宇宙雑学

地球軌道を初めて周回した犬の「ライカ」はどうやって宇宙に行ったの?

2019年5月7日

地球 宇宙 f

 

最近は宇宙にも人間が行けるようになりましたが、地球軌道を初めて周回した動物はなんだったかをご存知でしょうか?

 

宇宙犬 ライカ / wikipedia

 

地球軌道を初めて周回した動物は犬の「ライカ」です。ただ、このライカ、最初から片道切符だったとも言われていて、かわいそうな話になっているんですね。

ここではこの犬のライカについて紹介します。

 

最初から片道切符だった宇宙飛行

ライカが描かれたロシアの郵便切手 / wikipedia

ライカが描かれたロシアの郵便切手 / wikipedia

 

宇宙に初めて行った動物はそれ以前にもいましたが、地球軌道を初めて周回した動物は、ソ連(現ロシア)の犬「ライカ」です。1957年、ソビエト連邦のスプートニクが犬の「ライカ」を乗せたことにより、世界初の宇宙船として打ち上げられ、この成功が後の有人宇宙飛行にもつながったとされています。

 

犬の排泄姿勢のことから、メスのライカが選ばれました。

 

スプートニク2号 / wikipedia

スプートニク2号 / wikipedia

 

スプートニク2号が打ち上げられた1957年といえば、まだ有人飛行も実現していない年であるため、大気圏の再突入が不可能な宇宙船でした。では、ライカはどうなってしまったのかというと、ソビエトでは打ち上げて10日後に薬で安楽死したと発表していました。

 

しかし、これは事実ではなかったようです。その後、2002年にスプートニク2号の関係者だったディミトリ・マラシェンコフが、ライカは打ち上げられて数時間後に過熱・ストレスで死んだのではないかという発表がありました。

 

脈拍数 f

 

ライカにはセンサーが取り付けられていて、打ち上げられたときに脈拍数が急激に上昇していました。その後脈拍数は減少しましたが、船内の断熱材の破損で気温が41度に上がっていたため、これらが死因になっていたのではとされています。また、スプートニク2号の中はかなり狭くて、ライカが動くスペースもなかったそうです。

 

ただ、当時のソビエトは、関係者の科学者ボリスチェルトックによれば、スプートニク2号はしっかりと開発期間を使って準備すれば、ライカを地球に帰還させる技術を持っていたともされています。

 

しかし、当時のソビエトの最高指導者フルシチョフは、ソビエト革命から40周年という記念日に合わせたいということで開発を急がせたため、結果的に片道切符の宇宙船となってしまったのです。

 

ほかの犬たちも宇宙に行った

 

史上初の宇宙に行く犬というくらいだから、ライカは特別な犬だったと思うかもしれません。

 

ところが、ライカはただの「野良犬」だったそうです。野良犬はライカのほかにも「アルビナ」「ムシュカ」という犬もいて、「アルビナ」は弾道飛行のテストに、「ムシュカ」は宇宙での生命維持のテストに使われたそうです。

 

ライカを含めた訓練の犬たちは、狭いケージで20日間飼育されていたそうです。この空間で犬たちはストレスと恐怖で極度の便秘状態となったとされています。

 

その後、「ムシュカは」は宇宙空間の放射線を研究するためラット・植物等とロケットで宇宙に打ち上げられました。当時のソビエトはこのロケットも大気圏で燃え尽きたと説明しましたが、真相は地球に着陸したロケットがアメリカに渡ることを恐れ、爆薬を船内に搭載して爆破したということです。

 

もちろんこのミッションのチームでは、内心このような計画を悔やんでいた人もいました。時間が経つにつれ、すまなかったという気持ちが高まっていったそうです。

 

ライカの宇宙飛行からその後

 

ライカの後も、、ソビエトは13頭の犬を宇宙に打ち上げていますが、これは当然1961年のガガーリンによる有人宇宙飛行のためのものでした。その犬たちは多くが地上に帰っています。

 

無事に地球に帰ってきた犬の「ベルカ」「ストレルカ」は有名で、「ストレルカ」の子犬がアメリカのジョン・F・ケネディ元大統領に贈られたという話もあります。

 

モスクワのペトロフスキー公園のライカ犬記念碑 / wikipedia

モスクワのペトロフスキー公園のライカ犬記念碑 / wikipedia

 

ライカが打ち上げられてから40年後には、犬たちが訓練を受けたモスクワ・ペトロフスキー公園の南西にある「航空宇宙医学研究所」に、記念碑が建てられています。また、ロシアにはライカが描かれた郵便切手も発売されています。

 

 

後の有人宇宙飛行にもつながりましたが

 

初めて地球軌道を周回したソビエトの犬、ライカについてでした。

 

この話を聞くと、やはり「かわいそう」「ひどい」と思ってしまいますよね。

ただ、これが後のガガーリンの有人宇宙飛行の成功にもつながっているという面もあるでしょう。

 

この計画に関わった科学者のオレグ・ガゼンコは、「ライカは宇宙旅行の象徴的存在だったが、こんなことは2度と繰り返してはいけない。ここから学ばなくてはならない」と語りました。現在でも動物実験というものは行われているので、人間はこういったことをして生きているということを忘れないようにしましょう。

 

 

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