりました。このクルードラゴンに搭乗しているのは、NASAの宇宙飛行士のマイケル・ホプキンスさん、シャノン・ウォーカーさん、ビクター・グローバーさん、野口聡一さんの4人です。
クルードラゴンは17日に国際宇宙ステーションとドッキングする予定。クルードラゴンはなんと1日以上、27時間という間、軌道を周りながらドッキングに備えるんだそうです。当初の打ち上げは14日でしたが、ハリケーンの「エタ」のために延期されていました。
予定通りに打ち上げられていれば、クルードラゴンはISSまで約8時間ほどで到達できていて、これほどの待機時間にはならなかったそうです。テキサス州のヒューストンとカリフォルニア州のホーソーンから、飛行の様子をNASAとスペースXが見守っています。
民間企業の「スペースX」が国際宇宙ステーションのISSに人員を送る有人宇宙船を本格的に運用したのは今回が初めであり、アメリカはスペースシャトル計画の後、10年近くロシアの宇宙船「ソユーズ」から国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送っていたということもあり、これはNASAとスペースXにとって記念すべき重要なミッションになりました。
無事にISSにドッキング成功
そして、日本時間11月17日、無事に「クルードラゴン」の1号機が、国際宇宙ステーション・ISSとのドッキングに成功しました。安全確認後にハッチが開かれ、4人の飛行士が宇宙ステーションに乗り込んで、これから6か月という長期滞在が始まります。クルードラゴンはこの長期滞在が終わるまで、宇宙ステーションとドッキングしている状態で、飛行士たちの寝る場所等に使われるそうです。
日本人の宇宙飛行士・野口聡一さんは、ドッキングしてすぐの地上との交信で、日本のみなさんに報告。
「クルーはこれまで、さまざまな試練を全集中で乗り切ってきました。ISSに滞在する半年間、みなさんと感動を分かち合いたいです。オールフォアワン、クルーワン・フォアオール」
と語りました。
ISSではどんな実験をする?
今月、正式に有人宇宙船として認められたクルードラゴンは、これからさまざまな宇宙飛行士を定期的に輸送することになります。今回の搭乗している野口さんらは、ISSに滞在する半年間、微小な重力が人間の心臓に与える影響等など、多くの実験を予定しています。
地球でiPS細胞からできたミニ肝臓の立体培養、創薬の標的であるたんぱく質の結晶化、深宇宙探査に欠かせない食糧確保のため、宇宙空間で「ラディッシュ」を育てるという実験もあります。また、民間企業が「きぼう」を有償利用する取り組みでは、中に放送スタジオを作り、地上との双方向ライブ番組を配信するといった技術の実証等も予定されています。
クルードラゴンの内部がカッコイイ
打ち上げの前からクルードラゴンの内部が公開されていましたが、クルードラゴンの内部は、これまでの宇宙船とは違って、非常にかっこいいんですね!
まるでSF映画に出てきてもまるで違和感がないような宇宙内部です。5つのシートに2つの補助シートが備えられていて、最大定員は7名。快適な宇宙飛行を目指すために設計されていて、内部には4つの窓があり、飛行士たちは地球・月等の様子を見ることができます。
最上級グレードのカーボンファイバー素材でできたシートと、表面素材にイタリア製アルカンターラが採用されています。そのシートを支える太いフレームは、打ち上げ時の重力を受け止めたり、万が一打ち上げが失敗したときの大爆発の際にロケットエンジンの急噴射で離脱するショックにも対応しているとか。
にもかかわらず、宇宙飛行士が受ける重力はディズニーランドの乗り物と同じくらいなんだそうです。クルーたちの目前にはディスプレイが複数配置され、ここで宇宙船内外の様子・現在地・システムの状態などを監視できるようになっています。
また、船内環境をコントロールできるという環境制御・生命補助システム「Environmental Control and Life Support System (ECLSS)」が搭載され、宇宙船内部の気温は約18度〜27度程度に保つことが可能。
基本的に全工程はクルードラゴンが自動制御されるシステムですが、クルーたちは状況をモニタリングできて、「キャビン減圧」「周回軌道から離脱」など、なにかあればコントロールすることもできるようになっています。
乗り心地については、野口さんも国際宇宙ステーションからのオンライン記者会見で「乗り心地は最高。宇宙に行きたがっているようで、これまでの宇宙船よりぐいぐいと進んでいる」と語っていて、「まるでドラゴンそのもの」という印象なんだそうです。
いやーすごいですね。このあたりも、民間会社・自動車メーカーらしい配慮ですよねー。
民間の宇宙船がISSに使われる時代に!
スペースXの「クルードラゴン」が、見事に打ち上げ&ISSにドッキング成功したニュースについてでした。NASAでは今回の成功について、スペースXという民間企業の力で宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに送り込む時代がスタートしたと話しています。
日本人の宇宙飛行士・野口聡一さんも搭乗していたということで、日本人としても興味深い話でしたね。内部についても、かなりカッコイイですよねえ。自分的には、この内部を見たとき高級車をイメージしました。