先日、地球からはるか遠く離れた宇宙から謎の反復する高速電波バーストが届いたという報告がありました。
まるでSF小説の話しのようなこの電磁バーストとは、いったいなんなのでしょうか?
ひょっとして、宇宙人からのメッセージだったりするんでしょうか?
反復するバーストは非常に珍しい
今年2018年の1月、あの有名な科学雑誌「ネイチャー」に、深宇宙から13回にわたる謎の高速電波バーストが検出されて、その1つは規則的反復が見られたということが発表されました。
「高速電波バースト」というものは、実は2007年にも見られました。
これは広大な宇宙でも、最も不可思議な現象のひとつとされています。
バーストが持続する時間は数ミリ秒(1ミリ秒=1000分の1秒)ほどで、どれもが銀河系の彼方から来ているということです。
しかし、この電波バーストの原因は今のところ判明していません。
これまでに観測されたバーストはすくないですが、毎日1000回ほどのものが発生していると予想されています。
今回、13回の高速バーストを検出したのはカナダの「カナダ水素強度マッピング実験」研究チームです。
13回のうち1回が「反復するバースト」というもので、これは非常に珍しいそうです。
論文では、「リピーター」という反復する高速電波バーストを含めた13回の高速電波バーストは、地球から15億光年ほども離れた場所から届いたそうです。
このバーストはこれまで検出された電波バーストの中でもっとも周波数が低かったのですが、これまで観測されたものよりも明るかったとうのも特徴です。これは、発生した場所の環境と関係があるのかもしれません。
周波数が低いほど遠くから来るというものではなく、銀河間媒質・星間媒質の高温のガス・プラズマの中から伝わってくるたので、さまざまな影響を受けていると考えられています。
電波というものは宇宙空間でねじれたり、散乱や吸収されたりしています。
この研究チームでは、13回の電波バーストは銀河の荒れ狂う高密度の領域から来たのではないかと想定しています。
そこは高密度超新星の残骸やブラックホールの付近等、激しい活動が起きている場所です。
銀河間の環境を知る手がかりにもなる
このように、今回13回のうちちひとつだけ見つかった「反復するバースト」というのがリピーターと呼ばれているわけですが、これが過去に一度だけ見つかったものと構造が似ているということです。
このような構造はリピーターだけのもので、このような構造が見られた場合はリピーターという可能性が大きいようです。
今回のバーストを検出したのは「CHIME」という電波望遠鏡ですが、このCHIMEではまだ能力の一部しか使っていなかったため、現在フルに活用されるようになったCHIMEがより多くの高速電波バーストを探すことに期待がかけられています。
こうしてさらにバーストが検出されようになると、銀河の何もないような空間に分布しているガス・ダスト・プラズマ(いわゆる銀河間媒質)を調べるために有効な手がかりになると言われています。
惑星探査ならまだしも、銀河間媒質の正体を教えてくれる探査機を送るのは難しいのです。
銀河間媒質は星間媒質よりもとても希薄で、ここを通ってきた高速電波バーストは、こういった銀河間の環境を知るための少ない手がかりの1つとされています。
宇宙人からのメッセージ説も
このたび発見された謎の反復する高速電波バーストについてでした。
これは「地球外知的生命の乗る宇宙探査機が発した電波」ではないかという説もあるくらいです。
正体についてはもちろんまだ謎になっていますが、この検出が、銀河の間にあってこれまで研究できなかった細かな物質を知るための手がかりになるということで、この面からも意義がありますよね。